第1話:追放された下位鑑定士
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本作を見ていただき、ありがとうございます☆
本作は、主人公マルクが爆弾3人娘を育成していく王道×お色気コメディの育成物です。
ピンクな表現がありますのでご注意ください。
育成する3人娘の登場は4話以降となりますので、そこまでお付き合いいただくと幸いです。
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「悪いがマルク。お前との契約は、今月末までにしたいんだ」
冒険者クラン『レッドアイズ』の最奥、薄暗い執務室。重厚な机の向こうから、冷淡な声が響いた。このクランを束ねるマスター、セリアだ。小麦色の肌に、精悍な顔立ちの美女である。
「……急だな、セリア。俺の仕事に何か不手際でもあったか? 依頼通りにこなしてきたはずだが」
「お前の腕に不満はないさ。だが、来月から次の鑑定士を雇うことが決まった。Lv.5まで対応できる上位技能鑑定士だ」
「Lv.5の上位技能鑑定士……なるほどな。だが、待ってくれ」
俺は身を乗り出した。
「クランの土台を支えるのは、いつだって新人や下位の連中だ。上位鑑定士じゃ、新人の細かな枝分かれは雑に診るのが関の山だぞ」
「それに、鑑定士と冒険者には相性がある」
俺は言葉を重ねた。
「新人育成を本気で考えるなら、Lv.3までの基礎を診られる俺も残して、二人体制にするべきじゃないのか?」
「無理を言うな。うちの規模で、鑑定士を二人も抱える余裕はないんだよ」
セリアは困ったように眉を寄せ、ため息をこぼした。
(……嘘だな。今のクランなら、まったく余裕がないわけじゃない)
「な、なんだよその目は」
俺はまっすぐセリアの瞳を射抜いた。
「俺がLv.3までしか見れない下位技能鑑定士だからか? それとも……」
「……やはり、俺が『教会所属』の鑑定士だからか?」
「ッ……」
セリアは気まずそうに視線を泳がせた。
やがて観念したように、肩を落とす。
「……すまない。お前を嫌っているわけじゃないんだ。だが、支援者も幹部たちも、教会の介入をひどく嫌っていてな」
セリアは息を吐いた。
「教会から派遣された鑑定士を、いつまでも中枢に置くのは政治的に都合が悪いんだよ」
技能鑑定士。
人々の人生を左右する、絶対的な職業だ。 この世界の人間には、生まれながらに『技能系統』が刻まれている。その根幹が【主脈】、そこから伸びる個々の能力が【枝脈】だ。
主脈のレベルは、この世界に明確な階層を形作っている。
冒険者や傭兵として活動する最低ラインが【Lv.2】
実力者がひしめくボリュームゾーンが【Lv.3】
中堅からエース級として名を馳せる【Lv.4】
国家のトップ層、特級戦力として扱われる【Lv.5】
さらにその上――
各国の筆頭戦力クラスたる【Lv.6】
大陸最強と謳われる一握りの英傑【Lv.7】
おとぎ話や歴史に名を残す伝説の存在【Lv.8】
そして、存在だけが神話として語られる神の領域【Lv.9】
人々は、自分のツリーを直接見ることができない。だから、主脈の深さと枝脈の獲得条件を助言する技能鑑定士が不可欠なのだ。だが教会所属の鑑定士は、クランから「監視の目」として煙たがられている。
しかも鑑定士の側にも、器に応じて「視覚化できる上限レベル」がある。低位の鑑定士には、高位の者の魂の深淵は覗けない。だからこそ、高レベル対応の鑑定士ほど希少で重宝されるのだ。
そして俺自身は、レッドアイズに「自分の鑑定眼の上限はLv.3までだ」とあらかじめ報告していた。
「やはり、教会所属って看板はどこに行っても面倒なんだな……」
俺は自嘲気味に呟いた。
「お前には悪いと思ってるさ」
「だが、クランの独立のためなんだ。これ以上、教会に干渉されるわけにいかない」
「別にセリアを責める気はないよ」
「捨て子の俺を拾って育ててくれた恩で、教会にいるだけだ。教義に命は懸けてない」
「捨て子だったのか?」
「ああ、昔の話さ」
俺は軽く受け流した。教会のしがらみなど、俺にとってはどうでもいい。
俺の正体は、前世の記憶を持つ転生者だ。この世界のスキルの仕組みは、前世で俺がやり込んだ人気MMO『マスターズ・レギオン』に恐ろしいほどそっくりだった。世界の仕組みを知る俺には、ギルドや教会の派閥争いなど些細な話だ。
「……わかったよ。今月末での契約終了、受け入れよう」
「す、すんなり引いてくれるのか? もっとゴネられるかと……」
「その代わり、退職金と今月分の給金はきっちりもらうからな。契約書通りの正当な権利だ」
「ああ、もちろん出すさ! 事務方に満額払わせるよ」
俺は内心で小さく肩をすくめた。口元には、営業用の笑みを浮かべる。
「話が早くて助かる」
俺は背を向け、出口へ歩き出した。冷たいドアノブを握ると、カチャリと音が鳴る。
最後に、肩越しに振り返った。
デスク越しにこちらを見送る、セリアの姿。小麦色の肌に包まれた豊満な胸と、引き締まった腹筋が、薄暗がりに浮かび上がる。
(……明日からあのドエロい姿を毎日見られなくなるのだけは、本当に残念だな)
背中にセリアの声を受けて、俺は執務室を後にした。
クランの建物を出ると、肌を焼くような昼の熱気が押し寄せてきた。
「さて……明日からどうするかな。契約を切られた件、とりあえず教会に報告しに行くとしますかね」
雑踏の中、俺は懐の革袋の重みを確かめた。
ぽつりと呟いた瞬間、胸の奥にじわりと冷たいものが広がっていく。
「……だめだ、なんか急に悲しくなってきたな。やってられるかよ。どれだけ俺が今まで必死に育ててきてやったと思ってんだよ……」
さっきまでは平静を装っていた。
だが一人になった途端、理不尽に職を失ったやるせなさが込み上げてくる。
「教会に行く前に、屋台で一番高い肉でも買ってやけ食いしてやる!!」
香ばしい油の匂いが漂う露店街。俺は懐の重い革袋を、ぎゅっと握りしめた。
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