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母との電話
『え?勝星?本当に勝星なの?』
戸惑っているような、嬉しいのか、嫌がっているのか分からない声に俺は一瞬言いたいことを忘れてしまう。
『母さん、、、頼み事してもいい?』
『えぇ、何かほしいものがあるの?なんでも言って。』
母さんは慌てたように言った。
なんでも言って、なんて、、、俺のことどうでもよかったんじゃないのか?
『俺の家にあるスマホとパソコンを取ってきてほしいんだ。』
母さんはそんなことならと言うと、一度電話を離れて内線かなんかで言っているのか、ピッと音がしたあと、俺が言ったことを誰かに伝えていた。
『はい、これでいいはずよ。到着は3時間後ぐらいかしら?
黒い人が来るはずだから、怪しまず病室にちゃんと入れてあげてね。』
『分かった。』
『じゃあね、母さん忙しいから、、、。あ、そうそう。
これから何か欲しいものがあったらその黒い人に言ってね。その人の連絡先スマホに入れとくから。
この電話は使わないでほしいの。紛らわしいから。』
まただ、また忙しいって。俺の心配とか近況は聞かない癖にそれだけは毎回言ってくる。
『分かった』
俺の発したことばはあまりにも無表情だった。
『じゃあ、元気でね。』
そう聞こえてツーツーと切れる電話。
『母親ぶるんじゃねぇよ、、、』
無意識に口からこぼれたのはそんな言葉だった。




