7-3
近況報告というものを書くには変化のない日を送っている自分ですが投稿しているという責任感みたいなものはあります。
未完で止まるものほど辛いものは読者サイドで痛感していたりするのでそれは嫌だなあと…
定期的に投稿出来るようにと書いている話と時間差があります。
現在8章を書いているのですが少してこずって足踏み状態(^^;
でも書く意欲も大まかな話も決まっているのでがんばります
温かい心でお待ちいただければ嬉しいです(^^)
町の周囲の喧騒が落ち着いてきたような気配が漂っていた。
「リュウ様。魔物の討伐がかなり片付いたようですね」
「そのようだな。獣王の手土産も確保できたし避難場所に向かうか」
「「は」」
そうして俺はクリス達の居る避難民たちの建物にむかう。
途中大きな地響きが轟く。
地響きのした方角を見ると通常のゴーレムよりも3倍ほどの大きさの体躯のゴーレムが避難民の居る建物を壊そうと向かっているようだった。
「まずいな」
キバは俺を見て頷いた。
背後の部下に当たる使い魔たちを先に援護させるために建物に向かわせる。
残った使い魔はキバとタテとリャンとロビンだった。
「向かわないのか?」
「向かいますぞ。主殿と共にのう」
にかっと笑ったリャンとロビンだった。
「飛行術は得意ですのでついて行きます」
「物好きだな…」
俺は呆れつつ杖を取り出す。
狙いは巨大ゴーレムだ。
『アースバレット』
土属性の拘束呪文を唱える。
土属性の拘束は特殊で粘着性があるので無機物には効果的に効き目がある。
巨大なゴーレムの足元にそれはまとわりついて動きを止める。
粘着性があるので地味に身動きができる分体力を消耗する効果もある。
巨大ゴーレムも引きはがそうとして無茶を繰り返し地面に大きな音をたてて崩れ落ちる。
足元の呪文は倒れたことでさらに効果が発揮し倒れ地面に接触した部分すらも粘着した。
さすがに異様な光景だった。
「自分で唱えておきながら思うが、気持ち悪いなこの呪文…」
「アースバレットの呪文は群を抜くほどの見た目が悪い呪文ですからね。仕方ないですよ」
「ははは。いくぞ。言った以上はちゃんとついて来いよ」
杖をしまい言い放つ。
「「「「は」」」」
その場にいた全員が応じた。
おれは背の羽根を出し飛行してゴーレムに近寄る。
遠巻きに巨大ゴーレムをうかがっている海たちを見つけた。
どうやら拘束の呪文が自分たちにも影響が出るのでは躊躇しているようだ。
ゴーレムの様子をうかがっていると街の四方から赤い蔓のようなものが四方から俺の両腕を拘束してきた。俺は両腕を引っ張られるように広げられる。
「!」
俺が驚いたのには訳がある。
腕の紋章が共鳴を起こしたからだ。
キバたちは俺に巻き付いてくる蔓を切断しているが無尽蔵に即座に修復するので切断しきれないようだった。
宙に浮いたまま拘束されていた俺は冷静だった。
町全体を見回すと赤い不気味な光が地面から放出していた。
その光の形には見覚えがあった。そう腕の紋章とほぼ同じ形だった。
「同じ紋章だな」
「リュウ様…」
「おそらくは壇が整ってしまったようだな。お前たちではこれを崩すのには難しいかもしれない」
「……リュウ様……。冷静ですね……」
「まあな。俺自身何か変化があるわけではないうえに感覚的に今の俺にはこの壇は無意味だ。それよりもおそらくこの蔓の先には主犯格がいるはずだ」
「捕えてきましょうや」
「ああ、頼む。リャン」
しばらく何もしなかった。この蔓、千切ろうと思えばできそうだった。
聖域エデンに入ってから神力とやらがどういったものなのかなんとなく理解することに成功していたのが大きいだろう。神力を使うと長続きはしない上に体に大きな負担が起こるようなのでよほどでない限り使う気は起らなかったが壇を壊すとなれば話は別だった。
というのもこの蔓から微妙に神力が注がれている気がするのだがこの神力は良くない気がするのだ。穢れていたイグニアと同じ感覚がするのだ。
感覚的に使い魔たちが捕縛に成功したことを知ると俺は神力を使い、蔓を引きちぎりにかかる。
力を込めていると自分の姿がアルフの姿に変化しているのが自覚できた。どうやら神力を使っている時だけ姿が変わるようだった。
おれは引っ張られていた腕を乱暴に引き寄せると蔓はそれだけでぶちぶちと嫌な音をたてて千切れてその蔓は姿を消した。
同時に赤い光もかき消える。
ほっと一息入れると捕縛に向かっていたメンツが戻ってきていた。
「完了しました。ですがこれ以上は檻に入れられません」
「十分だな」
おれはゴーレムのほうに注意を注いだ。
更に近寄りゴーレムの上空に滞空しているとゴーレムは術者の俺に気がついたようだ。
怒り狂い全身が真っ赤な色に染まる。
「……狂暴化ですか」
「そのようだ。攻撃を食らうとまずいな」
怒り狂ったゴーレムは拘束していた地面ごと床から引きはがして上空の俺に向かって土砂を飛ばしてきた。さすがに食らうとまずいので全員が横に飛び、避ける。
俺はゴーレムさえも届かない位置に移動しつつ杖を出した。
「海たちの位置から一気に焼く。退避を」
「は」
キバたちは海たちのほうへ向かう。一拍遅れる形で俺はゴーレムの注意を惹きつつ海たちの後方に降り立つ。そばには優美たちがいた。
杖を床に軽く接触させて増幅の陣を敷く。
「陣の上から奴の魔法耐性を下げろ。効きやすいはずだ」
優美は早速耐性低下の呪文を唱える。
「麗奈、熱呪文をいくぞ。合わせるからいくぞ」
「うん」
おれは麗奈の魔力を観察しつつ杖に魔力をこめる。
覚たちは行動を阻害しタンカーになっていた。そんな覚たちを援護していたのはステラたちだった。
その間もエルナたちが合流してこちらを確認しつつ攻撃を与えていた。
呪文が完成したことを感じ俺は合わせるように唱えた。
『『ギガフレア』』
それぞれの威力には大きく差が出ていたがそれでも巨大ゴーレムに命中する。
凄まじい熱がゴーレムを襲う。恐ろしいほどの熱がゴーレムを襲いその体は形を留めることができなくなっていたがそれでもゴーレムはお構いなしに動いてくる。
俺は反射的に止めがいると判断しゴーレムの動きを見届ける前に杖をしまい修羅を手にゴーレムに駆け出した。
覚や海たちを横切りすぐ手前で立ち止まり構えを取る。
肩と水平に修羅の刃を上に向け持ち刃の腹に左手を添え指先に魔力をこめる。
刀身は輝くように灼熱の炎を纏う。
熱風が俺を襲うが俺はお構いなしにさらにゴーレムに近寄り音もなく深々と修羅を差し込んだ。
「兄さん!」
あまりの熱気なのに更に近寄った俺を心配するような海の声が上がる。
だが俺は熱気を感じてはいなかった。刀身に宿る炎の魔力がそれを阻害していたからだった。
いつものように一言呟く。
「奥義・焔散月」
目一杯差し込み魔力を込めて上に飛ぶように修羅を切り払った。
飛び上がっていた俺はゴーレムから離れるように宙で回転をして海たちの少し横に着地する。
その瞬間熱気に包まれていたはずのゴーレムは一瞬にして轟音と共に巨大な炎に包まれる。
恐ろしいほどの熱と炎で巨大なゴーレムを包んだ炎はあっという間に燃えるものがなくなってかき消えた。
振り向きゴーレムを確認するとさすがに驚きの声を上げてしまう。真っ黒とは言え炭にならず形が残っていたからだ。
「さすがに頑丈だな。壊れないとは……」
「兄さん……。これ……?」
「魔法剣の一種だ。魔法付与を一時的に修羅に込めて繰り出す」
「魔法剣…?」
「ああ、この世界に来てから開発して生み出した奥義級の抜刀術の一つ。炎呪文を付与した技で焔散月と名付けた」
「焔散月…。すごいね。俺にも使えるかな…?」
「できないことはないと思うぞ。魔法付与といったが実際には刀身に魔法をかけて繰り出すから使える属性次第だが…」
「リュウ!」
クリス達が近寄ってきた。
「大丈夫だ。それよりも壊さないといけない。そこで待ってくれ」
ステラたちは頷いた。
俺は修羅を鞘にしまう。
「どうやって壊すのさ、兄さん?」
「ここまで頑丈だと刃が通りづらいからな。せっかく竜人化しているからこのまま殴る」
「え」
「隆さん、それ平気なんですか?」
覚が慌てて聞いてきた。心配してくれているらしい。
「大丈夫だ。竜人化していると皮膚全体の防御が跳ね上がるんで、あれくらいだと傷一つ付かん」
「そういえば城でマッサージしていた時も短剣で使ってもケガなんかしてなかったね」
「リュウの竜人化はある意味最強よ」
「街中でクレーターはまずいわよ。気を付けないと」
俺は頭を掻いた。
「……殴るとクレーターができるか。だとするとブレスにするかな」
俺はゴーレムの足に近寄ると持ちやすい場所を探し握る。抱えるように持ったが比較的軽いことに気がついた。肩に抱えるように持った。
「ヒューマなら絶対にもてないな」
軽く助走をつけるように空に放り投げる。
その仕草はまるで砲丸投げの格好だった。その投げ方とは裏腹にかなりの高さにまで上がる。
口元に指をあてて息を吸い込んだ。
声を出すように上空のゴーレムに向けてブレスを吐いた。
ブレスなはずが吐いた口からは何も出てはこなかったが代わりに空気が揺れるように振動し、その中心にあったゴーレムは粉々に砕け散った。
「いい感じだ。音波ブレスは使えるな」
「なかなか精度がいいですな、主殿のブレスは」
「そうか?」
「音波ブレスは技術もいるがそれ以上に習得しづらいブレスですからな」
「そうみたいだな」
その後、町に襲撃した魔物も片付いて町の人たちや警護がやっと警戒を解くことができたのだった。




