1章ー2 「朝食」
──俺は、三歳の頃に、道に捨てられていたところを、葉牡丹姉さンに拾われたのだという。
なんで、そんな他人事のように言うかって?
理由は単純明快。
三歳の頃の記憶なんて、普通の人間なら覚えているはずがない。
さっきの話は姉さンに教えてもらったこと。
おまけに俺は、当時の自分の本当の名前も、生みの親の顔すらも知らない。物心つく頃には、もうここで、姉さンに育てられていた。
だからこそ、自分が捨てられたというあまりにも残酷な事実すらも、どこか遠い絵本の中の物語を聞かされているような、奇妙に冷めきった感覚しか抱かないでいた。
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「「いただきます!」」
「ほんっと、良くないわ〜」
「ハイハイ、オレガワルカッタデース」
「まったく!ちゃんと反省してんのか〜?」
「するわけない」
「いいだろう!ならば、今日の夕飯を肉料理にすることで許s……て、はぁ!?」
そんな軽口を叩きながら、向かい合った木製のベンチに座って、蕾が作った朝食をほおばる、葉牡丹。彼女は、過ぎたことにいつまでも抗議している。そして、またもや溜め息をついた蕾が、朝食に手をつける。
「それで?今日は何すンの?」
いつものように、本日の予定を尋ねる。
蕾は、葉牡丹に勉強や戦闘について教わっている。そのため、今日は何を学ぶべきなのかを朝食時に聞き、それに合わせて過ごすことにしている。
ある日は、座学に取り組めと言われ、
ある日は、戦闘訓練をしようと言われ、
ある日は、外の世界へ校外学習に行こうと言われた。
「ん〜?あっ!そうだ!」
「問題!今日は四月一日。何の日か分かるかな?」
そうして、葉牡丹は悪戯っぽく笑った。




