↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇の声 光の子  作者: マン太


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/36

その後 1.二人

 母の生まれた村は、始終、花の香りがした。

 どこを歩いていても、何かしらの香りがする。

 砂浜を歩きながら、何処までも続く水平線を見つめた。海原は昼過ぎの日射しに、キラキラ輝く。


「…海って、広いなぁ」

 

 同じ様に海に目を向けたアスールが、大きく伸びをしてそう口にした。


「そうだな…」


 母の親族には会えた。息子だと名乗ると、とても喜び歓迎してくれた。トエルノからは遠い。田舎の噂話など、王都へ届くはずもない。


「なぁ、もうちょっとゆっくりしたらさ。──戻るだろ?」


「なんだ。もう飽きたのか?」


「違うよ。ただ、さっき酒場で嫌な噂を聞いたから…」


 村の酒場で船乗りの男が、外海に面する国が、トエルノを狙っているらしいと話しているのを耳にしたのだ。

 それで、今までののんびりとした空気が、いっぺんに飛び去ったらしい。


「勿論、帰る。ここでのんびりしすぎて、帰ったらトエルノがなくなっていたのでは笑えないからな」


「俺達だけじゃ、どうにもできないかもしれないけど、何かはしたいから…」


「分かってる。ここを出る前にあの船乗りの男に詳しく話を聞こう。港に住む連中なら、もっと違う情報を持っているかもしれない」


「ありがとう。カリマ…」


「約束だからな? セリオンを守るためだ」


 アスールは笑うと、


「…カリマ。大好きだ」


 そう言って、カリマに抱きついてきた。砂浜には二人きり。カリマもそっとその背に腕を廻すと、


「お前の頼みは拒めない。──好きだ。アスール」


「うん…」


 照れ臭そうに笑んだアスールは、伸びをしてカリマにキスをする。

 甘い花の香りが、鼻先を掠めて行った。



ー了ー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。