1章ー3 「嘘」
「──問題!今日は四月一日。何の日か分かるかな?」
「……?、俺の誕生日だろ?」
「そう!よく覚えていたな!偉いぞ!」
「!!……そりゃ、姉さンに教えてもらったしッ……てか、姉さンこそ、なんで捨て子の誕生日なんか知ってンだよッ?!」
「……」
思わぬところで褒められ、照れ臭くなり、義姉の目から視線をそらした。そして、照れ隠しの勢いで、長年の疑問を吐き出してしまった。
だって、そうだろう?
なんで、ただ道端に落ちてただけの赤子の誕生日など知っているのか。
だが、返答までに間がある。
葉牡丹は物知りだ。いつもなら、質問すれば、ほぼ一瞬で答えてくれる。だから、ここで沈黙が誕生するのは不自然だった。
「──そりゃ、お前に『四月一日生まれの元気な男の子です。四露四苦★』って書いてある紙が貼ってあったんだ!」
刹那。
葉牡丹がいつも通りの天真爛漫な笑顔で言ってみせた。
「……へぇー」
蕾が丸く大きい青眼を伏せる。
子供を捨てることは、育児放棄。つまりは、犯罪行為だ。法で罰せられる。
それなのに、誕生日なんていう個人情報が書いてあったら、それは証拠品になる。それに、その日に産まれた赤子を、病院伝いに調べれば、すぐ犯人が特定できる。
自分が犯人だと名乗り出ているようなものだ。
はたして、そんな奇行に走る者がいるのだろうか。否。いないだろう。
──ということは、先の妙な間も含めて推察すると、さっきの話は十中八九、
──『嘘』だろう。
蕾は、その並外れた洞察力と頭脳で、そう結論づける。
「──そんなことより!今日で蕾は九歳になるだろ?」
「──うン」
その美しい白髪をなびかせて首をかしげながら葉牡丹が問う。
これ以上は聞いてほしくないようだ。
それに同意するかのように蕾も微笑み返す。
今日はエイプリルフールだから、許してやる。
───それに……大好きな義姉に嫌がらせなど、したくないから。
「──だから、試験を受けてもらおうと思うんだ!」




