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1章ー8 「ここから始まるのは━━」

 そんな、葉牡丹の真摯な宣言を聞き、さっきまで激情に侵されていた蕾は冷静さを取り戻す。


「━━ハァ〜、また始まったよ、姉さンの大層な綺麗事。」


 蕾はわざとらしく肩をすくめ、眉を上にあげた。

 だが、その深い青の瞳は、義姉が本気であることを一瞬で理解していた。


「理想を語るのは勝手だけどさ……あまりにも、非現実的じゃンッ。」


「そお?」


「例えばの話だけどさッ、……もし、その子供や女供を全員助け出したとして、その後、奴らを一体どこで、どうやって養うつもりなンだよッ?」


 言外に、義姉の理想へ協力することを承諾しつつも、蕾はどこまでも冷静に、そして冷徹に、現実を突き付ける。理想を突っぱねたいわけではない。実現するつもりだからこそ、彼はその先にある問題を考えていた。


 そんな生意気な反応に、葉牡丹は満足そうに微笑んだ。


「よくぞ聞いてくれた!ノープロブレムだ! 助けた人たちを全員養えるだけの、最高に広くて、最高に安全な『隠れ家』のあてはあるから!」


「はあ?!ンな場所、あンのかよ? 安全となりゃ、政府の目が届かないところじゃないとだろ?そんなのこの国のどこに……ッ、て、まさかッ!!」


 そこまで言いかけて、蕾はハッと息を呑んだ。


 大人顔負けの頭脳が、義姉が目指そうとしている『唯一の聖域』の存在に、一瞬で辿り着いてしまったからだ。


「そう!そのまさかだ!」


「僕達は手始めに、大和の領地を強奪する!!」


 葉牡丹は金色の目を怪しげに細めると、悪戯が成功した子供のように、いたずらっぽく笑ってみせた。


「正気かよ姉さンッ! あそこは国すら恐れて誰も近づけない、英雄の領地。『天空の要塞』だぞッ! 侵入した瞬間に消されたって文句言えないじゃンかッ!」


「だからこそだ!国が手を出せないのなら、そこを乗っ取ってパラダイスにしちゃえばいいじゃん!それにあのクソ引きこもり、終戦後は領にずっと引きこもって何もしないで、莫大な財産を眠らせてるんだ。少しは有効活用してあげなきゃ可哀想でしょ?財産が!」


「うわッ、英雄をクソ引きこもり呼ばわりとか、ほんとイイ性格してるよね姉さンッ」


 あまりにも無茶苦茶で、あまりにも大胆な大悪党のような計画。

 まさか『政府に追われないために、もっとヤバい奴の懐を不法占拠する』などという狂った作戦だとは思わなかった。


「……で、具体的にはどうやって乗っ取るつもりなンだよ?」


「…………」


「……まさか、何も考えてないのか?」


「細かいことは、現地に着いてから考えればいい!」


「はぁーーーーー……。」

 

 蕾は頭痛をこらえるように、手袋をはめた左手で額を押さえた。


「あーー、もうッ!!言い出したら聞かないンだから!分かったよ、ついてってやる。その代わり、本当にやばくなったら姉さン引きずってでも逃げるからねッ!」


「うむ!頼りにしてるぞ〜、ア・イ・ボ・ウ!」


 葉牡丹は嬉しそうに笑い、蕾は深いため息をついた。 



 ここから始まるのは、国に捨てられた子供たちと、

 彼らを愛した不器用な大人たちが紡ぐ物語。

 

 ━━世界で一番、辛くて優しい革命譚(ブルーム)。


[あとがき]

1章はこれにて、完結です。

お読みくださり、ありがとうございました。

申し訳ないのですが、ミスが多く、投稿後に編集することがかなりあります。

温かい目で見守ってもらえると幸いです。

評価や誤字報告をしてもらえると嬉しいです。

どうぞ、これからもよろしくお願いします。


[お詫び]2026/9/6/23:59

申し訳ございません。

Yahoo!知恵袋にてアドバイスを頂き、

ところどころの、タイトルや言い回しを変稿させてもらいました。

混乱を招いた事、お詫び申し上げます。

ストーリーは変わっておりませんので、

何卒、ご容赦ください。


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