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墓に添える花の名は  作者: 春鏡凪/ちゃんす
金平糖
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朝飯

瓶を拾って病院内に戻り、トイレの洗面所で土や木の葉を落とす。


病室に戻ってカーディガンを脱ぎ、ベッドに座った所でちょうど看護師さんがノックした。


『勝星くん?起きてる?』


『はい、どうぞ』


『よく眠れた?』


『まぁ、いつも通りですね』


『そう、良かった』


そう言って看護師さんは朝御飯を持ってきてくれた。

実は俺は結構この病院の料理が好きだ。

俺が腎臓に癌を患っているのもあって、薄味で野菜が多い。まさに俺好みの味なのだ。まぁ、俺と同じような症状の子どもたちとかからはそれが嫌だと聞くことも多々あるのだが、栄養もあるし俺にとっては利点しかない料理だ。


『いつもありがとうございます』


『ふふっ、えぇ、じゃあ、他の患者さんのとこ行くね』


少し笑いながら看護師さんが出ていったのを確認すると俺は箸を手に持つ


今日の献立は白ご飯、薄めの味噌汁、ひじき、塩を使わずお出汁で作った煮物、、、絶対美味しい


『いただきます』


まずは煮物の大根を一口サイズに切って口にそっと入れる。


そしてゆっくりと噛む。


うまー、、、


口の中にジュワッと広がるお出汁が本当に美味しい。

今絶対弛んでる顔してる、、、。


でもいいのだ。なぜなら今看護師さんが来る心配はなく、零も病院の様子を見てくると言っていたから同じく入ってくる心配はないだろう。


もう一口、今度は人参を食べる。


ほわーん、、、


顔に力を入れようと思っても全く入らない。

でも幸せだ〜。


そんなことを考えているとあっという間に食べ終わってしまった。


『ごちそうさまでした』


幸せな時間だった。


そういえば、さっきの金平糖、、、


俺はさっき拾った金平糖をポケットから取り出す。


『瓶は汚かったけど中身は全然綺麗だな』


俺は改めて瓶をまじまじと見つめる。



何か視線を感じる、、、。

俺がバッとドアの方に顔を向けると何かが急いで隠れる。しかし、ちょろんと出たアホ毛が垂れてくるのを見て誰かがいることは確かだった。


『おい、出てこいよ、怒らないから』


そう俺が言うとそのアホ毛はそろりと顔を出す。


俺よりも小さな背にくりくりの大きな目。まだ頭でっかちのような雰囲気が残る子供、しかも俺はこいつを知っていた。


『どうしたんだ?紺平?』


こいつの名前は名代紺平。歳は確か5歳で心臓が弱くなる病気を抱えている子供だ。


『星兄、、、それ、、、』


そう言って指さしたのは金平糖の瓶だった。


『これがどうしたんだ?』


紺平は少しもじもじしている。


『僕のお願い、、、聞いてくれる?』


そう言ってキラキラとした瞳で俺を上目遣いで見つめてきたのだった。

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