26 転生の話をする ①
どうして、このノートが他人の手に取り渡っているのか。
理由はわからないが、ちゃんと説明してくれたらならまだしも目を逸らすとは……。
家に帰ったら、絶対に殴る!
苛立つ気持ちを抑えて、キースに尋ねる。
「どうしてキースがそのノートを持ってるの?」
「それは後で話す」
「……それについて、テツはなんて言ってるの?」
どういう経緯でキースの手に渡ったかわからないだけに下手に答えることができない。
探りを入れてみたら、キースは素直に答えてくれた。
「テツはアリスに聞けって。もしかして、最近のお前が別人みたいになってることと関係してるのか」
当たってる。
……んだけど、ここはどう答えるべきか。
それにしても、キースはどうして書かれてある文字が日本語だとわかったの?
哲平が自分から話すとは思えない。
ということは、もしかしてキースも転生者?
いやいや、そんなにたくさん転生者がいても困る……と言いたいけど、絶対にいないとも限らない。
ここは腹を括るしかなさそうね。誤魔化しても無駄な気がするもの。
どのみち、彼には味方になってもらわないといけないから、こちらも誠意を見せることにする。
「信じる信じないかはあんたに任せるけど、とりあえず話すわね」
休み時間の関係上、詳しくは話せないが、昼食をとりながら今までに起こった話をしようと決めた。
聞き耳を立てている人がいないか確認しながら小声で話した。
「アリスがそんな目に遭ってたなんて、全然知らなかった」
私が話を終えると、キースは祈るように指を組み合わせたあと、前屈みになり、その手を額に当てた。
だいぶ、ショックを受けてるみたい。
私の話をすんなり信じてくれたことはありがたいけど、長年友達だったのに、気付いてあげられなかったなんて知ったら、そりゃショックを受けるわよね。
こんな時、なんて言葉をかけたらいいのかわからない。
黙ってキースを見つめていると、彼は深呼吸してから顔を上げた。
「……悪い。で、今のアリスは、アリスをいじめてた奴らを特定して、自分が何かされたらやり返そうとしてるんだな?」
「そう。毒を入手した相手が誰かはわかってるんだけど、こっちからあの時はよくもやってくれたな、なんて行くわけにはいかないでしょ」
少しふざけた調子で言うと、キースは軽く笑ってから、また表情を深刻なものに戻す。
「お前を止めはしないけど、あんま無理はすんなよ」
「ありがと。あと、気になることがあるんだけど」
「なんだよ」
「ノアが誰かに命を狙われる理由って何か考えられる?」
「……俺のせいってことはないよな?」
辛そうな顔をしてキースは私に尋ねた。
アリスが飲んだ小瓶はノアに渡すように言われていたことはキースに話をした。
だから、そう考えたんでしょうね。
ここは正直に答えることにした。




