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異世界に戻った異世界賢者の備忘録  作者: 夏
四章 猫と前世
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外伝 歓迎会


外伝 歓迎会


海たちがリュウの元へやってきてから数日後、それまでリュウの体調の悪さもあり歓迎ムードのなかった覇王城でやっと訪れた平穏を祝うように海たちと新しい側室メンツの歓迎を兼ねて親交会が行われた。

その親交会で一番喜んだのは実母エリアーナだったのかもしれない。

リュウの身内ともいえる者が一堂に会したのだから。

そんな中リューイが酒の飲みすぎで潰れた。

さすがにリューイは竜人族だけありヒューマではないので体の重さは重量がある。誰も重すぎて移動できないのである。

俺は仕方ないので転身をして竜人化した。

「潰れるまで飲むなよ」

頬を軽く叩くがピクリともせずに眠っていた。

「起きそうもないな。仕方ない。寝かしてくる」

おれは抱き上げて部屋に連れていこうと上半身を動かす。

動かしたその感覚が伝わったのかリューイはパチリと目を開ける。

すると何を思ったかリューイは俺の首に抱き着いてきた。そのまま強引に唇を奪ってきた。

「!」

しかし俺はそのキスに違和感を覚える。いやな予感がして無理にやめさせると全身の力が抜けてしまった。

いきなり辺りが真っ暗に包まれた。

感覚からドラゴン化してしまったらしいことを知る。

もがきながら服の海から顔を出すことに成功すると目の前にはリューイがまたもすやすやと眠っていた。さすがにイラついた。

「寝ぼけるなバカ野郎が!」

服を回収しつつも飛び上がって尻尾で吹き飛ばした。

「魔力を吸うやつがあるか。全く酔っぱらいはこれだから困る。しばらくそこで寝てろ」

吹き飛ばされてもなおリューイは起きなかった。

悪態をついていると背後から黄色い声が上がる。

「ん?」

自分の周囲にはなぜか女性陣が取り囲んでいた。

「どうした?」

クリスがキラキラした顔で俺を見下ろしていた。

「なんだ?」

クリスはなぜか頬を朱に染めて俺の両脇を抱えて持ち上げてきた。

さすがに焦りを覚え、体をひねって手からはなれようとするがうまくいかないでいるとクリスは何を思ったか並よりも少し豊かな胸に俺の顔を押し当ててきた。さすがに柔らかいものに包まれて夢中になると背中をなでられる。というか背中だけでなく全身くまなく撫でられる。

触られ慣れていないせいもあり特に腹をなでられると気持ち悪かった。気持ち悪さからブレスが出そうになる。

「こ、こそばゆいからやめてくれ」

「すごい触り心地。ドラゴンなのに何この上等な糸みたいな毛艶」

「え」

「だ、だから撫でるのはやめてくれって…」

俺の苦情は軽くなかったことにされた。

ステラはクリスから俺の体を受け取るとやはり撫でる。ステラはなぜか腹を撫で続ける。

「や、やめろ。腹は気持ち悪いから触るなって」

さすがに暴れて二人の手から脱出する。

だがもっと触りたかったのか追いかけてきた。

二人の手の届かない高台に飛び上がり避難をした。

「このサイズの毛並みがいいのは当たり前だ。これはたてがみで魔力の質と高さで毛艶がよくなるものなんだよ」

「そんな全身にあるものが、たてがみなはずないわよ」

「そういわれてもたてがみなんだよ。俺のドラゴンサイズはこの城並みに大きいんだぞ。サイズを縮めるとたてがみだけが本来のサイズに影響されるんだよ」

「もっと触らせてよ」

「……いいけど、腹はやめてくれ。気持ち悪さからブレスが出そうになるんだよ」

けっこう腹は急所に近いので本能的に抗いブレスが出そうになるのだ。

「ええ…」

二人は残念そうな顔だ。

「あのな、俺のブレスは凶悪だぞ。瞬殺されてもいいなら構わんぞ」

高台から離れ少し飛び降り滞空していた。

とどめとばかりに付け加える。

「お前らを傷つけたくないんだよ。それに魔力吸われたからしばらく元に戻れないしな」

「そのお言葉は確かですよ。ステラ様クリスティーナ様」

俺の言葉を引き継ぐようにいったのはキバだった。

「ドラゴンや竜人族の竜化のドラゴンは腹が急所ですからね。むやみに触ったり傷をつけると反撃を食らうんですよ。その急所は変わらないようですね。ステラ様達だったからこそ無傷でいられたのでしょうね」

「兄さんは何でもありなの?」

「なんでだ?」

「その姿見るとそう思っても仕方ないよ」

おれは何気に海の頭に乗る。猫の2倍の大きさがあるのでそれなりに重いはずだが羽根を使い重量はないに等しい。短い手足を海の肩と頭に添える。

「あ、ここ良いな。妙に落ち着く」

「兄さん…」

「触られるのが嫌じゃなかったっけ?」

クリスが声を荒げる。どうやら嫉妬しているらしい。

「間違ってはいないぞ。触られるのはだめだが自分からは平気というだけだ」

海の頭からクリスの頭に移動した。

手でクリスの頭を軽く叩く。

「お前の頭いい匂いがするな」

「え、そう?」

「おう。嗅覚は鋭いんでな。クリスの体臭はおれの好みだからな。興奮しそうだ」

尻尾が揺れる。

自分的には嗅いでいたいのだがこれ以上は変な気分になるので危険だった。頭から離れた。床に降りる。

自分の感覚から元に戻るにはもう少し時間が必要だったが転身を使うかと思っていると海が俺を抱き上げる。

「ん?」

海は手ごろな椅子に俺を抱えたまま座る。

「少し体を調べてもいい?」

「何を調べるんだよ」

「ドラゴンの鱗」

「鱗?」

「うん」

言いつつも海は俺の背中を触る。

毛並みの下の鱗が気になるらしい。

しばらく好きなようにさせていると俺の背中の体から鱗を数枚手にしていた。かなりデカい鱗で俺の体から離れると込められている魔力からかなりの大きさになってしまったらしい。

その鱗も漆黒だった。

「あると思ったんだ。きっと兄さんは自分の体なんか管理してるとは思えなかったらかね」

「そんな鱗なんかどうするんだ?」

「兄さんドラゴンの鱗は防具として最高の素材ってしってる?」

「え、ああそれくらいは…ってお前…」

「うん、覚にいい防具を買ってあげたくてね。これだけの黒い鱗なら高く売れるかなって」

「ちゃっかりしてるな…いいけど。抜けた鱗くらい好きにすればいいさ」

「ありがとう」

海は嬉しそうに俺の背中を触る。

だが海は何かに気がついたのか俺の背中を強く押した。

「ん…あ!」

変な声が反射的に出た。

「兄さんここ何?」

短剣を出した海は俺の鱗がかなりの強度なのを知って、短剣の峰を使ってさらに押した。

「ん…あ!」

押された俺はそこが肩に該当する場所と気がついた。

痛くも気持ちよかった。

「そ、こは、肩だ…」

「肩って…、兄さんどれだけこってるんだよ…」

ぐりぐり押された。

「いたた、痛い、痛い…」

さすがに痛みから海から離れようともがき、飛び降りようとすると尻尾を掴まれ引き寄せられる。

「は、離せ」

「兄さんダメだよ。逃がさないよ」

体を固定され、ぐりぐりと押されると身もだえするしかなかった。

「仕方ないなぁ。久しぶりにマッサージしてあげるよ」

海は本当に嬉しそうな顔を浮かべた。

「た、たのむから手加減してくれよ…」

「ん……。兄さん次第だね」


そうして俺は久しぶりに海のマッサージを受ける羽目になった。そして海は俺の竜体の急所を知り尽くしたのだった。


「兄さんは相変わらずだったからホッとするね」

「そ、そうか?」

「うん」

マッサージを終えおれは人に戻ると服を着こみ肩を動かした。かなり軽いことを実感した。

「海、ありがとうな。かなり身軽になったよ」

「この世界でもこのマッサージが約立つと思ってなかったよ」

麗奈たちが呆れて立っていた。

「相変わらずの兄弟だわ」

「お兄さんの為に覚えたマッサージだものね、海」

「うん」

「それのおかげで海は兄弟愛を疑われたからな」

覚が思い出すように言ってきた。

「見てるだけで面白かったわ、ねえステラ」

「本当に…あんなリュウは初めて見た気がする」

「さあ、皆夜も更けたんだからこの辺で親交会はお開きよ」

〆にかかったのはエリアーナだった。

酔っぱらいの男どもやリューイはとっくにベッドだった。

親交会はお開きとなりおれはクリスを連れて自室に戻った。

最近は交代で招くようにしている。

しばらくご無沙汰な上に寂しがらせてしまっていたから夜のご奉仕をしている。



次回投稿は予定通り新章 器と覇王 です

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