散歩
サクッサクッと音を立てながら零と一緒に少し肌寒い中、中庭を散歩する。そろそろ夏も終わりなのか隅にひっそり咲いている朝顔が種を作っていた。
そういえば外に出るの久しぶりかもしれない。連の一件があったのもあってしばらくは検査続きだったため、外に出るのは一ヶ月ぶりだ。
『なんか朝の中庭って気持ちいいな、涼しくて空気も澄んでる気がする』
『でしょ〜?ここ、朝起きたら体伸ばしに毎日来てるんだよ!』
零が毎日起きたら窓から入ってくる理由ってそういう事だったのか。
『早起きも悪くないな』
『だね!』
そうやってしばらく歩いていたあと、木の下にあったベンチで少し休む。まだあがったばかりだからか、太陽もいつものうざったらしい強い光ではなく、優しい光だった。
俺は目の前で木の葉の上をサーッと飛んで、遊んでいる零を横目で見ながら、上を見上げる。
木漏れ日がチラチラと見えてまるで宝石みたいだ。
俺は眩しくて目を閉じる。
ザワザワと葉がかすれる音と零が笑う声だけが聞こえた。
なんて穏やかな時間なんだ、、、。
この瞬間で時が止まればいいのにとさえ思っていたのだが…。
『イテッ』
そう思っていた矢先、俺のおでこにポトンと小さな小石のようなものが落ちてきた。
俺はたまらず声をあげて、すぐ目を開ける
『なんだよ、痛いな!?、、、ん?』
俺はベンチに乗っていたさっき落ちてきたであろう石を拾う。金平糖である、黄色の。
『何でこんなものが、、、?』
そう言って俺は上を見上げると木の上にキラッと光るものがあるのが分かった。
『何だ?あれ、、、零ー?』
『な~に?』
『あれ、何なのか見てきてほしいんだ!!』
『どれ?』
『それ!』
零は暫らくなんのことかわかっていないようだったが、木の上の物を見つけると『あ、これか!』と小さく声をあげた。
『これ、小さな瓶だよ!金平糖が数粒入った!』
何でそんなものが木の上にあるんだろう、、、?
台風か何かで飛んできたのだろうか?謎は積もるばかりだが、そろそろ戻らないと心配される時間になってきた。
俺はそろそろ戻るかとさっきぶつかったおでこをさすり、あるき出そうとした。
ドスッ
後ろでそんな音が聞こえたかと思うと金平糖の瓶が木から落ちてきていた。
拾うべきなんだろうか?いや、でも台風で来たなら汚いしできれば触りたくないな、、、でも、ポイ捨ては、、、
『これ、ほっといたら勝星が捨てたことにならない?今日の朝、ここに来たのたぶん私達だけだし、監視カメラあるっぽいし』
その言葉で俺は金平糖の瓶を満を持して拾ったのだった。




