クロマン
『こんにちは、坊っちゃん』
そう言って入ってきたのはスパイ映画にでも出てきそうな男だった。サングラスがいかにもな雰囲気をかもしだしている。
『ご要望のあったスマホとパソコンです。そしてこれを』
そう言って渡されたのはシワ一つないきれいな紙だった。
『私の電話番号です。何かご要望があればお電話ください。』
『それでは失礼します。』
そう言ってスタスタと部屋を後にする姿にポカーンとしていると、こっそり覗き見していた零が連の部屋からニョっと顔を出した。
『すごいカチカチしてる人だね。なんか機械みたい。』
そう言って零プカプカと部屋の中を浮遊しながら、考え事をしているかのように腕と足を組みだした。
『どうしたんだよ』
『あ!クロマン!』
『『クロマン?』』
連と俺はハモった。
『そうそう、クロマン!クロマンにそっくり!』
『クロマンってなんだ?』
零はキョトンとした。
『え?うーん、、、わかんない!』
『わかんないのかよ!?』
『勝星、ねぇもしかして零の生前の記憶の片鱗じゃない?せっかくだからメモっとこうよ』
連がそう言うので俺はさっき届いたばかりのマイスマホを取り、その言葉をメモる。
『それにしてもクロマンか、、、確かにあの人にピッタリな名前かもな、ロボットみたいだし』
『確かに』
連と俺がハハッ笑う。
ガラッ
『!!??』
急に扉が開いたかと思うと、入ってきたのはさっきのクロマンだった。
『クロマン!?』
『坊っちゃん、伝え忘れたことがございまして、、、?クロマン?』
やべッ!つい口が滑った!!
『すみません、何でもないんです!!ただ口が滑っただけで、、、あ』
『、、、』
バカーーー!俺のバカ!
クロマンは俺を見ながら固まってしまった。
眉間に皺が寄っている。
もしかして相当このあだ名が気に入らなかったとか?
どうする?逃げられるか!?
俺は顔を引きつらせながらも相手の様子を伺う。
『勝星、、、』
零!お前俺を助けようとして、、、そうだよな、今まで一緒にお前を成仏させようと頑張ってきたもんな。ありがとう!俺それだけでも嬉し
『ガンバ☆』
このクソ亡霊ーーーーーー!!
俺のさっきの気持ち返せよ!?
『あの』
クロマンが口を開く。
『ヒャイ、、、』
怒ってる怒ってる、これ絶対怒ってる!
巨体からなんか覇気みたいなの出てるし!
俺の人生、これで終わりか、、、モフモフもどきからも逃げたのに、、、
グッバイ俺の人生、来世はイケメンで陽キャで非の打ち所がないやつになりたいな。
そう頭の中で早口になっていると
クロマンがなぜかもじもじして頬を赤らめだした。
え?
『もしかして今のクロマンって坊っちゃんがつけてくださった私のあだ名ですか?』
何が起こっているのか理解できない、、、え?
大事なことだからもう一度、え?




