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墓に添える花の名は  作者: 春鏡凪/ちゃんす
金平糖
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帰還

「ただいま〜。ごめん、外出許可取れなかった」


「はい……それはわかったんですけど、どうしてそんな急にドアを開けたんですか?びっくりするでしょう?」


明華は目をパチパチさせながらそう言う。

そんな明華に零はコソッと耳打ちをした。


「明華、つっ込んじゃだめだよ。勝星にもいろいろ事情があるんだから」


「あぁ……なるほど、そっち側の人でしたか」


「違うからな!!?」


零が生み出しそうになった俺への誤解を必死で止めて明華に頭を下げる。


「ごめん、明華。外出許可取れなくて……でも俺なりに頑張って方法を探してみるから……俺にもう少し時間をくれないか?」


「時間も何も勝星さんは重い病気と戦ってるのに私や零ちゃんを助けようとしてくれてるんですよね」


俺はハッと顔を上げた。どうしてそのことを……

零の方をみれば吹けていない口笛を吹いている。

おまえか……。たぶん口滑らせたんだな、この様子じゃ。

明華は続ける。


「そんな人に時間をあげない私に見えますか?そんなふうに見えていたなら心外です」


そう言って俺の方に飛んできて俺の顔に指をさした。


「私はあなたにかけているんです。私にあるものなら何でも使ってください。時間だって、存在だって。私の勘って結構当たるんですよ。だから、謝るよりも、次どうするかということを言ってください。そのほうが嬉しいです」


そう言って歯を見せて笑った。

彼女のその表情は出会ってから初めて見たものだったから思わず心臓が跳ねる。

生前はどんな子だったのだろうか。ふとそんなことが気になった。


「なぁ、そろそろ敬語やめないか?」


気づけば俺はこの言葉を発していた。


「どうしたんですか?藪から棒に」


明華にそう聞かれると俺は頭をポリポリとかいた。


「いや、そんなに俺を信じてくれている人なのに敬語を使われているのって少し寂しいと思わないか?だから……その……えっと……」


俺がもじもじしていると零が俺の肩をポンポンと叩いてきた。(正しくは透けているが)


「勝星はね、明華ともっと仲良くなりたいって言いたいんだよ「ちょ!!?」勝星は素直になれないから私が代わりに言ったの!!言いたいこと違わなくないでしょ」


「そりゃそうだけど」


俺の頬に熱が集まるのを感じた。

そこは俺から言いたかったのに


俺たちがギャーギャー言っていると目をパチクリさせていた明華はふいにプッと吹き出した。


俺たちが明華の方を見ると明華は顔をほころばせていた。


「すみません、あまりにも微笑ましい光景だったので……それで……零ちゃんの言っていたことは本当ですか?」


面白そうにクスクスと笑いながら俺たちに真っ直ぐと視線を向けてくる明華。

俺はそれをしっかりと見つめ返す。


「あぁ、本当だ」


「それじゃあ、私と勝星さんは友達っていう認識であってますか?」


そう聞かれると、妙に照れくさいな……でも……


「そうだ」


そう答えるとその場にしばらく沈黙が流れる。

え?俺なんか間違えた?

明華の方を恐る恐る目をやると肩が震えている。


……え?泣かせた?


俺は一瞬で顔が真っ青になる。

今謝ったら許してくれるかな……??

え?でも俺何したんだ?


俺がアワアワしていると明華の方から『クックク……プッ』

という声が聞こえてきた。


ヘ?


「プッ……アハハハ!!!もう我慢できない!!すごい!!こんなにくさいセリフ言う人初めて見た!!」


もう一度言おう。ヘ?

今オレの目の前には大笑いしている明華。

え?あの大人しそうな少女だよな?人変わったりしてないよな?


「え?明華?」


俺が恐る恐る声をかけると明華は笑いすぎて出た涙を拭いながら俺の方を見た。


「ごめんなさい、最後に言ったことからかい程度で言ったのに大真面目に答えたからちょっと……プッ……おかしくて……ブッ……アハハハ!!」


零がさすがに思ったのか


「ちょっと明華……笑いすぎじゃ……」


「はぁ~~ゴメンゴメン。でもこれが私の本当の性格だから」


そう言うと俺に向き直る


「告白のお返事がまだだったね」


「告白って……」


俺はもうやるせない気持ちになっていた。


「答えは……イエスだよ、これからよろしく。もうさん付けもいらないよね、勝星、よろしく」


そう言って手を出す少女。

やばい、情報過多で頭が混乱してる。あの大人しそうな少女が一気に少年漫画みたいな存在に早変わりだと……?


正直ついていけていない。でも……


「あぁ……よろしく」


俺はとりあえず返事をして、手を出した。

その手はお互いにすり抜けたがなんとなく、手のぬくもりが伝わったような気がした。


「えぇ、よろしく。と、も、だ、ち、さん♡」


いたずらっぽく笑う彼女はさっきまでの彼女とは全く違う存在になっていたのだった。


……てか、俺の言ったセリフってクサイのか?


その時から一週間ほど、今までの自分の言動を思い出す羽目になったのだった。


……クサイのか?


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