学校内の波乱 (金)
…………………さて、さっそくだが俺が女装していると言うことをどうして夜裂が分かったのかを知ろうと俺は未咲を無視して夜裂を強引に連れ出した。朝礼前だが間に合うだろう。
「屋上ねぇ……………それで、何のようなんだ?正直眠くて眠くて仕方ないんだけど………。」
そう言ってニヤニヤとした顔つきで夜裂は笑っていた。
「………なんで、この格好が偽物だと気づいた?」
女装見破られたなら即刻逃げたいんですが?
まぁ、どうなるかなぁと思っていると、夜裂は予想外のことを言ってきた。
「偽物?あっちが偽物だと言ってるだけだよ。まさか男装してアイドルしてるなんて、陽奈さんも中々やるね、と思っただけだよ。うん、私もコネを使ってやろうとも考えたけど……。」
……………話が食い違ってるんですが……色々と。
「………なんで私がアイドルだと分かったのかな?夜裂さん?」
すると、夜裂は少し笑いながら答えていた。
「なんというか……雰囲気?まぁ、シュクレガトーが話題集めのために男の子としてデビューさせた人の親がゾマーゾゾヴァネンデの姪っ子さんって噂もあるからね、そのスカーフで分かったんだよ。」
…………どうやら、変な感じで勘違いしているらしい。あれ?でもそれならなんでイルミさんは俺がフェアであり、望月陽奈と夜裂からの情報だと言ったんだろう?
こっそりとメールして、夜裂に見えないようにイルミさんの確認のメールを受信し、メールの文面を見てから整理するとこんな感じらしい。
・夜裂はフェアが望月陽奈の男装した姿だと勘違いしている
・イルミさんはフェアの正体が俺だと言うことに感づいていた。
・夜裂が自分の家の使用人にこの事を相談する。
・夜裂の使用人の友人がなんとアルバートさんで酒の肴的な感覚で教える(トトの部屋にいる間の出来事)
・アルバートさんからイルミさんへとこの事が伝わる。
・イルミさんの頭の中で、俺=フェア=望月陽奈という式が成り立った…………。
つまり、俺が男である事に気が付いていないらしい。……………まぁ、花音がこの高校に通ってるから微妙にバレやすいよなぁ…………。と思いつつ。
「それで、フェアとして活動している望月さんには頼みがあってね………。」
なんなんだろうか?まぁ、多分別の芸能人のサインとかそこら辺だろうけど。現役アイドルに頼めばやってくれると思っているのだろう。
「その頼みってなんですか?夜裂さん?」
すると夜裂は顔を赤らめながら色紙を渡してきた。
「こ、これにフェンリルのリル様のサインを貰ってきてくれないかな?フェンリルのメンバーはサインとかをあまりしてないし、この前はガロだけがサインをしていたけど、あんまりやらないらしいからね。」
そう言って渡された色紙はもの凄く高級そうな色紙だった。
「り、リル様って………」
夜裂のキャラの変わりように驚いた俺は思わずそう声を漏らしていた。いや、様って、アイドルは下らないとかって目をしていませんでしたかあなたは!!
「リル様は別格じゃない!!凛々しい顔立ち、ハスキーなイケメンボイス、何をとっても最高なの!!ちなみにフェンリルのファンクラブナンバーは6よ!!6!!」
6って、ちょ、お前………。上位どころか十本の指じゃないですか!!アイドルには興味なさそうな雰囲気でこれか!!ギャップでかすぎるわ!!
「リル様はまさに私のバイブルにでもしたい人物だからね。CCC48なんていらないから。未咲との交際を断ったのもリル様にはかなわないからだから。あれだけカッコいい男性アイドルは他にはいないね!!」
………………すいません。リルさん………、莉緒さんは女です。流石にバラしませんが。
「たまに女性らしいところもあるんだけどね……。」
そりゃ女性ですからね。
「だから、今度会ったときでいいからサインを貰って置いてくれないかな?できれば手形とキスマーク付きで………」
夜裂は完全に恋は盲目状態や追っかけとかしない人と思っていたのだけど………。
「これは私のアドレスだ。サインが手に入ったらメールしてくれ。その代わり、望月さんがフェアだという事は黙っておくから。」
そうしてから俺と夜裂は朝礼が始まる少し前に教室に戻った時、羅々等が未咲に抱きついていて未咲の首が締まっていた。かなり青い顔の未咲に対して羅々等は笑顔で「他の女の子がいなくなって寂しそうな顔するなんて許せないよ~。未咲には僕がいるじゃないか~。」と言っていて他の奴らはドン引きしていた。まぁ、未咲が色目を使っているのは他でもない俺なので正直さっさと俺のことを諦めさせてくれるのならば俺は羅々等を快く支援しようと思う。
教科書の受け取りやらが終わって、昼休憩になってから、花音が俺のクラスに遊びに来たのだった。そして、そんな時に事件は起こったのだった。いや、事件とは言えないかもしれないけど。
「か、かかか花音ちゃん?あののののののの花音ちゃん!?アイドルの!?」
園原が感激のためかかなり震えながら花音に近づいていた。
「は、はい、そうですが……………。」
花音はかなり困惑していたが、なんとか対応していた。
「あ、ああい握手してくださいぃぃぃぃ!!!!ファンです!!ファンなんです!」
「ふぁ、ファンですか!?私の!?」
花音はかなり嬉しそうな顔をした。
「はい!!ファーストシングルはもう予約してて………。」
そういえば園原は花音のファンだったな………。もう、かなり感激していた。
しかし、事件が始まったのは握手した瞬間だった。
「かかか感激ですぅぅぅぅぅぅ!!!!」
そう言った園原の頭がボンッとなったかと思うと、目つきが変わっていた。それとは関係無しに柚子宮が花音の顔を覗き込んでからこう言っていた。
「…………94位レベル………ゴミか。ゴミですね、新人アイドルでしょうけどレベル低くて笑えますね……」
その言葉に園原は反応したのか柚子宮の胸ぐらを掴んでいた。そして、園原とは思えないような鋭さで叫んだ。
「お前は何でそれを決めているんじゃ?お前の好きなグループは烏合の衆であろう?そんな奴を好きなお前に評価などされたくないわ。花音ちゃんは最高じゃ。お前になんと言われようと、ワシのこの考えは変わらん。むしろ、ソロで輝こうと努力してきた花音ちゃんに多人数の逃げでグループ外の者共が下らんこと考えて生き残ってるだけのCCC48の範囲で評価されたくないわ。」
完全に人変わって………あ、あれが『真文』の人格か………。かなり古くさい喋り方になっているような………。
「な、なんでCCC48が否定されるんですか!!」
柚子宮は何か言っているが、完全に筋違いなことだよな………。真文が否定しているのは、花音がゴミと、柚子宮が言った事についてだからだ。
花音はどれだけ努力してきたかは大体分かっているつもりだ。最近はユニットが多くでる世の中でソロで頑張ろうとしているし、そのために努力を続けてきたということも聞いている。それに比べてみると、CCC48のほとんどは街中でのスカウトから即入団というレベルで歌もダンスも下手でも許されている感じだ。中にはそこそこ上手いのもいるが、歌が下手な大人数の中に埋もれてしまっているため、基本的に不協和音のような歌なのだし、上手くなろうという努力もないらしいし。なんで人気あるんだろ?と日々感じていた。
柚子宮はその後に別のクラスへと移動していった。
「はぁ………ようやくいきおったか………。花音ちゃんをバカにするやつらはワシが許さんからのぅ。」
「ははは…………。ありがとうございました。え~っと…………。というより、さっきと別人のようですが………」
「それはワシと真理は二重人格じゃからの。ワシの名は園原真文じゃ。」
「分かりました!!よろしくですね!真文ちゃん!!」
すると、真文の顔がかなり赤くなった。
「ここここここちらこそよろしくたたたたのむぞ花音ちゃん!!!わわわわワシはいつも花音ちゃんをおおお応援しちょるからのぉぉぉおおおお。」
そしてまたボンッと音が鳴った。どうやら真理の人格に戻ったらしい。
そして花音は当初の目的だったのか、俺の方に近付いてきたて、弁当を俺の机に置いた。
「陽奈ちゃん、一緒に食べませんか?」
「まぁ、いいけどさ………。」
そう答えると花音は笑顔で弁当を食べ始めた。その弁当はかなり綺麗に出来ていた。
「じゃあ、私も食べさせて貰おうかな。」
そう言って俺が取り出したのは……………………………………………………………………………………クレープです。
周囲は軽く引いていたが気にしない。俺は料理できないから、ゲハイムトスでいつも貰ってきているのだ。
「花音、それよりもちゃん付けはやめてくれないか?私達が初めてあったときは確かにそうしていたが、あまり気に入ってないことぐらい花音も知ってるだろう?」
花音はキョトンとしていた。というか花音は自分が新人アイドルであるということと、俺が他県から親戚の家に同居しながらここに通っているという設定を忘れてるのではないか?と思ってしまう。
「あ、ごめんごめん、陽奈。」
「分かればいいけどさ、ちょっとムカついたからあげるはずだったクレープはあげないから。」
そう言って俺はさっさとクレープ四個を平らげたのだった。
放課後になり、さぁ今日はオフなのだからさっさと家に帰ってアニメを見てしまおうと思っているとメールが入った。
『今日オフだから、服を取りに行きたいんだけど………。とりあえずシュクレガトーの隣のケーキ屋の前にいるんだけど………。』
とりあえずそこで待機して貰うようにメールしておいた。
…………学校から出てからもまだ今日は色々ありそうだ。今日オフなのに………。




