最悪のはじまり
ここは、私立グラン・エトワール学園。
名前から分かる通り、プライドが高いお金持ちの学生が通う学園だ。
私、花海 音もこの学園に通う1人。
放課後、ヘトヘトになりながらも周りに悟られないよう歩いていたら、遠くから女達の黄色い声が聞こえる。
「出た出た…」私は小さく呟き、声のする方を見てみると…
「今日は予定があるんだごめんね。また次一緒に遊ぼうね。連絡先、交換しようか。」
もう何度も遠くから見た姿がそこにある。三鷹 楽
とんでもない女たらしの遊び人。顔は…私の好みではない。けどそこら辺の女からしたらイケメンなのだろう。いつもああやって女を侍らせている。
…正直、気色悪い。ここに居ても鳥肌が立つだけだと思いそそくさとその場を去る。
「全く…あんなのに惚れるなんて、やっぱりこの学園は馬鹿ばっかりね…」
私はあんな低俗な奴らとは違う。気高くて、美しい、花海財閥の完璧なお嬢様なのだから。
しかしそんなことを考えていた翌日_
「ちょっといい?」
聞き覚えのある甘い声、振り返りたくない、いや振り返ったらダメだ!
そう思いつつも顔を引き攣らせながら声のする方を見てみると、あの男の顔が…ニコニコと張り付けたような笑顔、正直薄気味悪い。
「昨日俺のこと見てたよね?もしかして、俺に惚れちゃった?俺君みたいな美人なら大歓迎だよ。」
ー「どう?この後2人で抜け出さない?」
三鷹に耳元で囁かれた瞬間とんでもない寒気と吐き気がした。しかし当の本人はこれで落ちなかった女はいないからだろう完全にものにしたと思って微笑んでいる。気持ち悪いなこいつは本当に…
「お生憎様、私はアンタみたいな不誠実な男大っ嫌いだから。私は他の女とは違う。せいぜい周りの女によしよし慰めてもらいなさい。」
「大体気持ち悪いのよ!この女たらし!!」
私の想定外の言葉に三鷹は目を丸くしている。何でもかんでもアンタの思い通りになると思ったら大間違いよ、少しは痛い目見ればいい。
そう考えながら三鷹の返事を待たずに私は逃げるように教室に向かった。思い返すだけで鳥肌が立つ。
ーーーーー
「この俺に…落ちない女がいるのか…?」
あの女に嫌いと言われてから想定外の言葉にしばらく固まったまま動けなかった。俺が甘い言葉を囁けば誰でも簡単に落ちるはず。
それなのにあの女ときたらよりにもよってゴミを見るような目で俺を見てきやがった。顔はいいのに性格は最悪な女だ…
「あの女…絶対痛い目見せてやる…」
まだ名前も知らない。イライラしながらもサボるために屋上に向かう途中、掲示板が目に入る。そこにはなんらかのコンクールの入賞記事が張り出されていた。よくよく見るとさっきのあの腹立つ女の顔があり張り付くように掲示板を見る。
「花海…音…なんだ俺の2歳下のガキじゃねぇか。…いや待て俺は2歳下のガキにナメられたのか…!?余計に腹が立ってきた…!!」
2歳下と分かると無性に腹が立つ、なんだあの生意気なガキは。花海音…名前だけ一丁前に可愛い名前しやがって。
「覚えとけよ、絶対に惚れさせてから捨ててやる!」
俺はそう心に誓い、苛立ち紛れに記事の中の花海の顔を指でなぞった。




