表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気弱な令嬢ではありませんので、やられた分はやり返します  作者: 風見ゆうみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/39

23  お返しする

「ねぇ、聞いてるの?」

「え? あ、それは……その」


 反応がないので再度問いかけると、赤色の髪の女……ではなく、女性が視線を彷徨わせた。


「聞こえなかったみたいだから、もう一度言うわね。訳の分からないことをした暇人は、あんたたちなのかと聞いてるんだけど?」

「……ど、どうしたの、アリス。記憶がないのはわかったけど、性格も違わない?」


 驚いた顔で言葉を発したのはノアだった。

 

 ノアはそりゃあ困惑でしょうね。

 今まで大人しかったアリスが、突然、クラスメイトに噛みつきはじめたんだもの。

 私は笑みを浮かべて答える。

 

「昔の私がどんな性格だったかわからないけれど、私は大丈夫。ノアは自分の席に戻ってくれていいわよ」

「そういう訳にはいかないでしょ」


 さすがに見て見ぬふりはできないのか、ノアが困った顔をした。

 私が四人組に視線を戻すと、私の質問に対する答えが返ってきた。


「別に暇人なんかじゃないわ。ゴミ箱だと間違えたの。ごめんなさいね」


 グループの中ではリーダー格の人間なんだろう。

 さっき答えようとした赤髪とは別の女が、鼻で笑って言った。


 口だけの謝罪で、ちっとも悪いと思っていないみたいね。

 それならそれで、やり返させていただくことにしましょうか。


「あら、そう。じゃあ、お返しするわね。自分でゴミ箱に捨ててくれる?」

「……どういうこと?」


 私はにっこりと微笑み、机の中に入れられていたゴミを抱え持った。

 そして、彼女たちの頭の上にぶちまけて答える。


「こういうこと」

「な、何するのよ!?」


 ぎゃーぎゃーと騒ぎ立てるものだから、視線が一斉に集まった。みんな、口を閉ざし、黙って私たちを見つめている。

 

「ゴミ箱を間違えたっていうから返しただけだけど?」

「どう考えたって、ここはゴミ箱じゃないでしょう?」

「じゃあ、私の机の中だって、どう考えたってゴミ箱じゃないと思うんだけど? もしかして目が悪いの?」


 リーダー格の女は頭にのったゴミを払いながら涙目になって叫ぶ。


「私たちだって好きでやってるんじゃないわ!」

「あら、誰かに指示されたとでも言うわけ?」

「何をいまさら! そうに決まってんでしょ!」

「誰に指示されたの。ちゃんと言ってくれないとわからないんだけど?」


 冷たい声で尋ねてみたが、名前を口に出すことができないらしい。

 リーダー格の女は顔を真っ赤にして泣き始めた。

 何で泣くのよ。

 私が悪役みたいになるからやめてほしいんだけど。


 あれかしら。

 名前を言っちゃいけない人がこの世界にも存在するとか?


 一人が泣き始めると、他の子たちまで泣き出した。


 なぜか私が加害者状態になっている。


「……言えないんならいいわ。それなら、あんたに指示をした相手に、これ以上ふざけた真似はするなって伝えて。何か文句があるなら、直接お前が言いに来いってね」


 静まり返った教室内に私の声が響き渡る。


 あー、スッキリした。

 というわけで、後片付けをしましょうか。


 気持ちを切り替え、笑顔でノアに話しかける。

 

「ノア、ゴミ箱はどこにあるの?」

「え? あ、あっちにあるから、持ってくるね!」

「ありがとう。ごめんね。片付けるの手伝ってくれる?」

「もちろん。ちょっと待って」


 ノアは驚いて目を丸くしていたけれど、すぐに我に返って、教壇近くにあったゴミ箱を取りに行ってくれた。

 ゴミ箱を持ってきてくれたノアと一緒に、机の中に入っていたものや、クラスメイトにぶちまけて床に転がったゴミを拾う。

 すると、リーダー格以外の子たちが一緒に拾い始めた。

 そして、私の隣にしゃがむと、小さな声で言った。


「……ごめんなさい。言い訳にしかならないけど、どうしようもなかったのよ。平民は言うことをきかないと貴族から……」


 どうやら私をいじめろと命令されていたみたいね。


「色々とあるみたいだし、無理に口にしなくてもいいわよ。そのかわり、こんなことを他の誰にもしないで。もし、やれと言われたら私に相談してちょうだい」


 私の言葉が聞こえていたのか、他の二人も「ごめんなさい」と小声で謝ってきた。


 やってはいけないことをやったのは確かだけど、平民が貴族の命令を断るのは難しいんでしょうね。


 小瓶の黒幕と、いじめの黒幕は同じだと思ったが、そうでもないようだ。

 なぜそう思ったかというと、アズール男爵令嬢は違うグループに属しているようだからだ。


 とにかくまずは、平民を脅してまでアリスをいじめていた貴族が誰か、探し出すことにしましょうかね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ