母さん
『君のお母さんから別の用途でもらった必ず繋がる番号があるんだ。』
『別の用途ってなんですか?』
すると幸子さんは気まずそうな顔をして苦笑いした。
『いいじゃないか、そんなことは、、、
それよりも君はその電話番号を使いたいということでいいかな?』
『はい、ちょっと家から取ってきてほしいものがあって、、、』
幸子さんはひげを撫でると
『まぁ、いつまでもこんなこと、ほっとくわけにはいかないしね。そろそろ進めってことなのかな、、。』
と小さな声でそう言った。
『?』
俺は首を傾げる。
『いいよ。使わせてあげるよ。じゃあ、ちょっとまっててね。』
そう言って物置部屋を出ていった幸子さんはものの数分戻ってきた。
『はい、これが必ず繋がる電話。』
渡されたのは小さな子供用の小さな電話だった。
どこか懐かしいその携帯は古びていたがとても大切にされているようだった。
『話したいなら、話すといいよ。それに出るお母さんはあわてているかもしれないが、驚かないでね』
そう言って幸子さんは気を使ってくれたのかカップラーメンを持って物置部屋を出ていった。
物静かな物置部屋で俺の鼓動だけが響く。
ドクドクと耳に鳴り響く血がうるさい。
って俺はなんで緊張なんかしてんだよ!?
別に緊張する必要なんて、、、
母さんは元気なんだろうか?
俺を覚えているのだろうか?
勝手に手が震えて、手が汗をかいてくる。
一瞬電話をやめようかなんて考えまで浮かんできた。
俺は震える手を抑えながら、
手探りで使ったことのない子供電話をいじる。
その中に登録されたたった一つの連絡先を見つけると口に溜まっていた唾を飲み込み、カチッという音と共にそれを押す。
プルルル、プルルル、プルルル
昔何度も聞いて、絶望した音が流れる。
幸子さんが出るって言ってたのに出ないんじゃないんかって不安が募った。
プルルル、プルルル、ガチャ、、、
幸子さん!?何があったんですか、あの子に!大丈夫なんですか!?』
あぁ、本当に久しぶりに聞く母さんの声だ。
高いけど、どこか歳を感じる懐かしいあの声だ。
俺はしばらく声を出せずにいた。
『幸子さん?、、、幸子さん!!あの子は無事n『母さん、、、。』え?』
電話の向こうにいる母さんも黙ってしまうから沈黙が続く。
『その声、、、もしかして勝星!?何でこの電話のこと知って、、、?』
『母さん、頼みごとがあるんだ、、、。』




