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意図された遭遇

「ああ、もう最悪…」


翌日の学園、私はとんでもなく憂鬱な気分だった。三鷹楽…あれだけ拒絶しとけばもう絡んでこないだろう、第一私はあいつの顔はタイプじゃない。もうしばらく顔すら見たくない…そう思っていた矢先_


「おはよう、音。そんな顔して何かあったのか?」


「げっ!」


なんで登校してすぐにコイツと出くわすのよ!それになんで名前知ってるの!?てか名前呼び!?馴れ馴れしいんだけど!!!


「せっかくの可愛い顔が台無しだぞ?まあ、音はどんな顔でも可愛いけどな。」


なあにが、「どんな顔でも可愛いけどな」よ!!可愛いのは当たり前でしょ!!…いやそれよりも、なんで昨日の今日で声をかけて来れるの?メンタル強くない?ドMだったりする…?


「私…アンタのこと気持ち悪いって言ったはずなんだけど…」


「気持ち悪いって言われたのは初めてでさ、逆に興味が湧いてきたんだよ。」


ニコニコした笑顔を貼り付けやがって…コイツ絶対ナルシスト!!


…というか、周りの女の視線が痛い…そんなに敵意を剥き出さなくてもアンタ達の三鷹は取らないってば…!


「あ、そう、でも私はアンタのこと興味ないから。二度と話しかけて来ないで!!」


私はそう強く言うと昨日と同じように逃げるように教室へと向かった。あの男と関わっても碌なことがない…


教室に着いて、授業の準備をする。

周りの生徒達はみんな友達と楽しそうに話しているが、そもそも友達のいない私には無縁だ。

1人黙々と授業の準備をしていると


きゃーっ!と女子の黄色い声が上がっている。どうせなんか流行りのアイドルの動画でも見てるのだろう。そっちを見ることもせず黙々と準備を続ける。


「随分と寂しい背中だね?音。」


1人だけ時間が止まった感覚になる。さっき振り払って逃げてきたはずなのに、この男はなぜここにいるのだろう。そもそもコイツ3年だよね…?


「もしかしてクラスで孤立してる?高嶺の花ってやつ?俺ますますほっとけなくなっちゃったなぁ」


「そう見えるならそれでいいけど、別にアンタには関係ないからほっといて!!」


「ほっとけないよ、だって俺、音のこと心配だもん。」


「だからなんともないってば!むしろ私は1人がいいの!!アンタ3年でしょ!!とっとと自分の教室に帰りなさいよ!この女たらし!!」


「そんな大きな声出せるんだ、普段の音はクールキャラなのかな?」


ああもう!気持ち悪いなあ!!

この男は本当になんなの!?嫌がってるのが見えないの!?やっぱりMだ!!そう言うタイプの変態だ…!!


「音、お昼一緒に食べ…」


「食べないから!!」


三鷹がおぞましい誘いをしてきそうなのをなんとかギリギリで止める。こんな男と昼ごはんを食べた暁には私の貞操が危うい。


「いい?これ以上しつこく付き纏ったら警察に通報するからね!!」


私はそう言い切ると三鷹から顔を背け椅子に座り直す。さっきまであんなに悠長に喋っていた三鷹も流石に警察にビビってるのか黙っている。


やっと解放される…そう思っていた矢先


「へえ?警察?面白いな、音。まあいいやとりあえず今はこれで勘弁してあげる。」


ー「またお昼な。」


三鷹は耳元でそう言い残し振り返ることなく片手を緩く振りながら去っていく。耳元で喋られるのは正直、気持ち悪いからやめてほしい。


そもそもまたお昼な…??あいつまた来る気なの!?周りの女の視線が刺さるが私はもうそんなのを気にしている余裕なんて無かった。




ーーーーーー




「あいつほんっと可愛げねぇな」


俺はポケットに手を突っ込み苛立ちながらも廊下を歩いていた。

あれだけ甘い声で囁いてやってるのに、惚れるどころか相変わらずゴミを見る目で見られている。


「こんな女…初めて会った」


もはや俺は自身のこの気持ちが拒絶されたことに対する苛立ちなのか、それとも虚しさなのか区別がつかなかった。


でも、教室に入った時、誰とも話すことなく1人で黙々と準備をしていた花海の寂しい背中を見ているとなんとも言えない気持ちになる。


「アイツ…マジで友達いねぇんだな…何が楽しくて学園に来てんだ…?」


分からない。花海音という存在が今まで関わってきたどの女とも違って分からない。

俺の思い通りにならない、愛想が悪くて媚びて来ない。


腹立つんだ、ああ言う自分のことしか考えてない女は。


「…腹立つんだよ、ほんとに」


自分の情けない声が誰もいない廊下に消えていく。

この気持ちがなんなのかは分からない。腹が立っているはずなのに、花海の姿を思い浮かべるとどうしても苦しくなる。


「とりあえず…昼だな。そうだ、昼だ…昼またアイツを落とすために行かないといけないんだ俺は。」


俺は一度自分のこのよく分からない気持ちを抑え込んで、昼休みに花海と会うことを考えながらも廊下を再び歩き出した。


昨日通りかかった掲示板の前を通る。そこには昨日と変わらず花海の姿がある。


どこか澄ましたような、「賞を取るなんて当たり前でしょ」と言わんばかりの顔をしている。


「…これも情報収集のためだ。」


俺は紙を留めてる画鋲を全て抜いて花海の載ってる記事を手に取る。


どうせ掲示物を取ったところで誰も俺を咎めないし、そもそも誰も見てないんだから誰が取ったかなんて分からない。


「本当に、憎たらしい奴だな。」


手に取った記事を見ながらそう呟き花海の顔に折り目がつかないよう丁寧に折り畳みポケットに仕舞い込んだ。


「…これは情報収集に必要だからだ…!他意はねぇ…!」


誰に聞かれてるわけでもないが、言い訳をしながらもその場を去るのだった。


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