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気弱な令嬢ではありませんので、やられた分はやり返します  作者: 風見ゆうみ


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25  正体がバレる

 私たちが婚約しているという話は、あの場にいた先生が他の先生たちにも共有してくれた。

 そのおかげで帰りのホームルームで私のクラスでも発表があった。

 というか、普通に担任に頼んで話を回してもらえば良かったのでは?


 冷静になればそう思うが、インパクトはあった……と良い方向に考えることにした。


 そんなこともあり、今までアリスをいじめていた多くの人間は、公爵家からの報復に怯え、泣いて眠ることになり、私への嫌がらせは全くなくなった。


 まあ、今だけかもしれないから油断をする気はないし、日記に書かれていた主要人物については、このまま許すつもりはない。

 アリスの元婚約者は別の学園にいるから、そっちの件も手をかけていかなくちゃね。


 やりすぎてどっちが悪役かわからなくなったりするのは良くないから、やりすぎないようにしなくちゃいけないわ。


 平穏な日々を過ごし始めていた頃、ラス様から手紙が届いた。

 

 私や家族、そして哲平の健康を気遣う言葉のあと、アリスが飲んだ小瓶に入っていた毒について書かれていた。

 小瓶の中には少量だけれど中身が残っていたので、哲平経由で調べてもらっていた結果が出たらしい。


 やはり、少量の薬物が含まれていた。入手経路はそう難しいものではなく、値段もそう高くない、量産型のものだと書いてあった。


 薬も毒になると言うけど、今回はそのパターンらしい。


 アリスやノアの周りで怪しい人物がいないかは、改めてラス様が調べてくれるそうで、この件については結果待ちをすることにした。

 

 あと、アリスの両親に正体がバレてしまった。

 やはり、本当の親は違う。

 ……いや、これだけ性格が変わって、服装などの趣味も変われば、別人じゃないかと疑いたくなる気持ちはわかる。

 二人共、私を傷付けないように配慮しながら、話を切り出してくれたから、その時はちょっと涙が出そうになってしまった。

 

 正直に全てを話すと、アリスが亡くなってしまったことについて両親はとても悲しんでいた。

 でも、私がこの身体に入ってくれて嬉しいとも言ってくれた。そして、引き続き、自分たちのことをお父様、お母様と呼んでほしいと、優しい言葉まで掛けてくれた。


 日本にいる両親を忘れるわけじゃない。

 でも、アリスの体の中に入っている間は、目の前にいる両親を幸せにしようと思った。


******


 それから数日が経ったある日の昼休み。

 今日はノアは体調不良で休みだった。

 食堂の端にあるカウンターで、ご飯を食べていると、私の隣の席の椅子を誰かが引いた。

 カウンター席は人気がない。

 空席が多くあるにもかかわらず、私の左隣と右隣に食べ物と飲み物が載ったトレーが置かれたので警戒して振り返った。

 すると、私の左隣に哲平が、右隣にキースがいて、キースが笑顔で話しかけてきた。


「ノアが休みだから一人か」

「そうよ。あ、キース、ノアは大丈夫そうなの?」


 大したことはないと聞いているが、心配になってキースに聞いてみた。

 キースは私の隣に座って答える。


「大丈夫だと思うぞ。あいつ熱に強いから」

「でも、熱が下がらなかったら、明日も休みになるわよね? それに原因がわからないのなら心配よ」

「よく談話室で寝落ちしてるから、ただの風邪だと思う」


 キースと話をしている間、左隣に座った哲平が全く話そうとしないから顔を向ける。


 なぜか皿に載ったお肉とサラダを、口に運ぶわけでもなく、ひたすらフォークでつついていた。


 こういう時の哲平は私に何か言いたいことがあるけど、言い出しにくい時だ。

 仕方がないので、キースとの会話を中断して尋ねる。


「……何かあったの?」

「………」

「あった」


 哲平に聞いたけれど、奴は答えず、代わりに答えてくれたのはキースだった。


「これのことなんだけどさ」


 そう言って、私に見せてくれたのは先程まで小脇に抱えていたノートだった。

 一般的なノートだったため気にしていなかったが、ページを開いた状態で見せられた瞬間、動きを止めた。


 私が哲平に預けていたノートだった。

 どうしてキースが持っているのかわからない。


 ノートを私に差し出しながら、キースは尋ねる。


「このノートに書かれてあるの、ニホンゴだよな?」

「……っ」

 

 声にならない声を上げたあと、私は説明を求めて哲平に顔を向けた。

 彼は、バツの悪そうな顔をしてそっぽを向いただけだった。


 


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