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スキルダイバー~追放された深淵の鑑定士は最強レギオンを作り上げる~  作者: 国木田。
下位鑑定士と少女たち

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第5話:酒場での初遭遇

 翌日――


 小さくぼやきながら身支度を整え、俺は再びオーグの冒険者ギルドへと足を運んだ。カウンターには、相変わらず無精ひげを生やした受付のボブが座っている。


「よう、ボブさん。ちょっと聞きたいんだが、この辺りで魔物が増えてるってのは本当かい?」


「おお、先生! ええ、そうなんですよ。街道の近くに魔物の群れが居座っちまいましてね。近々、ギルド総出で大規模な討伐をやる予定なんです」


「なるほどな。……なら、その討伐に俺も同行させてくれないか?」


「はあ!? せ、先生が前線に!?」


 ボブは目を丸くし、はげ頭を擦りながら怪訝な顔をした。


「先生、いくらなんでも危険すぎますぜ! 鑑定士《スキルリーダー》の先生に万が一のことがあったら、教会からギルドが取り潰されちまいます!」


「大丈夫さ。後方でじっとしてるよ。昨日鑑定した新人たちの成長をこの目で確かめたいんだ。それに……万が一、前線で帰らぬ者が出た場合、教会所属の俺がいればその場で魂の弔いができるだろ?」


「う……そ、それは確かにありがたいですが……」


「頼むよ。足手まといにはならないと約束するから」


「……分かりました。ギルドマスターにはあっしから話を通しておきます。先生が無茶をしないって条件付きですぜ」


「助かるよ」


 交渉を無事にまとめ、ギルドを出た俺は宿屋へと戻った。討伐の準備期間を考えれば、この街への滞在は数日延びることになる。


「あら、お客さん。延泊の手続きですかぁ?」


 カウンターで迎えてくれたのは、この宿を取り仕切る女将――豊かな肉体を持つ人妻のアンナさんだった。彼女が身を乗り出すたびに、石鹸の清らかな香りと甘い体臭がふわりと鼻腔をくすぐり、薄い綿布越しに豊かな胸元の張りが強調される。


(……うん、この宿の人が魅力的だから、滞在延長も悪くないな)


 目の保養を済ませて手続きを終えると、昨日は忙しさで見られなかった街の散策へと繰り出した。照りつける日差しを浴びながら石畳の路地を歩くと、露店から立ち上る香辛料の刺激的な匂いと、行き交う人々の威勢のいい掛け声が響いてくる。


(うーん……よく考えると、こうして一人旅をするのも随分と久しぶりだな)


 教会に縛られ、クランの鑑定に追われていた日々を思い出す。


(追い出されたとはいえ、世話になったレッドアイズの連中に土産でも買って帰ってやるか)


 脳裏に浮かぶのは、あの露出度の高い革鎧を着た酒豪のクランマスター、セリアの顔だ。


「セリアなら、美味い酒でも一本持っていけばいいだろ」


 俺は、樽から漏れる芳醇な果実酒の酸っぱい香りと、暗がり特有のひやりとした空気が満ちる酒屋へと入った。所狭しと並ぶ地酒の銘柄を眺め始める。


「へぇ、この地方特有の果実酒か。度数が高くてあいつ好みの――」


 その時だった。


 ガタガタと激しい音を立てて入り口の木戸が跳ね上がり、固い衝撃が背中へ強烈に叩きつけられた。


 ドゴォッ!


「ぐえっ!?」


 板張りの冷たい床を転がり木樽の山へ派手に崩れ落ちると、鋭い痛みが腰から背中へと走った。


「きゃっ!? ご、ごめんなさいっ! 大丈夫ですか!?」


 慌てふためく太い声が頭上から響く。

 痛む腰をさすりながら、俺は床から顔を上げた。


「い、いや……前を見ないで入ってくるのは勘弁してくれ……って」


 俺の言葉は、途中で完全に凍りついた。

 見上げた先に立っていたのは、あまりにも規格外の女戦士。


(す……すごく、でかい……!)


 俺を軽々と見下ろす圧倒的な巨躯。


 太くたくましい腕と丸太のような太もも。布地をいまにも引き裂かんばかりに主張する暴力的な超爆乳。そして、屈んだ拍子に露わになった腰回りは、もはや要塞のような存在感を放っていた。


 手、足、胸、尻――視界に入るすべての部分が、常識の枠を完全に越えていた。


(俺は……す、すごいものを見ている)


 床に転がったまま、俺の思考回路は完全に焼き切れていた。

 目の前でおろおろと巨躯を小さく丸めている女戦士。


「あ、あの……本当にごめんなさい! 私、昔から身体ばかり無駄に大きくて、不器用で……よく人にぶつかっちゃうんです……!」


 何度も頭を下げる彼女に、俺は慌てて埃を払いながら立ち上がった。


「い、いや……怪我はないから大丈夫だ。気にするな」

「よ、よかったぁ……!」


 ほっと胸を撫で下ろす彼女の手元に、俺の視線が吸い寄せられる。大人が両手で抱えるような特大サイズの酒瓶が、まるで子供用の小瓶のようにすっぽりと片手に収まっていた。


(……おかしい。遠近感が完全に狂ってるぞ)


 目の錯覚か、それともこの世界の摩訶不思議な生物学的神秘なのか。呆然とする俺をよそに、彼女は恐縮しきりな様子でペコペコと頭を下げながら店を出て行った。


 後に俺の軍団《レギオン》において、『破裂の女王』として大陸全土にその名を轟かせることになる『女戦士ミラ』との最初の出会いであった。


メインヒロインの一人ミラの登場です。

破裂の女王→BANG QUEEN

ちなみに破裂の人形は大好きなMHです(まったく関係ない)


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