ep51 世界のナンチャラは要りません
昨年の暮れから、実に久しぶりなアップ。4月20日掲載デス。
なんかファンタジー的な感じになって来つつある気がしたりする。剣と魔法の世界からは極力遠ざかって書きたかったのに。
思い付きで行き当たりばったりにストーリー創るからこんなことに〔泣〕
読み難いよね。ごめんなさい、ごめんなさい、、、(リフレイン)
◇
「オリビア。君に此の世界の真実を教えよう。」
「いえ!要らないです。絶対に!!」
私は秒でニヤつくローランの申し出を拒否した。
「ええー、要らないの?普通は大枢機卿になれる者しか知り得ないお得情報だよ。勿体ない。」
ローランが、眉毛をハの字にして麗しい顔を情けなくしてもノーサンキュー。
私は「アルプ」ともう一度叫んで、ペルシャ猫モドキの青く丸い瞳と私は目を合わせた。
『やっほー。やっと話せるね。オリビア。』
「おっ、おわ。喋った!凄い!」
『一応、これでも我は、近い将来水の精霊王様だぞ。オリビアよ。さて、その水の精霊石で作ったモノを外して見ろ。』
親指大になった水色のペルシャ猫モドキのアルプが、フヨフヨと私の目の前で浮かび、偉そうに話している。
未来の水の精霊王アルプさまの言う通り、私は掛けていたメガネを外し、ローランが用意してくれた細長いシンプルな紺色の宝石箱の上蓋を開き、なんだか途方もない物で作られたメガネを丁寧に仕舞う。
宝石箱の蓋を戻して顔を上げると──────
メガネのレンズを通さなくてもスッキリとした視界で室内が見渡せた。
「遣りました!これで憂いなくお茶会に参加出来ます。ありがとうございます。ローラン先生、アルプ。」
「いえいえ、どう致しまして。オリビア。まあ僕も、精神に作用する闇魔法を周囲へバレないように使うのは面倒だったから、制約魔法で契約してくれて僕も嬉しいよ。これで無意識で、ユリウス教への疑義や魔法・精霊については、僕たち以外誰にも喋れなくなったしね。フフっ。」
ローランは、晴れ晴れとした楽し気な調子で爆弾を落としながら軽口を叩いている。
精神に作用する闇魔法って何?
制約魔法って言うのも聞いたことが無かったけれども。
あれ?
この世界の魔法って、火・水・土・風・光の五属性だよね?
闇魔法なんて知らないわよ。
いやいや此れ以上、ローランから何も聞きたくない。
そんなファンタジーで特殊な設定は、悪役令嬢の私には不要ですから。
マジで。
私は、単に祖父や母が流行病で亡くなることを防いで、父親と再婚相手とヒロインのアリシアとの同居を阻止したいだけなのだ。
序に、第一王子との婚約も噂話で終わらせたい。
普通に侯爵令嬢として父以外の家族と楽しく生きて行きたいだけなのだ。
水の精霊アルプと話せるようになったのは嬉しいけれど、その他の特殊設定は解除をお願いしたい。
礼拝堂のローランの私室で、ローランは嫌がる私に、それはそれは麗しくも美しい笑顔を浮かべて、ソラリス神の話や大枢機卿と枢機卿の違いなど知りたくもない事を水の精霊アルプと一緒に話してくれた。
(うんにゃろー!)
と、心の中で幾度となくローランを罵倒してみたり。
意味ないけども。
ハタチ過ぎの大人が、8歳の少女相手に大人気ないと思わないのかね、ローラン君。
そして脳が痺れて思考拒否し始めたことをローランに訴え、5時間近くに及ぶ古より紡がれた神話談義が漸く終わり、私は水の精霊アルプと共に礼拝堂を出た。
礼拝堂の出入り口には、護衛騎士のアッシュが待って居た。
私は、風薫る5月終わりの煉瓦敷きの遊歩道を楡林を眺めつつ、領主館の東棟へと歩いて行った。
右手には、シンプルで細長い深い紺色の宝石箱を持ち、自由になった視界で、青々とした初夏の風景を楽しみながら。
◇◇




