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ご意見、アドバイス等ありがとうございます
次作品で活用できればと思っております
5からは話が変わります
当初は別章にするつもりだったのですが魔導国話が上手く出来ず同じ章に組み込みました
物書きは難しいと改めて実感しています
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カイエルへ転移して直ぐリナの容態に変化が現れた。
リナの部屋を側室たちのすぐそばの広い部屋にしようとしたがそれはリナが拒否した。
もっと小さい部屋がいいという。
仕方がないので海たちのすぐ近くの部屋にした。
その部屋は小さいから落ち着くとリナが嬉しがった。
海たちという顔見知りがいたという安堵もあるだろう。
海たちの部屋も元々、ウィリアム時代では側室たちの一室だったのだが当時の側室たちの間ではランク付けがあったのだとかで下級の側室たちの部屋扱いだった。
そのランクは家の裕福度と身分、ウィリアムの執着度で変化したのだとか。
因みに、優美以外の側室たちの部屋は全員、上級ランクの部屋だとか。
上級ランクの部屋には専用侍女の従僕用部屋も小さながらにあるので各国の王女たちには都合がいい。
和室の部屋も二部屋ほどあった理由も当時のエルフの側室が特注でウィリアムに改築を願い出た逸話があるためだ。
当時の改修したエルフの側室はエルフ文化の輸入と輸出で財を成したエルフだったため裕福だったらしく上級の部屋だ。その部屋には現在、フローラが部屋の主だ。
側室たちはといえば元本妻の記憶を持つ、リナの入居にはいろいろ思うことがあるようだがそれぞれ悪感情はないようで何とかなるのではと安堵している。
もっともしばらくは成人のため体調は悪いから落ち着くまではキバや女官たちに世話を任せる形をとった。
その判断は部下たちこの城を管理する魔人から喜ばれた。率先して世話をしているらしい。
リナは同胞だらけのこの城にさすがに驚いたようだった。
それも致し方ない。魔人はイグニアとこの城以外では見かけない種族だから。
そのリナとはしばらくおれは会えていない。女官たちがなぜか俺にだけ面会をさせてもらえないからだ。
他の側室たちは面会しているというのにリナ自身が俺に逢いたくないのだとか。
理不尽な扱いに悶々とやきもきしている俺がいる。
いわゆる嫉妬という感情だ。
その感情を打ち消すようにこの数日、側室たちを一人ずつ夜に招く日が続いている。
先日リナを連れ帰ったその日おれは一通り世界中を訪れたことに気がついた。
後は自分の領地内だけという事にも気がつき、いよいよもって子作りに力を入れるべきとキバとフィニアス達から提案を受け許諾した経緯がある。
俺としてもこれ以上の側室は必要でないと判断もしていたのもある。
リナ自身も俺の側室になるという意志があることは女官たちからすでにキバの耳にもはいっているので必死だったりする。
元々俺とよく似た性格のリナは、あまり女子スキルは高いほうでない。
程よい距離がいつもあり、求める時だけ近い距離になるのが昔からの香里菜の距離だがそれは変わらなかったらしい。
その距離感が他の側室たちにはよい印象を与えたらしい。
カイエルに帰還してから保留していた異世界権限を更新することも忘れなかった。
アルフから俺に権限を写してアルフ名義の異世界召喚の権限を停止させた。
これで魔導国の召喚陣を無効化させたのである。
そんな数日間が過ぎていた。
だが俺はこの数日、妙な圧迫感と頭痛に悩まされていた。
日増しに圧が増していることにも気がついた俺は指輪の力を強めて抗っていた。
指輪の力でも無効化できない部分があるのか、明らかに何かの呪いを受けたと判断をせざるを得なかった。
きっかけはどう考えても魔導国と判断せざるを得なく、魔導国に影を使っていろいろと調べさせているが効果が出ていない。
おれとしても何もしないというわけにもいかないので自己診断をかけるのだがかけられた術自体が古すぎるのか術もろとも術師を特定できなかった。
さらに数日が過ぎ、指輪の無効化も難しくなっているということもあり危機意識から眠ることができなくなった。
眠ることができない状態ではさすがに精神も体も疲弊する。
ずっと眠ることを拒むことができるはずもなく恐れていたことがその日とうとう起こった。
俺の意識が飛んでしまったのだ。
眠らなかった理由も明確で俺の意識が飛べば何が起こるか分からないという事実があったからだ。
術自体が操作系の術という事だけは判明していたからだ。
その時おれはリビングに居た。身体的に限界にありとても執務をできる状態にはなく兵として国に仕えている魔術兵が全力で術の解析を試みているが古いせいもあり術自体が俺に刻み込まれ馴染みすぎているということで俺の魔力と半ば融合していて解析できずにいる。
いつ頃陣を刻まれたのかさえ分からないので解析の手がかりがないのが現状だった。
ステラが俺に膝枕をしながら幾度目かの魔法消しの呪文をおれにしていた。
それもかろうじで俺の意識を繋ぎとめる効果があり何もしないよりはいいのでとステラたち聖属性呪文を習得している側室たちで交代でしていた時だった。
「だめ、どんなにしてもこの額の陣が消えそうもないわ」
「……あまり、無理を…するな」
すでに魔法消しの効果も効いていないことも実感していておれは時々意識が途切れ始めていることも理解していた。
「でも!」
ステラたちはとても心配そうな目で俺を見ていた。
「………キバ…。彼女らを…たいひ…させろ………も…う………」
視界が揺れていた。
揺れて靄が掛かるような視界の中ステラたちが部屋から出されたことを見た。
揺れる視界の中、俺は一つのスキルを使っていた。記憶のスキル魔王の詔だ。
彼から意識が来た。
【止めるのは俺に任せなよ。絶対に止めてあげるからさ。一時的にリュウの意識が下がって表に出られなくなるけどいいんだね?】
俺でなければ止められる様だから頼むアレフ
【まかせなよ】
俺は揺れる視界の中ソファから起き上がる。
何もしないわけにはいかなかった。
神力を魔力で紐づけて魔封じの陣を自分にかけた。
神力で紐づければ操られていても俺の意識以外では魔法を使うことはできないからだ。
「リュウ様…」
「こ、れで…いい……」
陣を描いたその手がぽとりとソファに落ちた。
揺れていた視界が真っ黒に染まった。
意識が遮断された。
リュウの意識が落ちてさほど時間が経たないうちに額の赤い陣がリュウの全身へとその範囲を広げた。
意識が飛んで閉じていた眼が不意に開いた。
その目はいつもの青い目ではなく真っ赤だった。
ゆらりと立ち上がる。周囲を見回し、大きな窓を確認すると向かい歩き出す。
それを阻んだのはタテだった。
「いけません。外に出ることはいけません」
だがそのタテを振り切って窓を開けてバルコニーへと出る。
そのバルコニーから出てすぐに制止される。
「隆さん、行かせるわけにはいかない」
覚と海だった。
覚はその力を使ってリュウを背後から両腕を拘束した。
リュウはその拘束を解こうとして魔法を唱えようとしたが不発に終わる。
「リュウ様が魔法だけは魔封じを施しておいででしたので効いているのでしょう」
覚たちはリュウを紐で縛り上げた。
紐で縛り上げるしかできなかったのである。
イヴの指輪効果であらゆる魔法が効かなかった為である。
時折ガタガタと縛られた椅子を動かし拘束を解こうとしているもののうまくいくはずもなく数時間が過ぎたその時リュウの赤い陣が徐々に消えていることにキバが気付いた。
「陣が消えている?」
「時間が経つにつれて動きが緩慢になっているようです」
そう分析していた時だった。
不意にリュウの顔がガクリと項垂れた。
同時に全身にあった赤い陣が額だけになる。
しばらくその異変を見守っていると額にあった陣さえも薄くなりうっすらとしか見えなくなった。
不意に顔が持ち上がる。その顔の目は青かった。
警戒しているのか周囲を軽く見まわしていた。
その自分の拘束に気がついたのかあっという間にひもを緩めてしまった。
「……原始的な方法だけど一番効果があるね、これ」
「リュウ…さま?」
タテがそのリュウの仕草に疑問を感じ、声をかけた。
「リュウはここで見ているよ」
胸に手を当てて彼は言ってきた。
キバがぽつりと言った。
「…………アルフ…さま?」
「うん、さすがキバだね。良く区別がついたね」
アルフはリュウの姿のまま立ち上がる。
「どう………して…」
「さすがに驚くか。リュウにね、後を頼まれたからだよ。神力を使えるのはリュウ以外では俺しかできないからね。彼でなければあの術、〈操りの術〉効果はないから一時的に表に出る権限を貰ったんだよ」
「そうでしたか…」
「早く術を見つける必要があることには変わりはないよ。俺の時間が長引けば長引くほどリュウに弊害が出るからね」
「アルフ様には術で何も問題はないのですか?」
アルフはリュウの顔のまま笑みを浮かべる。
「何も問題はないよ。あの術はリュウの精神に紐づけされているからこの体に刻まれているものであることは事実だけど過去の自分には害はないんだ」
「それってさ、兄さんがその体で生まれてからつけられたものなんだね?」
「そういう事になるかな」
「アルフ様はそのお身体で魔法は使えるのですね?」
「もちろんさ。神力で魔封じの陣を持ち主設定として施してあるから使える。魔封じの陣はあくまでも操られて自我のない神力を使えない自分に向けられたものだからね。もっともシルファードやウィリアムでも神力を使えないから同じように魔封じされるけどね」
「タイムリープ呪文も?」
「…ああ、リュウが作ったっていう過去に飛ぶ呪文か。もちろんさ」
「キバさん、もしかして…」
「はい。過去に術を施した時間に飛べば術師と陣も解析できるのではと」
アルフは驚いた。
「古い陣とはいってもこの体に直に刻まれた陣だから詳細な時間がわかればそれもアリだね」
「御両親のエルド様たちならご存じやもしれませんね」
「………。ああ、そうか。俺と違ってリュウの両親は健在なのか」
「はい」
「ふふ、本当に羨ましいな。この器で両親が健在というのはすごいな。イヴが準備を周到にしたということか」
「そうなのですか?」
「うん。普通は神族の魂を含むものを産ませるとその母体は確実にその魂の大きさに耐えられず死んでしまう。前世、工藤隆の母がまさにそれだ。耐えられる母体を確保するにはその母体の誕生の際に神力を使って強くする必要があるからね。神力が関わる子を産むと母体は崩壊しやすくなることは仕方ない事なんだよ」
「それ、事実なの?」
部屋の入り口から女性の声が響いた。
見ると、エリアーナとエルドがそこに居た。
エリアーナが真摯に聞いてきた。
アルフは頷いた。
「貴女が無事ということは貴女がこの体を生んだ際に受けるはずの傷をあなたの母が肩代わりしたということは事実だよ」
「…………」
エリアーナは蒼い顔をしていた。そんなエリアーナを背で支え宥めながらもエルドはリュウの違和感に気がついていた。
「君はリュウじゃないな?」
エルドが聞いてきた。
「おれはリュウの過去の人格だよ。リュウは今、出られない。この額にある操りの術のせいでね」
アルフはそういって額を見せるとそこには怪しく赤く輝く陣があった。
「その額は……!」
「エルドさん!」
その二人の反応でアルフは確信した。
「やっぱり知っているんだね。この術がいつ付けられたのかを」
「………」
「ええ、忘れるなんでできないわ」
「いつ付けられたものですか?」
キバが聞いてきた。
「十五年前の火の月16だ」
答えたのはエルドだった。
「昼頃に私と共に誘拐されちゃってね。誘拐された後すぐにリュウ君と引きはがされてそのおかしな紋様をつけられたみたいなのよ。その後すぐに助けがあって逃げ出したのだけど逃げる時にはもう付けられてたわ」
「その時のリュウは人格封印中だったからな。赤いその紋様が浮かんだのは一瞬だけだったんだが忘れられんよ」
「火の月16ね…」
「アルフ様…」
「…………………………。リュウが行くって言ってるよ」
リュウの姿をしたアルフは視線を空に彷徨わせている。
「仮面?」
道具収納の一覧を出していたアルフはどこかで見たことのある仮面を取り出した。
そのまま顔に装着するとその場に居た一同を見まわした。
「リュウがタイムリープ使って過去に飛ぶってさ。うまくいけば記憶の魔石を持って帰ってこれるって言ってる」
「大丈夫なのですか?」
「大丈夫だよ。あの呪文中はどんな異常があっても効果が出ない結界が張れるから飛ぶ分には何も心配はいらない。帰還すれば即、俺が変わるから暴走はしない。それに帰還の時間は行った直後の1分後だから気にするならこのまま警戒すればいい」
「1分後、ですか」
「うん」
アルフはそう言った直後に両腕をだらりと下げる。
しばらくそうしていると不意に両腕が持ち上がり大きな魔方陣が足元に浮かび上がる。
その直後、リュウの体には魔法文字に綴られた結界が張りつくように消える。
目の前に透明な板が現れる。
リュウはそっとその板に触れると板に書かれていた文字が書き換えられる。
「心配するな。行ってくる」
その言葉はリュウだった。
『タイムリープ』
呪文を唱えた後リュウの姿が消えた。
しばらくかたずをのんでいた一同は言っていた通り1分後には仮面を外したリュウが同じ場に戻ってきた。
直後に赤い陣が輝きを放つがそれは一瞬だけだった。
「リュウ様…」
リュウの姿をしたアルフが懐から一つの魔石を取りだした。
「うまくいったみたいだね。これが術者の使った陣が書いてある魔石だよ」
キバが受け取ると背後の魔術兵に手渡した。
魔術兵は慌てるように解析のために地下に持って行った。
「さて、解析完了まで待つしかないのか…」
アルフはそう言ってソファに座った。
「何かお飲みになりますか?」
「…………。いや、要らないかな」
「リュウ君は?」
エリアーナが聞いてきた。
「大丈夫。俺の目で俺の感覚で俺の裏からちゃんと起きてみてるから。心配するなって言ってるよ」
「そうか」
「うん。それと母さんたちのせいじゃないから気にしないでくれってさ」
エリアーナはその言葉で涙を浮かべた。
「ばかね…。リュウ君は…」
アルフはその姿をリュウの姿から過去の自分の姿に転身してエリアーナを見た。
「本当にリュウは幸福者だよね。自分の母親が生きて自分の前に居る。羨ましいな」
エリアーナはそんなアルフを見た。
リュウの体よりも一回り小さいアルフの体を抱きしめて言った。
「何言ってるの。貴方も私の息子よ。前世の別人格とか関係ないわ。リュウ君の過去だとしても息子には違いないもの」
「………………。俺も息子なの?」
「もちろんよ!」
アルフはとても嬉しかった。
「母さんと呼んでもいい?」
「うふふ、呼んでくれなきゃだめよ」
「………。母さん強いね。とても心が強いや。俺に初めて母さんができたのはとても嬉しい」
「初めて?」
アルフは見上げた。
「そうだよ。さっきも言ったけど神族の魂をもつこの俺たちリュウの過去はみんな母親の顔を知らない。俺もそうさ。みんな母親がいないんだよ。だからその言葉はすごくうれしいんだ。母さんのその言葉が本気の言葉ってわかるから…」
「リュウ君たちの唯一の育ての母親なのね、私」
「うん」
「それ、すごい嬉しいわ。お母さんも母親の顔は知らないけど、だからこそ家族は大事なのよ」
「うん、それとても理解できるよ、俺」
そうしてアルフはしばらく義母さんとの時間を楽しんだ。




