友達
俺たちは自分の部屋を出てトコトコと病院の廊下を数歩歩いてその死の部屋に到着した。
それにしても隣、死の部屋と隣、、、。
『俺あと何日で死ぬんだろ』
零に聞こえないような声でボソッと呟いたあと病室の表札を見た。
[香田連]
『”れん”、、、よし!』
俺は意を決して病室のドアをノックする。
『すみません、隣の部屋の患者なのですが入ってもいいですか?』
すると声がか細くだが帰ってきた。
『ダメ、、、です』
本当に小さな声。まぁ、そうなるよな。普通急に隣の部屋に話しかけに行く奴なんて怪しすぎるし。
こんな時陽キャなら、『俺君と友達になりたい!!』とか言ってうまくいくのだろうか
『零、俺じゃ無理みたいだ』
『え〜!?勝星諦めるの早い!』
俺の答えに零が反発していると
『その声、、、たまに僕の近くにいる幽霊さん?』
病室の中から声がしたと思うと、ドアの近くに歩いてくる音がする。
『あれ?連、私のこと見えてたの?』
『うん、霊感はないはずなんだけど、私の、ぁじゃなくて僕の前をよく通りかかってたから』
『ふーん。てことは共通の知り合いはいる訳だ。つまり、俺はこの部屋に入ってもいいのかな?』
『ダメ』
『どうしてだよ?せっかくだし話したりしようぜ。そうだな、例えば、、友達についてとか』
『え、、、』
え、、、、、
アーーーーーーーーやっちまった!!焦った!零の未練かも知れないからって多分大事な所触っちまったーーーーーーー!!
『いや、今のことは、、、』
『もしかして友達になってくれるの?』
『え、、、。あぁ、俺、零からお前が友達がほしいって言ってるって聞いて、、、俺、この幽霊を成仏させることを目標にしてるんだ。もしかしたらお前みたいな奴を生前残してきたから成仏できないのかもしれないって考えてさ、こんな事情があってな、、、今までボッチだった俺で良ければ、、、友達にならないか?』
『どうして隠さなかったの?』
『え?』
『僕と友達になりたい理由、決して美談じゃないのに』
『あぁ、そのこと?俺、あんまりそう言うの隠して友達とかになるの嫌なんだよ。だから友達がいないんだろうけどな、』
ハハハと俺は苦笑いをした。
零は『勝星は正直だね〜』と扉を通り抜けて遊びながら言った。
しばらく連は黙ったがやがて言葉を返した。
『友達になりたい、君と。でも話すときはこうやって扉の前で話すか、隣の部屋だって言うなら壁越しでお願い。身勝手だけどこれができないなら僕は君と友達になれない』
俺は不思議に思ったが何か事情があるのかと思って『分かったよ』と短く返した。
幸いこの病院の壁は薄い。壁越しで話すことは容易だろう。
『良かったね〜勝星、連!』
そう言って零は俺の周りをくるくると回っている。
そうして俺たちは友達になった。
俺はまだ知らなかった。このあと、このことがあんなことにつながるなんて予想もしていなかった。




