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気弱な令嬢ではありませんので、やられた分はやり返します  作者: 風見ゆうみ


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24/40

24  心配される

 ゴミを片付け終えたあと手を洗いにいった。

 教室に戻ってきてすぐに予鈴が鳴ったので、ノアは急いで自分の席に戻っていった。


 授業前後のチャイムも日本と変わらないが、違うのは魔法で音を調整されていることだ。

 

 授業が始まっても、クラスメイトの私への好奇と疑心の目を常に感じて、さすがに気分が悪かった。

 

 言いたいことがあるんなら言いなさいよ。


 ……と言ってやりたいとこだが、誰かれかまわずに喧嘩を売るのは違う。

 そう思って授業に集中することにした……んだけど、やっぱり無理だった。

 開けた教科書に落書きされているせいで、気が散ってしまう。


 全てのページにではないが、ブスだの痩せすぎだの色々な悪口が書かれていて、見ているだけで腹が立ってくる。


 教科書を買ってもらわないと駄目ね。

 アリスの両親に頼んだら、どうしてか理由を聞かれるでしょうし、ここは哲平様にでも買ってもらうか。

 

 授業中は黒板とノートに記入することに集中し、教科書は開けるだけで見ないことにした。


 結局、午前中の間はノアと学級委員長だというシエル・グローゼルが話しかけてきたくらいで、他の人間は終始、私が暴れ出さないか見守っているような感じだった。 


 そして、昼休み。

 昼食は教室では食べてはいけないらしく、食堂もしくは中庭で食べなければならないそうだ。

 

 ただ、全学年が一度に行くと食堂に入りきれなくなってしまう。

 そのため、学年ごとに時間が割り振られていて、授業の時間も少しずつズラしてあるらしい。

 魔法で鳴らすチャイムだから、その辺の調整は簡単らしい。

 いつも食堂のビュッフェを食べているというノアに合わせて、私もそうしようと思い、席を立った時だった。

 開いていた教室の扉の向こうから、哲平が大きな声で私を呼んだ。


「俺の可愛い可愛い婚約者さん! あまりにも可愛すぎるから(ツラ)かしてくれねぇかなぁ」

「あら、ダーリン! 私も会いたかったわ! なんのお話かしら!」


 イヤミったらしく言ってくる時は、大体機嫌が悪いときだ。

 だけど、なんで機嫌が悪いのかはわからないから、こっちはふざけて言葉を返した。


「あ、ノア。悪いけど、キースと一緒に先に行って俺らの席もとっといてくれね?」

「え! あ! はい!」

「敬語じゃなくていいって」

「あ、うん! 了解!」


 哲平も私の扱いには慣れたものなので、駆け寄った私には目もくれず、私の後ろからついてきたノアと話をした。 

 ノアと別れると、哲平は無言で私の手首をつかんで歩き出す。


「いだだだ、痛い、痛い」

「お前、何やらかした」

「何が」

「俺のクラスにまでお前がおかしくなったって話がまわってきてるぞ」

「おかしくなったっていうのは失礼なんじゃない?」


 私は言いたいことを言っただけなんだけど?

 

 そう思って文句を言うと、哲平は私を横目で見たあと頷く。


「そうだな。お前はおかしいのがつうじょ」


 何と言おうとしているかわかったので、私の手首をつかんでいる哲平の手の甲を、つかまれていないほうの手でつねる。


「いってーな、地味に痛いからやめろ!」

「もしかして、さっき教室で婚約者って口に出したのは、わざとなの?」

「ただ売られた喧嘩を買うだけじゃ駄目だろ。俺とお前が婚約者同士だっていうのを学園全員に知らせねぇと意味がない」

「私のバックに公爵家がいるというのを知らしめるってことね? でも、どうやって?」

「社交界で流してもらうのも手だが、この学園は平民も多いからな。だから、教師を使う」


 哲平は難しい顔をして答えた。

 

「じゃあ、今から職員室に行くの?」

「そういうことだ」


 広い校舎なのに職員室の場所をもう知っているのか、哲平は早足で迷う素振りもなく進んでいく。足の長さが違うから、こっちは小走りで付いていくしかない。


 哲平が私の腕をつかんでいるせいで、制服のリボンタイの色が違う生徒から、すれちがいざまに好奇の目で見られた。

 この学園は男子はネクタイ、女子はリボンタイの色で学年がわかるようにしており、私たちの学年は赤色だ。


 それにしても、つかまれている手首が痛い。


「なんで怒ってるのよ」

「……お前が勝手ばかりするからだろ」

「だってあんなことされてたら、腹が立ってもしょうがないと思うわ」 

「何をされたか知らねぇが、お前が俺の婚約者だっていうことが知れ渡ってからなら好き勝手してもいい! だけど、公爵家の後ろ楯がなけりゃ、お前はただの子爵令嬢だぞ! どんな奴に目をつけられるかわかんねぇだろうが!」


 哲平はそうまくし立てると、私から目を逸らした。

 そっか。

 哲平は心配してくれてるのね。


「ごめん。先走りすぎたわ」

「……いつものことだけどな」

「お礼にちゅーしたげようか」

「いらねぇ」


 機嫌を直してくれたのか、哲平は私の目を見て笑ってくれた。

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