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次回投稿は外伝予定です。
つっこまれそうな終わり方をする今回の章ですが外伝後は新章になります。
宣伝というものをほぼしていないこの小説ですがそれでも読んでくださって感謝です
この先が先読めてしまう方もいるかもしれませんが温かく読んでいただけると嬉しいです
翌日、朝に帰還のために備蓄をしたいからとキバから颯を要請されたのでキバに預けた俺は同盟の詳細報告が午前中を使ってフィニアスから報告を受けた。
その報告から残るのは昼に予定されている覇王武具の譲渡のみとなったのだ。
今回、獣人国側から譲渡される覇王武具は二つあるという。
譲渡後、俺の体調を見てからの帰還となるため日数は早ければ明日には帰還となる。
昼にはエリーゼとキバとタテを伴って国王と共に宝物庫へと案内された。
なぜ獣人国には二つも武具があるのかといえば奴隷解放と建国に大きく関係している。
実はこの地方、千年前は魔導国の版図であった。
だが元々は獣人たちが暮らす部族たちが治める地域だったのだが魔法の火力から力で圧政していた歴史がある。
その圧政と奴隷の身にあった大多数の獣人たちを解放した立役者が先代覇王ウィリアムなのだ。
同じ奴隷の身だった事で他人事にはできなかったのだろう。
魔導国から解放した際、一度は連合の版図という形を取っていたがそれも期限を設けていたため期限が来て版図から独立した際にウィリアムから覇王武具の保管を最後の命として預けたという。
再びこの世界に転生した際に返却するという盟約付きで独立が認められたのだ。
元々覇王武具は魔道具作成に最も強い能力を持っていたウィリアムが作ったものであり、現在でも最強の名が込められている武具だ。それだけでも他国へのけん制にもなるので世界中に散らばっている。
というよりも意図的に散らばせたのだろう。元々スキル解放の力はなかった。
のちにウィリアムが呪いという病を得てから徐々に持っていたスキルが封印されていく中で解除の力が点在している武具へと移動したことはウィリアムにとってその事態は予想外だった。
今も俺の中には封印されているスキルがある。
その能力の一つに大賢者スキルがある。
今の俺のスキルはあくまでも賢者であり大賢者ではない。
ウィリアムの記憶スキルを解放したことで一部のスキルの存在を確認できたことは大きい。
《魔法合成と魔法創造》この二つである。
流出するはずのないこの二つのスキルはウィリアムですら先天的に使えたのだ。
今の俺が使えない理由こそ呪いという病で流出した為だった。
そしておそらくこの二つのスキルこそ一番の強大な魔力容量を必要としているはずだ。
「これから向かう宝物庫はこの城の中でも最奥にあるのですわ」
「建国以来、建国した意味を成す覇王様の武具は歴代の獣王によって大切にされてきた。その覇王武具を覇王様にお返しできるのが私だということにとても感謝している」
「大切に保管していただいたことには感謝してもしきれない。本来ならばこのまま保管してもらうのが筋だったのですが先代覇王ウィリアムの崩御時に伴った病と呪いのために転生時に弊害が出てしまいましてね。能力が封印されてしまいその封印された一部が世界に点在している武具に鍵として宿ることになってしまったんです」
「そうだったのですか。なぜ返却を望まれたのか不思議ではありましたが…」
「王家には返却を要しないと明言されていたのですわ。その事と今回の帰還に猶予をいただいたのもその事が要因ですの?」
「ああ、スキルの解放には心身ともにダメージが来る。猶予もそのためだ。下手をすると意識を失うこともあるものでな」
「なるほどな。それで今回、従者の同行を願われたのか」
「はい、無理を言って申し訳ありません」
玉座の裏にある扉の先の長い廊下の先にある長い階段を上ると厳つい扉が前方に現れた。
「この先が特別宝物庫だ」
その国王の言葉を聞いて腹を括った俺は背後にいたキバとタテに声をかける。
「嫌な予感が働く。後は頼む」
「「は」」
それだけ言えば十分だった。
宝物庫の扉を開けた国王が俺たちを待っていてくれた。
「この扉の向こうには覇王武具しか置かれていない」
開け放たれた扉の向こうにはヴェリアス王国の宝物庫でも見た破軍を着たウィリアムの大きな肖像画が正面に見えた。
そしてその肖像画の前には見覚えのある帽子が置いてあった。
そう、覇軍の帽子だった。
「正面の絵は魔術絵という話で覇王殿の魔力のみに反応する仕掛けが施されてあるとか」
「絵に認められたものでなければ武具を手に取ることもできない特別な仕掛け絵ですわ」
俺は頷いた。
「ああ、あの絵の周囲には特別な空間魔法が施されてあって近寄ることはできても俺以外では持ち出しはおろか、破壊もできない。俺という覇王が死ねば武具は再びこの地に戻ることにもなる」
俺は無意識に右手を握りこんだ。
リチャード王は扉を開けてすぐに中央を開けた。
「これ以上は自分でも近寄れないですから…」
「……ああ」
握りこんでいた右手の力を抜いて軽く深呼吸をした。
腹を括り俺は歩を進める。
すると途中から衣服がいつもの冒険者用服が覇軍へと切り替わる。
「!」
その変化に驚いたのは国王だった。
肖像画の前にまで歩を進めた俺は目の前の帽子へと視線を映しすぐ隣にあったリング状の耳飾りのピアスにも視線を移す。
見比べるように肖像画を見た。
その肖像画にはよく見ると同じリング状のピアスと帽子をかぶったウィリアムが描かれてあった。
装備が揃う…か
腰に下げていた修羅の代わりに覇王の剣が収納から現れ装備していた。修羅は収納されたようだ。
条件が整ったのか目の前の二つの装備が輝きだす。宙に浮いたその帽子に触れる。
ひと際輝いて周囲を光で埋め尽くして収まるころ何もかぶっていなかった頭に先ほどの帽子が装備されていた。
【スキル《魔法合成》を取得しました】
頭にイヴの声が響いてもなお視線はピアスに向かっていた。
輝いているそれにそっと触れた。
再び輝きが強く辺りを埋め尽くす。
俺はピアス用に耳を施してはいないのだがどうやら魔力でつながっているらしく痛みがあるわけでもなくピアスは耳に下がっていた。
【呪文属性《時空》解放を確認しました。条件開放により取得級上級まで使用可能になります】
イヴの声が再び頭に響いた。
「……?……」
だが俺は少し驚いていた。
というのもスキル一つと呪文解放されたにも関わらず何も変化が起きなかったからだ。
確認するように右掌を見ようとして右腕を持ち上げる。
魔力に違和感があった。
「………」
徐々にその違和感が襲いだした。
魔力が恐ろしいほどの速さで増幅しているのだ。
衝撃がない代わりにこの違和感はなんだ?
さすがに自身の操作範囲以上に増幅されつつあると危機感を持った。
無意識に体が震えだしていた。
増幅を抑え込もうと両腕を抱えた。
「リュウ様…?」
キバが異変に気がつく。
その声はリュウには届いていなかった。
なんだ?感覚すらも遠くに感じる…
抑え込むのに成功してはいるものの増幅の正体を突き止めるのに集中していた。
だが集中すればするほど抑え込むことができなくなっていった。
体の奥で二つの属性が共鳴していることに気がつく。
だがそれは間違いだった。
違う。共鳴じゃない……。これはスキル…?
その証明のように再び頭にイヴの声が響いた。
【魔法合成の成否が判定しました…………成功】
なんの魔法だ…?
さすがに知らないうちに合成していては慌てる。
【初回発動に魔力消費なし。《時空・時逆》と《空間・結界》の合成に成功しました。効果を無期と設定。範囲を任意と初期設定しました。設定時間を任意とします……時間未設定につき最大時間と設定……三千年。余剰魔力を自身に設定……余剰魔力効果5年。期間を六十日と設定。名をタイムリープと命名……発動まで六十秒】
驚愕し、さすがに声が出た。
「タイムリープ呪文だと……!」
徐々に魔力増幅は本格化しやがて周囲に顕現していく。夥しい魔力の奔流が辺りを襲う。
頭にきこえるイヴの情報が多すぎて全てを把握できないままにリュウはもう自分自身でどうすることもできなくなっていた。
その時やっと周囲に視線が行く。
キバとタテの声が下から聞こえた。
いつの間にか宙に浮いていたらしい。
【発動します】
「!」
そのイヴの声と共に全身に激痛が走った。さすがに痛みから声を上げる。
激痛から意識がかすれそうになっていく。
俺はその時自分の変化に気がつくことはできなかった。
その姿は激変していた。
俺の意識はブラックアウトした。
傍にいたキバとタテ達はリュウを覆うおびただしい魔力の奔流に遮られリュウに近寄ることができなかった。
光に遮られリュウの姿さえも確認が難しい中で堪えているとリュウの叫び声が辺りに響いた。
だが、その叫び声と共にいきなり魔力の奔流がやんだ。
魔力の奔流の中心だったはずのリュウの姿はどこにもなかった。
忽然とかき消えたのだった。




