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スキルダイバー~追放された深淵の鑑定士は最強レギオンを作り上げる~  作者: 国木田。
下位鑑定士と少女たち

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第17話:歴戦の大盾使いをレンタルせよ

 翌朝。教会の宿舎前の大通りで、三人娘が体を動かしていた。


「いち、に、さん、し! 【荷運び】の脱力を意識して、足裏全体で地面を捉えるっ!」


「ご、ろく、なな、はち……! 【体軸維持】と【足腰強化】ですぅ……!」


 ミミィが張り切って号令をかけ、ミラが息を切らせて懸命に続く。二人が持つLv.1戦士系スキルは、【荷運び】【体軸維持】【足腰強化】の三つだ。世間では雑用スキルと侮られる三技能だが、俺の考案した『スキル体操』で連動させると、その視覚的な破壊力は凄まじいものがあった。


 深い屈伸のたびに、ミラの薄手の運動着から規格外の双丘が零れ落ちそうなほど揺れる。隣では、ミミィの太ももが汗を弾いてしなやかに躍動していた。通りかかった街の男たちは、目のやり場に困り果て、真っ赤な顔で立ち尽くしている。


「……ん? ミラさん、あっちを見てください」


 ふと足を止めたミミィが、少し離れた広場を指差した。そこでは、革鎧やチェインメイルの屈強な戦士たちが十数名、真剣な面持ちで全く同じ『スキル体操』を反復していたのだ。


 大男たちが揃って腰を落とし、真面目に屈伸を繰り返す。どこか異様で、迫力に満ちた光景だった。


「あれ……あの強そうな人たちも、先生のお弟子さんなのかな?」


 小首を傾げるミミィに、手本を見せていたライラが冷ややかに告げた。


「ええ。あの方々の胸にある紅い眼の紋章……おそらくこの王都の有力クラン『レッドアイズ』の構成員ですね」


「レッドアイズ……あんなに強そうな人たちも、先生の体操をしているんですね……」


 ミラが大きな瞳を瞬かせ、感心したように集団を見つめた。


「ふぁぁ……おはよう、みんな早いな」


 そこへ、昨夜の金策会議とミラの食費計算で寝不足の俺が、目をこすりながら合流した。


「おはようございます先生!」

「おはようございますぅ!」

「おはようございます、マルク様」


「よし。昨夜打ち合わせた通り、遠征用の装備点検と携帯食料のパッキングはライラに任せる。二人にしっかり教えてやってくれ」


「承知いたしました。抜かりなく準備させます」


「俺はこれから、遠征の安全を確保するための戦力を借りに行ってくる。じゃあ後でな」


◇


 三人を残し、俺は大通りを抜けて『レッドアイズ』の本拠地へ向かった。街の一角にある、石造りの建物だ。王都でも中堅の実力を誇る武闘派クランのアジトだけあって、門番から構成員まで、空気は緊張感に満ちている。


 最奥の執務室の扉を開けると、革張りのソファに深々と腰掛けた美女が出迎えた。

 燃えるような赤髪を靡かせ、深い谷間を大胆に露出させたクランマスター・セリアだ。


「よぉマルク先生。あたしの愛人になる件、前向きに考えてくれたかい?」


 煙管から紫煙をくゆらせ、セリアはソファの上で妖艶に体をくねらせた。豊満な胸が布地の中で形を変え、薄い絹越しに腰のくびれと太ももの曲線が波打つ。


潤んだ上目遣いで見つめられ、俺の理性は一瞬でグラリと揺らぎそうになった。


(ぐっ……! 朝っぱらからなんて破壊力だ……! いかん、油断したら骨までしゃぶり尽くされるぞ……!)


 俺は唾を飲み込み、煩悩を押し殺して真顔を作った。


「朝っぱらから冗談はやめてくれ。今日は真面目な別件で来たんだ」

「ふふっ、つれないねぇ。まあいいさ、座りなよ」


 俺が応接用の椅子に腰掛けると、セリアは煙管を灰皿にとんとんと叩き、足を組み替えた。


「へぇ、あの教会の優秀な鑑定士《スキルリーダー》様が、あたしに頼み事かい? 改まって何だい」


「単刀直入に言う。これから行く遠征クエストを安全にこなすための、優秀な護衛人員を一人貸してほしい」


 セリアの細い眉が、ピクリと跳ね上がった。


 ギルドの『遠征クエスト』は、日帰り依頼とは違う。数日間、危険地帯で野営しながら魔物を狩り続ける高難度任務だ。野営管理、夜間見張り、奇襲対処など、戦闘力以上のサバイバル技術が要求される。駆け出しを引率するなら、信頼できる手練れが不可欠だった。


「……へぇ。聞いた話じゃ化け物じみた怪力娘を連れてるらしいじゃないか。にもかかわらず、うちの手を借りたいと」


 セリアは煙を吐いた。


「いいよ、貸してやる。で――いくら出すんだい?」


 商売人の目で、セリアがニヤリと唇を吊り上げる。

 破産寸前の俺に、現金払いの選択肢など存在しない。


「現金じゃない。次の教会の公式『巡礼』……レッドアイズに優先指名権をくれてやる」

「ほう……?」


 セリアの瞳が、わずかに揺れた。


(これで文句はあるまい……!)


 そう確信した俺だったが、セリアは妖しく目を細めてフッと笑った。


「甘いねぇ、マルク。あんたがそこまで切羽詰まってるってことは、それだけ旨味のある遠征なんだろ?」


 セリアは指を二本立てた。


「優先権は『2回』だ。それなら、うちの選りすぐりの精鋭を一人、あんたの指揮下に完全につけてやるよ」


「なっ……!? 2回だと!? 強欲すぎるだろセリア!」


「嫌なら他を当たりな。もっとも、今日中に手練れを貸してくれるお人好しが他に居ればの話だけどねぇ?」


 勝ち誇った顔で煙を吐くセリアに、俺は奥歯をギリリと噛み締めた。ミラの底なしの胃袋と、特注防具の請求書が脳裏をチラつく。


「……くっ、分かったよ! 2回だ! その代わり、最高に気の利く前衛を出せよ!」


「毎度あり! 交渉成立だね」


 セリアは満足そうに口端を吊り上げ、壁の呼び鈴をカランと鳴らした。


「おい、入ってきな! 今日からマルクの遠征に同行してもらうよ!」


 重い扉が開き、静かな足取りで一人の熟練冒険者が姿を現した。 傷だらけの大盾を背負い、使い込まれたフルプレートアーマーを纏った無精髭の巨漢――ヴォルクだ。


「マスター、呼んだか。……なんだマルク、今回の雇い主はお前だったのか」


 苦笑いを浮かべる大盾使いを見て、俺は思わず顔をほころばせた。


「ようヴォルク、あんたなら安心だ」


 右手を差し出すと、ヴォルクはタコに覆われた無骨な手で力強く握り返してきた。


「驚いたぞマルク。お前の依頼なら断る理由はない。道中の盾役も野営の設営も、全部俺に任せておけ」


「ああ、頼りにしてるぞ!」


(痛い対価を払っちまったが……気心の知れたヴォルクが前衛の要に入ってくれるなら、ミラの暴走もカバーできる。安全に高額素材を乱獲できる体制は整った……!)


 破産回避に向けた、危険な遠征討伐の幕開け。俺は確かな手応えを感じ、気を引き締め直した。

新しい美少女が出てくると思った?

残念!!

渋いおっさんでした!!


冒険の先が少しでも気になった方は、リアクション、☆、ブックマークお願いしますm(__)m

カクヨム様でも掲載させていただいております。

是非、応援お願いします。




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