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ep67 祖父たちの猟果

※ 実に2カ月ぶりのうpです^^;

色々忘れていて焦ったのは秘密にしたい。


一応日付

2026年8月12日




機嫌の良い猟犬たちの鳴き声、幾頭かの馬の嘶き。 そして多くの蹄鉄は裏庭へ向かう音を響かせる。 珍しく日の差し込む穏やかな秋深き午後のひと時。 門から近付いてきた音は、王都の静かな町屋敷の邸内まで届き、狩猟大会から祖父たちが帰宅したことを知らせる。



わたしは、お祖父さまたちの狩猟大会の主目的である魔狼イエロードックを仕留めた数より、増え過ぎたと聴かされたわたしの好物であるポム兎の肉を多く持ち帰ってきてくれるのを期待しながら、エントランスホールまで彼らを出迎えに急いだ。


エントランスホールで、お祖父さまは防寒用のオーバーコートとマントを脱衣を手伝った執事のクロードに預けて、厳めしい顔の眉間を緩め、楽し気な笑みを弟のジルやわたしへと向けた。



「ただいま。ジルベール、オリビア。」

「「お帰りなさい、お祖父さま。」」


わたしたちの方に歩きながら、朗らかな声で、お祖父さまは帰りの挨拶を告げた。

お祖父さまに付いて屋敷に入ってきていた護衛騎士たちも其々のマントを使用人たちに預けていた。



わたしは女性陣の姿が見えなかったので、思わず、お祖父さまに母と祖母たちの所在を尋ねてしまった。

するとお祖父さまは静かに笑み、お母さまとお祖母さまは、移動が馬車の為、もう少しあとに到着する予定なので、心配は要らないと答えてくれた。

その答えにわたしは一安心し、お祖父さまへ肝心の(わたしにとって)ポム兎の猟果を尋ねてみた。


するとお祖父さまは、魔狼イエロードックの数が中々に多かった為、狩りを始めた時には、野生のポム兎やグラス狐の姿は見掛けなかったそうだ。 先行していたハンターたちがイエロードックに仕留められたポム兎たちを回収したのだろうと、眉と目尻を下げ、残念そうに話した。


その代わりイエロードックは、一週間で30頭ほど狩ることが出来たとお祖父さまは、嬉しそうに声を明るくした。

イエロードックは、頭が良く防御に土系の魔法を使う為、仕留めるのが難しいそうだ。

魔狼イエロードックのお味は、香辛料とオイルに漬け込み臭みを消してから保存食にする位で、美味しい肉では無いとのこと。 あんなに美味しいポム兎の肉を食べるのに、『どうしてよ!?』っと突っ込みたくなったわたしを許して欲しい。



でも王領にある中央の地で狩れる魔獣の中では、魔核が大きいらしく魔道具で使う魔石に利用するため、狩りをするのは面倒な獲物だけど、ハンターの需要が高いらしい。 数頭で人間を襲うこともあるデンジャーな魔獣なのだとか。 

(お祖父さま、、イエロードックたちが、人間を狩る詳細な説明は御免被りまするぅっ。 うぅっ、くわばらくわばら。 わたしって血みどろなスプラッターなのは嫌なのですよ。)


そしていつの間にかエントランスホールに並べられた椅子に座り、ローランとジェロームまで、お祖父さまの話に参加して、アトラス山脈で戦った雪狼の話まで語り始めた。

(ちょっと待って。ローランは数歩譲って分かるけど、ジェローム君。まだ10歳なのに、君は何でそんなに狩猟に詳しいの?変!絶対に変!)



お祖父さまたちから、狩りの様子を熱っぽく語られ、キラッキラな笑顔で聴いているのは、白い子猫みたいな愛らしいジルと興味津々で真っ直ぐにお祖父さまたちを見ている茶系の子猫なセルジュ。 なんとも癒される光景だけど、お祖父さまたちの話が血生臭くてオドロオドロし過ぎる。


わたしは耐え切れず、エントランスホールに置かれていた猫脚の長椅子からそそくさと立ち上がり、サロンへと向かって、デジレとコレットと共にいそいそと避難した。






お祖父さまたち(ローランとジェローム含む)から聞かされた、過去に襲われた人たちの哀れなスプラッター状況をわたしは悪夢に見ること二日間。

わたしは、すっかり睡眠不足になってしまった。

本当に酷い、、、耳からの暴力行為よ。


そしてお祖母さまとお母さまは、二人して寝込んでいた。


病気ではなく、腰痛や背中など馬車の振動による打身で、動けない状態なのだ。


何でも今回の猟場へ行く道は、舗装の仕方が甘く、かなり荒れていて通常では体験できない揺れを味あわされたそうなのだ。 お母さまやお祖母さまに付いて行った侍女やメイドたちは、二人より苦しんでいた。 幾らアーシュレイ侯爵家でも流石にお母さまやお祖母さま付き使用人たちの全てを侯爵家の二人専用の馬車に乗せるのは無理だった。 そのため分乗した使用人用の馬車は簡素で、座面のクッションすらもひたすらシンプルだった。 その分、使用人たちの躰への負担が、お母さまやお祖母さまより大きかったモノと思われる。



「ズルをしないで、私は馬に乗り往復すれば良かったわ。」


様子伺いに母の部屋に行けば、ベットで俯せになり、メイドから薬草を練り込んだ布を痛む患部に当てもらい、しどけない姿で、母は溜息を吐いて、そう言った。

いえいえお母さま、次期侯爵夫人は馬車に乗って移動するのが普通ですわよ?


わたしは何気なくそんなお母さまに「治療師の回復魔法で直せば如何かしら?」と、問いかけた。

すると母は、小さく笑んでわたしに答えてくれた。


「重症でもないし無理に身体を動かす必要もないから、私には専属薬師で十分よ。それにココは町屋敷(タウンハウス)ですもの、、、。」



そうでした。

光属性の回復魔法を扱う治療師が居るのは、アーシュレイ領地の領主館でした。

領地には、アーシュレイ侯爵家に仕える騎士団が在るので、領主館に神殿から治療師を派遣して頂いてるけど、王都の町屋敷(タウンハウス)には居ないのでした。


勿論のこと神殿に依頼すれば来て頂けるけど、正直面倒くさ、、、いえ、手続きに意外と手間が掛ったりするのです、エエぇホントに。 いえ神殿の方は、良い人が多いのですよ。 でもですね、寄付とか寄付とか寄付とか寄付の話がどうしても、、、。

でもまあ重症な怪我とか痕に残りそうな火傷であれば、そんなことなんて四の五の言ってられないのですけれどね。 それに今治療師の方々は王領の猟場に留まり、狩猟で怪我を負った方々を回復魔法で治療中なのでした。



そう言えば、お祖父さまと狩場に同行していた護衛騎士の方の話では、フルーブ4世国王陛下が猟の最中に獣道で転び、軽い怪我をしたそうです。 直ぐに側近たちは、国王陛下を王城へ連れ帰ろうとしたのだけど、そのまま国王陛下は狩場の古城へ向かわれ、祭事である狩猟大会自体は続行されたのでした。

まあだからお祖父さまが、八日間近くも、王都近郊の狩場に逗留していたのですけどね。


国王陛下は、暫く狩場の古城で、休養も兼ねて療養されるそうですよ。


何はともあれ、アンゼル枢機卿台下なども参加なされたフローラル王国の祭事が、無事終わりホントに良かった。 

後は,、お母さまとお祖母さまの打身が一刻も早く緩和するようにソラリス神に願っておこうと思いますデスよ。







◇◇◇◆◇◇◇



オリビアを怖がらせるだけ怖がらせたローラン(ミュウ)は満足して、ジェローム(ディオ)と共に1階の廊下を歩いていた。

その後ろから、オリビアを怖がらせたローランに水滴をぶつけながらフヨフヨと浮かび付いて行く水精霊アルプ(次期水の精霊王)の姿があった。

残念ながらその光景を見れる者は、この空間にはローラントジェロームしか居なかったが。



そしてジェロームに用意された格調高いシックな客室で、ローランはゆったりとしたソファーに座って、水精霊のアルプと向き合って、ジェロームと共に話し合っていた。


「で、アルプ様。アンデル大枢機卿(トリ)からの風精霊エアリル様は何のメッセージを?」

『ハァ、我を紙鳥代わりに使うとは、、ソチらは全く。』

「申し訳ありません。僕は未だ契約精霊が居ないもので。ジェロームも聖冠の儀が未だですから同じく。」

『仕方ないか。、、、いや余りに下らぬ言付け故な。』

「アレプ様、それは一体?」

「何だろう、心配だよね、ロロ(ローラン)。」

『フルーブ4世が怪我で祭事を抜け出したのは、猟場の森番の小娘と(つが)うためだった、、そうエリアル(風の精霊)は言っておった。 なっ、下らぬだろ?』

「、、、。す、すみません。ウチのアンデルが精霊様になんてことを。」

「はぁ、やっぱり師に狩猟大会の参加を断っておいて良かった。僕の直感は正しかったことが証明された。まあ僕たちは、フルーブ4世が誰と(つが)おうと関係ないけどね。 でもこれで師から毎年参加を強要されている祭に出ない言い訳が立つよ。」

「ロロは、肝心なコトを忘れている。あのアンデルが精霊様を使ってまで言付けをしているってコト。」

「、、、、」

「な?」


次の精霊王であるアルプには『下らぬ』と言い捨てる位、フルーブ4世のことはどうでも良かったが、心配顔のジェロームに、明るく笑んでいる契約精霊のいないローランのことは気になっていた。


アルプは魂のヒビが癒え切っていないローランの薄っすら付いた傷痕を眺め、もう一度闇の精霊王を訪ねてみようと考えていた。





◇◇







※ニコル・メナシードちゃんの設定メモの量の多さに書いてた自分が唖然。 主人公であるオリビア・アーシュレイより多かった (;^_^A汗。


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