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墓に添える花の名は  作者: 春鏡凪/ちゃんす
霊と俺
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霊の名は


霊の子はしばらく泣いた後、ピタリと泣き止んだので俺はこれからの計画について話すことにした。

『それでさ、お前を俺が死ぬまでに成仏させてやろうと思うんだが、お前結局何が未練だったんだ?』

『確かに、お兄さんいなくなったら私また一人になるし、うん!成仏したい!それで未練って?』

『お前がこちら側に留まってる理由だよ。何かないと幽霊になんてならないからな』

幽霊にとって未練は鎖のようなものでそれが、解かれない限りあちら側に行くことは許されない。俺が小さい頃、病院で何人かはいたが未練がなくなったとされるときに消えていた。

『お兄さん、よく知ってるね。誰にそんなこと習ったの?』

あれ、確かにそうだ。俺、誰にこんなこと教えてもらったんんだろう。

まぁいいか。

『それで?未練は?』

するとうーんと首を傾けた。

『それがね、覚えてないの!』

『は?』

俺はまさかの答えにキョトンとする。

幽霊は言ってしまえば意志の塊。つまり未練は自分自身の名前のようなものだ。それを忘れるって

『お前、どのくらいさまよってる?』

うーんとまた首をかしげる。

『わかんないけどたぶん百年はこの状態かな』





なんてこった。百年も経ってるような未練ならもう晴らせないかもしれないじゃないか。

もしかしたら意外にどうでも良いくらいの未練であってくれないだろうか?

でもここまで残り続けているってことはたぶんどうでも良いくらいのものではないんだよな。

、、、先が思いやられる。





『まぁまぁ、それはいつか思い出すかもだしちょっと待っててよ。それよりさ!』





そう言って霊の子はズイッと体を前に出す。





『お兄さん!名前は?』





『そう言えば俺たち自己紹介なんてしてなかったな。俺は勝星。那花勝星。』





『勝星、、、勝星!』

そう言って俺の周りをくるくると回る。

『おい、呼び捨てかよ。』

そう言いながらも俺も釣られて笑ってしまった。

『あ!笑った!』

そう言って霊の子は俺の顔をジッと見つめる。

俺はなんだか照れくさくなって

『悪いかよ』

と言葉を零しながら頭を掻く。





『それよりも!お前の名前は?』

話を変えるためにさっさと霊の子の名前を聞く。

『ないよ』

『え?』

『だって記憶がないんだよ?名前も覚えてないよ』

『それもそうか。』

しばらく沈黙が続き、それを破ったのは霊の子だった。

『あ!いいこと思いついた!お兄さんが名前つけてよ!』

『は?いやいや!?俺ネーミングセンスないぞ!?』

『え〜、何でもいいから!』

『、、分かったよ。でも文句言うなよ?』

『はーい』

『じゃあ花子!』

すると霊の子の顔が歪んでいく。

『えー、安直。』

『文句言うなって言ったよな?』

『もうちょっと考えてくれてもいいじゃん?それにここの最高齢の患者さんの名前、花子さん何だよ?紛らわしいじゃん!』

ブーブーという霊の子を見ながら俺はもう一度名前を考える。

幽霊、霊、記憶がない、、、、あ。





『零』

『え?』

『零なんてどうだ?お前は記憶がないし幽霊だ。思い出したり、成仏して零から抜け出せるようにって。それに零は何にでもなれる。お前が転生出来るようにっていう願いも込めてな。』

『なんか中二病ぽい。』

『何だと』

俺は少しムスッとする。

『でも、、、、』

そう言って空いていた窓の冊子に手をかける。

『私、好きだよ!その名前!私は今日から零!零って呼んで!勝星!』

そう言って笑う零は、本当に嬉しそうで俺もまた口元が緩んだ。





『改めて死ぬまでよろしくな零。』

『宜しく!勝星!』

俺たちは手を握ろうとするが俺の手はスカッと零の手をすり抜ける。

『あ』

『どうすっかな』

そう言って俺が悩んでいると零が手を指切りげんまんの形にして俺の前に出してきた。

『こうしよ』

俺はなんとなく察して同じく小指を出す。

『宜しくな』

『宜しく!』

そう言って俺たちは互いの小指をクロスさせた。

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