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墓に添える花の名は  作者: 春鏡凪/ちゃんす
死の部屋編
6/77

白い日常

あの日から零は毎日のように俺の部屋に遊びに来るようになった。

俺も零との会話を結構楽しんでいる。

しかし、命の期限は刻一刻と迫っており、俺の体は治療を受けているが癌がどんどん俺の腎臓を蝕んでいる。

なぜか他の所にはまだ癌が転移していないらしい。

幸子さんは本当に奇跡だとまでも言っていた。しかしそれを考えても、いつかは転移するし、腎臓も結構危うい状態だから俺の余命は持って一年ほどだ。

だからそれまでに零の未練を見つけて成仏させてやらないといけない。母親すら興味を持たない俺に零は頼ってくれた。

どうやら俺もかなり零に寂しさを紛らわしてもらっているらしい。

前まであんなに冷たかった胸の中にできた小さな日だまりに少しフッと笑った。





『勝星?聞いてる?』

『あぁ、すまん。考え事してた』

ボーッとしていた俺に零は『もー』と声を漏らして俺の頭の上に来た。

『だから、隣の病室に誰か来たよって言ってるの!』

『まず俺の隣の部屋って空室だったのか俺のイメージではいつも個室は満杯なんだが』

俺は首をかしげる。

『勝星知らないの?隣の部屋はね死の部屋って呼ばれてて誰も入りたがらないんだよ。』





『それなのに入ってきたってことは病院がそれだけ一杯だってことか?』

すると零は首を振った。

『全然。だから不思議なんだよ。私見ちゃったんだけどね、その子、自分でその部屋が良いって言ってたの。死にたいのかな?』

そう言って零は少し寂しそうな顔をした。

やっぱり自分が幽霊だからそういう人に多少思うところがあるのだろうか。

『そうかもな、俺と同じ考えの人かもしれないな』

すると零が俺の頭から逆さになって聞いてきた。

『勝星も死にたいの?』

あ、やべ。口が滑った。零はこう言うと死んじゃ駄目とか言ってきそうだったから言わないつもりだったんだが

『そっか』

俺がもんもんと考えていると零は案外静かに返事を返した。しかし顔は凄く辛そうに見えたのは気のせいだろうか。

俺たちの間に長い沈黙が流れる。その沈黙を破ったのは健診に来た看護師さんだった。

『勝星くん、健診だよ〜。まず熱測ろっか。』

そう言って俺に近づいてくる看護師に目を向ける。そして検温器を受け取り、ふと零の方に目を向けると零はいなくなっていた。

俺はさっきの零の表情に罪悪感を感じながら、検温器を脇に挟んだ。

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