表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
笑顔と恋と ※BLです※  作者: 舘城凛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/37

22


 和泉さんが出勤する前に話をしようと思い、俺は朝五時四十五分に目を覚ました。自発的に起きた時間としては自己最高記録だ。目覚まし時計が鳴るまで、まだ五分もあった。


 手早く朝食を済ませ、外へいく前に隣の様子を観察する。廊下の壁に耳を当て、和泉さんがいるかどうかを確認した。俺の部屋と和泉さんの部屋の間取りは真逆だ。和泉さんの部屋は入って左側に寝室がある。


 俺が耳を当てて確認しているのは台所。そこで和泉さんが動いているような気配があった。

 部屋を出て、和泉さんの玄関先で待つ。そして、五分ほどすると和泉さんが出てきた。


「っ」

「昨日最後に見た和泉さんの様子がおかしかったので、話を聞きに来ました」


 立っていた俺を見て、和泉さんは一瞬驚いた。でもすぐに部屋の鍵をかけて階段に向かう。


「和泉さんっ、待ってください」

「オレに関わるなと言ったはずだ」


 和泉さんは俺を冷たくあしらうと、足早に階段を下りていく。俺はもちろん和泉さんを追う。

 すると階段を下りてすぐのところで、飯泉さんが立ち止まっていた。

 貝崎の姿を確認すると、俺はすぐに和泉さんの前に立つ。


「おい」


 和泉さんに腕を引かれても、俺はどかない。現れた貝崎を見据える。


「和泉さん。先に保育園に行っていてください」


 貝崎が和泉さんに近づかないように、俺は和泉さんを庇いながら移動する。ゆっくりと移動し、保育園の裏口まであと少しという位置まで来た。


「おい」

「和泉さん、行ってください!」


 和泉さんに手を伸ばそうとした貝崎の手を止め、和泉さんに指示を出す。和泉さんは、諦めたように息をこぼして裏口から入っていった。

 そして、俺と貝崎が残された。


「お前、あいつの用心棒でも始めたのかよ」

「だとしたら何だ」

「用心棒をするなんて、とうとうあいつに惚れたか」

「違う。和泉さんはあんたといると、いつもつらそうな顔をしているからだ。和泉さんのそんな顔は、見たくない」

「そりゃまあ、ご苦労なこって」


 貝崎は俺を馬鹿にするように笑うと、そのまま敷地外へ出て行こうとする。あっさり帰るのだと思っていると、貝崎が足を止めた。


「おれはお前と違って熱くならないんだよ。お前、確かずっと達哉と一緒にいるわけじゃないよな? その時にまた出直してくるさ」


 恐らく、前に来た時に葵ノ本さんに聞いたんだろう。貝崎は自信満々に言うと、学童保育所の裏を通って姿が見えなくなる。程なくして、車が発進する音が聞こえた。


 学童保育所のことを任されるのは、社会的立場だ。だからそれを怠ることはいけないこと。でも俺は、和泉さんを貝崎の手から守りたい。

 自分がしなければいけない仕事と、自分がしたい事。そのどちらを優先すべきか。


「おはよう、朝海君。今日も早いわね」

「おはようございます、葛城さん」


 葛城さんと一緒に保育園へ行く。

 俺が仕事を放棄して和泉さんを守れば、負担は葛城さんに行く。それによって、他の人にも迷惑がかかるかもしれない。そう考えると、仕事を優先せざるを得なかった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ