↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルダイバー~追放された深淵の鑑定士は最強レギオンを作り上げる~  作者: 国木田。
下位鑑定士と少女たち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/86

序章:夢の終わり

「ご主人様、アレ壊していいピョン?」

「ああ、いいぞベルヘルム」

「ピョン? いつも駄目って言うのに珍しいピョン」

「今日は特別なんだ」


 石造りの噴水広場に、冷たい夜風が吹き抜ける。湿った石の匂いと、大勢のざわめきが肌を撫でた。


「今日はいやに下民共が多いわねぇ。何か祭りでもしてるのかしら」

「ああ、今日は特別な日なんだ、プレアマリス」


「なんと! こんなに民たちが集まるとは、このリアンナ、勉強不足でした!」

「今日は突発みたいなもんだ、気にするなリアンナ」


「……Zzz……」

「大蛇姫。今日くらいは起きていてくれないか」


 白く長い蛇の尾を軽く揺すると、彼女は気だるげに瞼を持ち上げた。


「ん? ……主、なんか寂しそうだね」

「まぁな」


 フルダイブVRMMO『マスターズ・レギオン』。


 かつて世界の覇権を握った人気ゲームだった。だが、恐竜的に進化する後発作品に押され、過疎化が進んでいった。


 仲間たちは去り、俺は最後のログインをしていた。


 フィナーレに駆け付けたユーザーたちから、ワッ!!と歓声が上がる。ドーンと腹に響く炸裂音とともに、夜空にまばゆい光が広がった。上空に『THANK YOU FOREVER』の文字が表示され、無数の火花が降り注ぐ。


「きれいピョン!」

「ふん、なかなかのものね」

「芸術的ですね……!」

「……」


 広場を照らす光を背に、俺は拳を握りしめた。


「お前ら、そろそろ時間だ」


「ん? なんの時間だピョン? ご飯ならさっき食べたピョン」


「あらあらご主人様、もしかしてボケちゃったのかしら」


「待て待て、主様が時間と言われているのだ。きっと深い意味があるはずだ!」


 いつもの掛け合いが続く中、大蛇姫だけが静かに俺の服の裾を引いた。


「……主、どこか行っちゃうの?」


 その澄んだ瞳に見つめられ、胸の奥がきつく締めつけられた。


 視界が急速に滲んでいく。頬を伝う熱い雫を、俺は乱暴に手の甲で拭った。


「お前ら、今までありがとうな。ダメなご主人で、ごめんな」


 ――カウントダウンがゼロを刻む。


 視界の端で光の粒子が弾け、プツリと音が途切れた。世界が真っ暗に染まっていく。


 こうして、俺の『マスターズ・レギオン』のプレイヤーとしての人生は、終わるはずだった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。