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墓に添える花の名は  作者: 春鏡凪/ちゃんす
金平糖
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次の作戦

「さて、どうしたもんかな」


俺は次どうするかということを考え出した。

俺が外に出るのはアウトだし、連は外に出れると言っても霊は見えないようだから意味はない。


「なぁ明華。なんかいい案ない?」


「それが分かってたら勝星に頼む必要もないじゃん」


「それもそうか……」


俺はまた自分の世界に閉じこもった。

ここはいっそのことどっかから霊が見える人を雇ってくるとか?

でもインチキ野郎ばっかりいそうだしな……


そんな自分の世界に閉じこもった俺の肩が誰かに叩かれる。反射的に振り向くとそいつの指が俺の頬にささった。


まず、そんなことできる奴はこの部屋に一人しかいない。

美しい輪郭、高い鼻、そしてリップでも塗っているように潤った唇。

何回見てもきれいだと思ってしまう。


俺の頬をついていた人物は少し不服そうな顔をしていた。


「ちょっと勝星、僕のこと忘れないでよ」


連がスマホを片手に話しかけてきた。


「あぁ、ごめんごめん。なんかいいことでも思いついたのか?」


「そうだけど、なんで僕に頼ってくれないのさ」


「ごめんって、それで、いいことって何だ?」


すると連はムーっと言ったような顔をして


「教えようと思ってたけど、やっぱやめた!!」


連はプイッとそっぽを向いてしまった。


「へ!?」


俺は連の予想外の対応に思わず声が出る

どうしたんだよ連のやつ。


するとチラチラとこちらの方を見てくる連。

なんだ?

俺が体を連の方へ向けると連が口を開いた。


「ここで鈍感な勝星くんに問題です、僕になんて言ったらいいことを教えてくれるでしょうか?」


「言うこと?合言葉みたいなものか?」


そんなのあったっけ……。

いや、でも思い出さないと連は教えてくれないし……。

俺がもんもんと考えていると明華が声をかけてくる。


「鈍感すぎない?

あんたそれでよく今まで生きてこれたね」


そう言ってケラケラと笑う。


「どういうことだよ?」


「自分のこと頼って貰えなくてすねてるんだろ?あの子。なら、お前はどう言うべきか……って言ったらわからない?」


俺は少し考えて頭の中にある言葉が出てきた。

でもこれでいいのか……?

そんな不安とは裏腹に俺の口は無意識に動いていたのだった。


「連?」


「何?」


「お前の意見がほしい。お願いだから教えてくれないか」


「勝星……」


「ブッ……アハハハハハハ!!」


「え!?俺なんか違うこと言った!!?」


「いや……プッ……そうじゃなくて……間違えたことは言ってないんだけど……ブッ……あまりにも……プッ……素直過ぎて……アハハハハハハ!!!」


「え…………」


俺はまたやるせない気持ちになった。

さっきから俺笑われてばっかり…………。

あれ……?なんか涙が……。


「勝星……なんで泣いてるの」


連が引いたように聞いてくる。


「いや、ちょっと明華が俺に棘向けてきたから……」


連はその場を収めるようにぽんと手を合わせた。


「まぁ、勝星いじめはこれぐらいにして……ちゃんと言ってくれたからいいこと教えてあげる」


「あ、合ってたのね……」


あの反応だったから違ったのかと思った。


「合ってるも何も……あそこまで言ってほしいことドンピシャで言ったんだから驚いてただけだよ」


「言ってほしかったのか」


「うん、流石だね勝星は」


「いやでも、おかしくなくないのか。ほら……その……俺の言葉って……」


俺はもじもじと言いよどむ。

乙女か!!俺は!?


「僕は好きだよ、勝星が使う言葉。真っ直ぐで飾らないから受け取っても違和感がないんだ。嘘がないってのはいいことじゃない?」


やばい、連の言葉が傷ついた心に染みる……


「連……好きだ!!!」


「うん、知ってる♪……さて本題に入るけど要は人探しをしたいわけだよね」


連はサラッと俺の告白を流して本題に入る。


「確かにそうだけど、連、お前すごいな。しっかり説明したわけでもないのに、理解してるなんて」


連は明華の声が聞こえていない。だから情報は俺の声だけのはずなのにあらかたの事情を理解しているなんて思ってはいなかった。


連って頭もいいんだな……

運動もできてまさに万能……


あれまた涙が……

そんな俺を無視して連は話を続ける。


「さて、ここで2問目です。この世界の全員を探せる場所ってどーこだ?」


「探せる場所……あ!ネットか!!」


「御名答!!」


そう言って連は俺の近くにあったパソコンを持ってネットを立ち上げる。


「この世界は全部ネットと繋がってるって言ったって過言じゃない。

今の時代で、人探しにこれを使わない手はないでしょ」


連は手慣れた様子でハナッターのアカウントを作る。

(ちなみにハナッターというのはSNSの代表格と言われている交流サイトだ)


「ここにえっと……明華さんだっけ?彼女が両親を探していることを投稿する。そして心当たりがある人は連絡してくれと書いておくんだよ」


「でも、それって有名なアカウントじゃないと意味ないんじゃ……」


連はニコッと笑った。


「そこは運だけど、たぶん有名にさせることはできるんじゃないかな?」


「どうやって?」


「まず、普通出処の分からない情報、しかも亡くなった娘がいるって言われても信じないのが普通だ。そこで、必要なのが本当に明華さんがいるっていう確たる証拠だ。明華さんは亡くなってるから()は無理だけど、そんな彼女でも唯一持ってるものがある。なんだと思う?」


その言葉を聞いた時、俺の頭の上にはてなが浮かんだ。何だそれ。

そんな俺とは違って明華はハッとしたように口を開いた。


「思い出……」


「思い出?」


俺が聞き返すと連がそう!!と答えた。


「そう、思い出だよ。家族が娘がいるかもしれないと信じるのなんて彼らだけが知っている思い出を言われた時ぐらいじゃない?だからそれをハナッターにあげるんだ」


「でも、それで本当に見つかるのか?ハナッターには毎日何万という投稿が挙げられてるんだぞ?……よく知らないけど……」


ここまで来ておいて!?な話なのだが実は俺はそこまでSNSをやったことがない。だから知識はハナッターという名前だということだけなのだ。


「だから、ちょっと賭けの部分もあるよ。でも、大丈夫じゃないかな?」


「なんでそう言い切れるんだよ?」


俺は小首を傾げた。

そんな俺を見て、連はさっき俺にくれた本を脇から取り上げる。


「だって明華さんの人生はこんな変わった人生なんだよ?投稿していけばそこらの物語じゃ敵わない物語になると僕は思うんだ。そして聞く限りは涙を誘うような親子話、こんな大衆受けしそうな話って他にある?」


「そして……有名になれば、ご両親ぐらい見つかるでしょ?」


そう言ってニヤッと笑った連はやっぱり綺麗だった。

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