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墓に添える花の名は  作者: 春鏡凪/ちゃんす
死の部屋編
9/77

友のいる日常

俺たちはその日から病室の壁越しで話すようになった。

好きなものは何か?嫌いなものは何か?そんな他愛もない話をずっとしていられるぐらいの仲にはなり、俺の周りは少し前よりも、もっと騒がしくなったのだった。

『連〜なんか本読んで〜私もっともっとお話聞きたい!』

連の部屋には本がたくさんあるらしく、零はしきりに本を読み上げられたがった。自分で読めとか思うかもしれないが忘れてはいけないのがここ。零は幽霊だからページをめくるどころか本棚から本を引き出すこともできないのだ。

『いいけど、いいの?勝星?成仏のお手伝いしてるんでしょ?』

連とはこんなに早くお互いに名前を呼び合える仲間になれたのは意外だったな。

俺は尻(というかスカート?)だけをこちら側に出して壁を通り抜けている零を横目で見ながら『いいや、いいよ。零がそれだけ夢中なんだ。もしかしたら本が未練なのかもしれないし、もっと本を読んでやってくれ。

『分かった。零〜?じゃあ読むよ?』

連が読み上げる

俺もそれに耳を傾ける。

俺も零程ではないが話を聞くのは好きだ。いや、連の声を聞くのが好きと言ったほうが正しいだろうか。

連の声は中性的で男の声とも女の声とも違う。

こういう声の持ち主のことをなんて言うんだっけ?まぁ、あとから調べてみるか、、、。


今読んでいるのは師弟の話だ。凄く師匠が優しくて俺は個人的に主人公の弟子より師匠のほうが好きだ。優しくて賢明でどんな時でも弟子の味方。そんな人間に俺も会ってみたいものだとひねくれながら俺は目を閉じて昼寝をしだしたのだった。



『勝星!今のシーンどう思った?、、、って寝てるし』

『勝星寝てるの?』

『うん、そりゃもうぐっすりと』

『話、つまらなかったのかな?』

連がしょぼんとする。

『ううん、すっごく面白かった、多分最近検査とか多いから疲れてたんだと思う』

そう、最近勝星はいつ悪化してもおかしくないため普通の人よりも数倍は検査をしているのだ。

『勝星、大丈夫なの?僕は半永久的な”病気”だから死にはしないけど』

『でも、連も大変でしょ。そんな厄介な”病気”にかかって、、、』

『いいの、僕は恨む人がいるだけマシだよ。』


それを聞くと零は少し悲しそうに眉を潜めた。その顔は勝星の部屋に零がいたため見えなかったがいつもの零とは違って見えるのだった。

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