11ー2
最終話です
ここまで読んでくださりありがとうございました
しばらく立ちすくんでいた。
何をどう聞いたらいいのか分からなかったからだ。
「すまんな、ここは風化が激しいから修復中で落ち着ける場は三階くらいしかないんだ」
金髪の女性は首を横に振った。
「気にしていないわ。それよりも私たちの名を聞かないの?」
「…………聞いても意味はない。過去がどうであれ今は住む世界が違うのでな」
その俺の言葉は酷く乾いていたことは知っていた。
その言葉に反応したのは黒髪の女性だった。
「リュウは酷いわ。どうしてそんなに空虚で荒んでるのよ…」
俺の今の状態を的確に指摘してきた。
「…………」
俺はこれ以上彼女らを見ることができなかった。
視線を外してここにいる理由を聞くことにした。
「君らはどうしてこんな廃墟にやってきた?」
その答えは獣人の女性が答えた。
「リュウ様がおっしゃったんではないですか。転生に疲れたら自分を訪ねて来なさいって。天使化して眷族化してくださると!」
その剣幕に負けて俺はその時初めて彼女の名を紡いだ。
「エリーゼ………。疲れたのか…」
エリーゼは泣いていた。
「はい……五回の転生は疲れました……。生きてる時間よりも転生中の期間のほうが長いのですから…」
「ここにいる全員が望んでここにいる。今を逃せばきっとみんな後悔するってわかっているから」
「……………」
「妾たちは初めは自分を理解しておらなんだ。聖母の転生体ということで世間から隔絶された生活を送る事になっての。理解したのは五人全員が集った時じゃった」
俺はその言葉で驚いて目を見開いた。
「…………聖母の共鳴か…」
「聖母の共鳴…?」
「複数の聖母が同時に集う時、お互いの神の守護の力が共鳴して過去の記憶を全て蘇らせる覚醒が発動することがある。それを聖母の共鳴という」
「そんな現象が…」
「そんなものは奇跡的な確率と言われていて、お互いの神への想いの強さが等分になっていて初めて起こるという。現象は知っていても起こるとは思ってはいなかった」
俺は首を横に振る。
「リュウ様…」
「前世のお前たちは俺の聖母で巫女だった。巫女と聖母には天使化と使徒化はどのようにしてもできない存在で人としてその生涯を終えることは決められた定めだった」
「聖母は天使化できない…のですか…」
「ああ、肉の器を変えるしか天使化する術は聖母と巫女には与えられないんだ。だがエリーゼとリナには俺の巫女になる前に転生者の恩恵スキルがあり記憶を保持することができる。だから望むなら天使化することもできるから転生の辛さにつかれたのならばと希望を持たせた」
俺は手を握る。
「だが普通はそんなスキルは持つ聖母など居ない。聖母の守護は肉の器と魂にすら守護が働く強力な守護だ。それ故、死後の魂の浄化すら拒む。浄化を拒んでしまえば記憶は抹消されずに無意識化に記憶が残る。覚醒はそんな聖母同士が遭遇し無意識化にあった記憶のすべてが新たな器を持った聖母に蘇る。だが確実な現象ではないから言わなかった。言えなかった、期待を持たせるようなことは出来やしない」
「死に別れしかできなかったことに悔しいのね、リュウは…」
そう言ったのは浅葱色の髪の女性だった
「そうかもしれない。だとしても今世のお前たちを縛るものは何もない。俺に固執する必要はない。人でありたいなら、この世界に居場所があるなら引き返せ。天使化は人であることすらやめるものだ。この世界に関与することは基本禁じられる。その上自分で滅ぶことも死を選ぶこともできない存在となる。意志が弱い者は天使化しただけで自我が失われる。自分の世界を全て捨てる覚悟がないのならやめろ」
俺の剣幕にさすがに息をのんでいた。
「世界のすべてを捨ててまで俺の傍に居たいというなら三階に来い。夜まで俺はこの城にいる。来た奴には天使化してやる」
俺は言うことは言ったので階段を上がっていった。
上がった先ではリリスが優美と娘リリィを連れて立っていた。
「意地っ張りだな。お前も…。逢えてうれしいくせに」
「どうして、優美…?」
「ああ、彼女は私が天使化させたんだ。今回連れていく」
「おひさしぶりです、隆さん」
「というか、なぜ生きてるんだ。地球でも死んでいて当たり前の歳月がたっているはずなのに…」
「ああ、私が天使化させた理由もまさにそこでな。彼女の年齢はいくつだと思う?」
「幾つって……。百二十くらいか?」
「全然違う。彼女はな、今年で百八十二歳になる」
「え」
「お前の影響が強くて相性が良すぎた。老いを止めただけでなく不死まで持ってしまったんだ」
「それは世界で目立つだろ」
「そう、時間が経つにつれて目立ってしまってな。初めはそれでも聖母として信仰心の拠り所になったんだが、時間が経つにつれて化け物扱いされて実験台にされかかってしまったんだ」
「それで天使化したのか」
「ああ、それにお前にとっても慰めになるかと思ったのもあるな。その心配は必要なさそうだが」
「………。彼女らの事か。そればかりは俺にもわからないな」
「いや、あいつらは全員ここに上がってくるぞ。な、優美」
「ええ、傍にいるためなら私と同じで絶対に上がってきます。欠けることなく」
「どうしてそう断言できるんだ」
「できるさ。私たちがそうだからな」
「ええ」
その言葉にしたから声が掛かる。
「わかってるじゃない。さすが優美だわ」
「お二人とも同士じゃからな」
「とっくに覚悟は決めてここに上がってきたんです。今更ですわ」
「ええ」
「優美、久しぶり。また一緒ね」
「はい、香里菜さん」
「………………。お前ら…わかってるのか?」
「もちろんじゃ。エリーゼから天使化の話を聞いて全員、この世界を捨てる覚悟でここにおる、今更じゃ」
俺は彼女らのその決意を知って本当に嬉しかった。
嬉しくて俺はさすがに顔をあげられなかった。リリスはそんな俺の肩を抱いた。
言葉にできない俺に代わってリリスが説明をする。
「天使化はリュウにその存在をゆだねることになる。リュウが生きている限り天使化した者もまた生きる。リュウが死すまで天使化した者に死は訪れることはなく、主たるリュウが死んだら天使化した者もまたその存在が消える。それを知ってもなおキバたちは配下になって天使化している」
「死すらも同じように訪れるという事?」
リリスは笑みを浮かべて続ける。
「ああ、実のところ、天使化が開発されたきっかけというのが昔、一人の神族が下界のヒトを愛してしまったことがきっかけと言われていてな」
「え」
「それって……」
「異性の天使化は愛人化という別名があるんだ、神界にはな」
「リリス!」
俺は真っ赤になってリリスを見た。
「事実じゃないか。彼女らは名実ともに愛人だ。それを彼女らは選んだという事だぞ」
「……そうね。妻が貴女なら私たちは側室、愛人だわ」
「傍に居られるなら愛人でも構いませんわ」
「ま、何が言いたいかといえばだな。天使化した下界のヒトを愛しむ文化が神界には浸透しているという事だ。アルフレード様とエリン様もきっとお喜びになる」
「………そうかな?」
「もちろんだ。元のお前に戻りつつあるお前を歓びこそすれ拒否などないな」
「……………」
「気が付けよ。それ程、今までのお前は周囲に心配かけていたんだぞ。心が弱りすぎて…な」
「………すまん」
俺は覚悟を決めリリスを見た。
その視線でリリスは察したのか抱いていた肩を解放してくれた。
「父君。母君!」
クウヤとリクトが寄ってきた。
その後ろにはリリスそっくりの童女がいた。リリィだ。
「あの人たちは…?」
「これから神界で共に暮らすお前たちの義理の母たちだ。みんな子育ての経験があるからお前たちの事も面倒も見てくれる。私ができないことも彼女らは出来ることがあるから遠慮なく相談に乗ってもらえ」
「やっぱりそうなんだね。父君はあの方達と別れていたから沈んでいたんだね…」
「ああ、そうだよ、リクト。父君には守る存在が必要だったんだ。強くて賢い父君が帰ってくるぞ」
「楽しみ…」
「うん、母君達。やさしかったよ」
「そうかクウヤ。よかったな」
「お母様…」
「リリィも女性としていろいろ教えてもらえ。私では無理だったが彼女らは私よりもずっと女性らしいからな」
「ええ」
そんな言葉を交わされている中で俺は彼女らに近寄る。
「最後にもう一度聞く。本当にいいんだな?」
五人全員が頷いた。
その目は真剣だった。
「…………わかった。お前らの選択を尊重しよう。……俺をもう一度選んでくれて嬉しいよ」
おれは笑みを浮かべた。
『我、我が世界のヒトを我が眷族に加える。眷族に成りしはその命我が物にして我と同じ物也。我が血をもって力とし飲むものすべてに契約を成さしめん』
俺は眷族化の詔を唱え、指先を神力で傷をつける。
「この指の血を舐めて飲むんだ」
指先を差し出した。
「………一番手はわたくしがいかせていただきますわ」
獣人の女性はそういって俺の指の血を舐めとり飲んだ。
「二番手は私よ」
金髪の女性が歩み寄り指を舐め飲む。
「わらわは最後でよいぞな」
「では私ね」
黒髪の女性が舐め飲む。
続くように浅葱色の髪の女性が舐め飲んだ。
最後に赤髪の女性が舐め飲んだ。
「俺のこれからの言葉の最後に名を告げろ。舐めた順番にだ。姓は要らない。名だけだ」
『かの者たち全員我が眷族と認め名を求める』
「エリーゼ」
「クリスティーナ」
「香里菜」
「ステラ」
「リューイ」
『契約を成さしめる』
その時彼女ら全員が光に包まれた。
その光は一瞬だったが彼女らには舐め飲んだ血からリュウの神力が口いっぱいに広がった。
それはとても濃く甘い、癖になるような後に引くような味だった。
エリーゼたちがその味に驚いていた。
「何か凄い甘い味が…」
「ええ」
「皆感じたのか」
「そうみたいね」
「それはリュウの神力だ。酷く甘いだろ」
その答えをくれたのはリリスだった。
「ええ」
五人全員が頷いた。
「私の好物だ。リュウの神力は酷く甘く美味いんだ。極上の味だ」
「リリス……お前な…」
俺は少し頬が朱に散った。
「リリス、こんなものをリュウから貰ってたの?」
「ふふ、妻の権利だ。とは言え天使化した今のお前たちでも口づけを貰えば味わえる」
「本当に?」
「もちろんだ。妻と天使化した眷族にのみ神力を分けてもらえる。口からな」
「あのな、口からでなくとも大丈夫なことを言い忘れるなよ、リリス」
「彼女らに口以外で与えるのか?」
「…………それは……」
否定できなかった。
「やっとお迎えができましたね、リュウ様」
その言葉はタテだった。
「……ああ」
「城の修復は完了いたしました」
「そうか」
「いかがなさいますか?」
「何かするの?」
「…………城を回収しにきたんだ」
「え」
「俺が下界を去ってそろそろ五百年ほど経つ。俺の子も亡くなっているだろうし、風化も激しいのでな。それだけでなくこの城の下には町がない以上、浮かせておく理由がないんだ」
入り口の魔方陣もタテ達が回収しているはずなのだ。
まさかその入り口から彼女らが来るとは思っていなかったが、恐らくタテが招き入れたのだろう。
だが回収と聞いて彼女らが反対をした。
「それはだめよ!」
「そうですわ。回収するということはこの世界からこの城がなくなるという事ですわよね?」
「…まぁ、そうなるな」
「なおダメじゃ」
「なんでだ?」
「リュウは下界から去ってほぼ帰ってきていなかったでしょう」
「ああ、自分自身で精一杯だったからな」
「今、この城は唯一リュウ神の顕現していた証として聖跡化されているのよ」
「聖跡化?」
「三百年ほど前にこの地にあった死火山が噴火して当時あったカイエルはマグマの海に沈むことになったのがこの地が樹海化している理由ですの」
「噴火?」
「ええ、当時のリュウ様がいらしていた当時の建物は全てその時に回収され、別の地でカイエルとして遷都されたのですが、この城だけは回収することもできず移動させることもできずこのまま置かれたという話ですわ」
「それは仕方ないな。この城は俺にしか移動できん」
「ええ、ですが、このような樹海が広がっていて魔物もそれなりに闊歩しているにもかかわらず、信仰心高い者たちはこの樹海にまで足を運んでこの城を見上げるのだそうです」
「え」
「それは今では聖跡めぐりの中の一つとされるほどの場所なのよ」
「移動させることには賛成だけど回収はだめ。この城はこの世界に必要な建物なの」
「だが、管理が行き届かない。風化して崩れてしまうぞ」
「今のカイエルに移動することはできないの?」
「できるが管理することができないのなら同じだ。おれはじきに宗主として銀世城から出ることができなくなる身だ。これが最後の機会なんだ」
「え、最後の機会?」
「ああ、今回が俺にとって世界に降りれる最後の機会なんだ。これを逃せば聖跡どころか風化が進んで跡形もなくなる。それはしたくないんだ。神界は広い。銀世城もこの城を置くだけの広さもあるから回収して城に置き別邸にするつもりだ」
「あ…」
「先ほど、最後に降りられる機会といったな?」
「ああ」
「では妾たちも今回会えなかったら二度と会えなかったということかえ?」
「………ああ」
「…………………。そんな」
「それにこの城は俺が神族としての死を迎えれば維持できなくなる。お前らの言いたいことは理解できるがこの城をこの世界に置くことはもうできないんだ」
「ならせめて一週間滞在を伸ばして今のカイエルに移動させてその姿を見せてあげて欲しい」
「……………。今のカイエルはどこにあるんだ?」
「聖地エジャルナと当時呼んでおった場じゃ。そこが今のカイエルになっておる」
「エジャルナが?」
「ええ、城を移動させることができなかったのならせめてリュウ様が降臨できる場のある場にカイエルをと決まったのですわ」
「エリーゼ、なんでお前そんなに詳しいんだ?」
「今世界中にある教会はリュウ神教会ですのよ。その教会は私の子らが創立させ末裔が維持しているので転生した時点でわたくしが聖母エリーゼとしてすぐに見つかってしまいますのでいろいろと教えてくれますの」
「そうじゃな。妾たちも集う前は聖母として教会に保護されておった」
「一週間なら何とかなるな」
リリスが相槌を打つ。
「きわどいところだが何とかなるだろ」
そうして俺は一度エジャルナのイヴァースに降りた。
俺の降臨はそこに居た教会の信者たちにすぐ知られた。
というのも神の降臨時は大きく輝きに照らされるからだ。
カイエルは興奮のるつぼに落とされた。
それも当たり前である。
その降臨後すぐに覇王城がイヴァースの上空に現れたからだ。
イヴァースに降りた俺の前には教皇が跪いていた。
「あの城を回収しにきた。聖母たちのたっての願いで一週間あそこに置き滞在する」
「その後はどうなりますか…?」
「姿を消す。その代わりにこれをお前たちに授ける」
おれは掌から覇王城のコピーを縮小したものを収納から出した。
このコピー覇王城はウィリアムが覇王城完成時にコピーして収納していたものだった。
実はこのコピー、一定以上の魔力保持者には反応する仕掛けがある。
俺と同じくらいの魔力を持った者にはある魔法がその身を覆うことになる。
縮小魔法だ。
このコピーは内部もコピーした当時のままコピーされているので城の中にある魔道具や書籍などはコピー内部限定で使うことができる。
ウィリアム当時の内部がそっくりそのままあるのである。
おれが神族化し、この世界を後にするときにもこのコピーを使い、新たな覇王城のコピーを作った。そのコピーは今も手元にある。風化したとはいえ今の覇王城と変わらないから渡す気はなかった。
このコピー達も少し改変していたのだがさらに改変してこれを覆うように時空間結界を張りこの世界の範囲に魔力と生命力であった感知を範囲を神界に向け神力に変えた。
「これは…!」
恭しく教皇は受け取った。
「それは城創建当時に複写して収納していたものだ。小さくともあの城と同じ機能を持つ。周囲の魔素を吸収してこの通り浮かぶ。改変・破壊不可だからな。あの城と同じで俺の存在を感知して維持している。おれがいなくなればこの城も壊れるだろう」
「有難く頂戴いたします」
「俺はこれ以降、降臨できない。だがお前たちの信仰心はいつも俺の元へ届き、俺の力となっている。忘れるなよ。俺はいつもお前たちと共にある」
「……はい……心に刻み後進に伝えます」
そうしておれは移動させた城で滞在するために簡易的な移動魔方陣をイヴァースに設置した。
城に再び戻ると最低限の部屋が過ごせるように修復されていた。
修復されていた部屋は厨房と食堂と居間と三階全域だ。
元々、5人の彼女らのベッドは用意していなかったので一週間は同じベッドで同衾することになる。
因みに俺が城に滞在と聞いて早速神界からジェフがやってきていた。
天使は俺という神族と違い主の下界には下り放題だ。
下界の食材を早速大量に持ち込み準備を始める。
元々定期的に下界に降りて食材を調達しているジェフは下界の僧たちとも比較的顔見知りだったりする。
当然だが子供たちとも顔見知りだった。覇王城に滞在して二日目に再び城に客が現れた。
年老いたその客はリューイと顔見知りだった。
竜人だったので当たり前だが俺は初め、誰だか分からなかった。
「父様はお変わりがありませんね。わかってはいたんですが、見るのとではやはり違う」
その言葉で俺は誰だか気がついた。
「リューガ?」
「はい、お久しぶりです」
「お前、今幾つになる?」
「今年で九百五十二歳になりますね」
「なんだかサイリュー祖父に似てきたな」
「はは、昔はよく言われたものです。因果なものです。角持ちでない自分が誰よりも長生きというのは…」
「リュイとリュージュは…?」
「二人とも最近、老衰でお迎えが来ました。四兄妹も私一人です」
「そうか…、逝ったのか」
「はい、今日ここに来たのは父様に会うためでもありますがお願いがありましてね」
「なんだ、願いというのは?」
「ここに母様達が来たということは知っていましたので条件も整ったと思いまして…」
「条件?」
「我らの新たな兄弟が欲しいのです」
「!」
さすがに驚いた。
「我らの兄弟もグッと数が少なくなりましてね。イグニアに居られるソラさまとリク様、エルフ郷にいるフルール殿と私だけになりました。皆、高齢でフルール殿とリク殿は病を得ており明日をも知れぬ状態。このままでは使徒任命できる兄弟がいなくなります」
「それは…」
「ここ最近ではヒューマの間ではリュウ様離れが酷くなりつつあります。カイエルやイグニア、エルフ郷や竜人の里ではそのようなことはないのですが他の地方では神話と断じて存在を信じないものも出てきておる始末。打開するためにも使徒任命する後継者のためにも兄弟をと」
「……そうか」
「ダメでしょうか?」
「それは心配いらんじゃろ」
リューイが口をはさんだ。
「母様?」
「昨日リリス殿からいろいろ天使化でのことを聞いておったのじゃがそれは心配いらん」
「どうして…?」
「天使化して願う思いで子を授かれば腹で子をはぐくむ必要がないから一日もあれば生まれると聞いた。ふふ、ここに愛しい男がおる。しかも器は若く男を知らぬ乙女と来た。妾がそのような状況で何もせんと思うておるのか、リューガ」
「あ…。母様が手を出さぬはずはないですね」
「そうじゃ、ここに居る者は皆、男を知らぬ乙女の器ばかりじゃ。早々に願えば兄弟はできる」
「リューイ……お前な…」
「事実じゃろ」
「それは確かにそうだが…」
「今晩にでも酒池肉林すれば明後日には兄弟がおる。のう皆」
「いいわね。酒池肉林」
「久しぶりにそれもいいですわ」
「お、お前ら…」
俺はさすがにたじろぐ。
「リリス様も混ざりたいとおっしゃっていたから…待ったほうがいいのでは?」
「それなら今晩にも城に御子を置いてくるとおっしゃられていたから問題はないです」
「では、決まりじゃの。明後日に使徒たちを連れてもう一度ここに来るのじゃな」
「はい!」
リューガのシワシワな顔が笑顔で満たされていた。
それを見ると俺は拒否できなくなってしまった。
「お、おまえら…」
「父様、申し訳ありませんが頑張ってください!」
ギュッと手を握ってきた。
その目は期待に溢れていたことは間違いなかった。
その日のうちにリューガは撤収していった。
気を利かせたのだろう。
明後日にはそれぞれの種族の使徒たちを連れてやってくると思われた。
その夜おれは久しぶりに彼女らに取り囲まれるようにしてまぐわり潰されてしまった。
翌日はほぼ、意識はなかった。
翌々日にリューガが使徒たちを連れて生まれた子たちを連れて行ったという。俺は意識がなかったのでその場を見ていない。
彼女らの想いの強さの分五人全員が子ができたという。
その後リューガはもう一度、生き残っている兄弟を連れて城を訪れ、父との別れを惜しむようにギリギリまで城に滞在した。
その際、下の教皇にコピー覇王城を渡したことを告げる。
何か分からなかったので持っていたもう一つのコピーを見せると機能を説明する。
するとリューガたちはこの城を欲しがった。
仕方ないのでさらに複製して複製したほうを手渡した。
因みにその渡した複製のほうにちょっとした仕掛けを施した。
玉座に俺のコピーを置いたのだ。それだけでなく俺の子か使徒にのみの入城制限を緩めた。
もっとも、コピーで人形なので何もできないが俺とは通信できる。その事も興奮した一因だった。
その城はソラがイグニアに持って帰っていった。
その後、彼女らは定期的に子を作り下界に神の子を遣わした。
時折下界に降りて様子を見に行っているので俺にも近況を把握できるようになった。
俺はといえば銀世城にその身を置き、静かに彼女らと子供らに囲まれた日々を送った。
終
最終時ステータス
リュウ*16歳(固定)
神族(ヒューマ・竜人・エルフ・魔王) 次代宗主(大賢者87英雄23)
HP=42026
MP=55569
力=9189
素早さ=7546
集中=7263
神力=Ω-200
魔力=18052
魅力=1101430
運=Ω (限界突破)
特技〈抜刀術・剣術・体術・全武具習得・無詠唱・魔術付与・魔力操作・魔道具作成・使い魔召喚・使い魔疎通・使い魔共有・気配遮断・息吹(限定)・魔人技・属性操作・時空操作・精霊召喚=MAX 覇剣術・弓術・槍術・短剣術・竜魔法(限定)=中級〉
呪文〈水・炎・熱・光・闇・土・風・空間・時空・聖・魔・回復=全最上級習得済 ・召喚=上級 独自魔法・神滅呪法=超級Ω〉
スキル〈鑑定Ω・図鑑・言語自動翻訳・速読・暗記・道具収納Ω・装備自動変換・特技呪文補助機能・手加減・魔力消費最適化・即時自動習得・浄化・生成・魅了・暗示・洗脳・祝福付与・無音動作・隠密行動・完全防御・魔物浄化・転身・魔法合成・魔法創造・魔素創造・多数詠唱無方陣最速化・創滅技法・神力相互変換・眷族化・使徒任命・竜化(限定)・飛行(限定)〉
固有スキル〈覇王の末裔・管理者の福音・管理者の祝福・覇王の結晶・王者の証・叡智の結晶・大魔王の結晶・侍の結晶・覇王の覇道記・叡智の魔術記・大魔王の詔・侍の備忘録・神の讃歌・地球神の祝福・地球神の福音〉
EXスキル〈超回復・超吸収・自己栄養生産・自動転生・全能無効・体質変化〉
〈称号〉
覇王を継ぐもの・獣王に認められしもの・世界樹の神子・ハイエルフの始祖・大魔王の理解者・アルフ神を受け継ぐもの・女神の愛を得る者・管理者の主・輪廻を統べる者・異世界を旅するもの・時をかける者・ドラゴンスレイヤー・獣を狩るもの・魔を消すもの・聖を滅する者・全能の魔法師・聖人・魔人王・竜王・教皇の友人・創世神
次回は外伝一本とエピローグが残っています
もう少しお付き合いくださると嬉しいです




