歌対決ライブステージ 準備編
「うっわ…………やっぱり大きいですね………。」
「そうでしょうか?ここはまた小さい方ですよ?武道館に比べたら全然ですね。」
あの会場は、ものすごく大きかった。
「お披露目会とはスケール違うんだなぁ………。」
「当たり前です。お披露目会の後に何個も仕事をこなして認められてからようやくこのイベントにでられるんですよ!!」
「というより、この格好で通れるんでしょうか………?」
「警備員さんは基本芸能関係専門となっていて、どのような格好で来るかは事前に知らせてありますから、問題ありませんよ。」
「さすがにこの状態で男というのもなんだかな……と思うんですが。」
今の格好は、まぁ、フードにミニスカという感じの、日常生活でも使えるようなデザインのコスプレである。(元々日常アニメのキャラの普段着として作ってある。)
とりあえず受付を通ってから、楽屋に向かう。楽屋で今の陽奈モードからフェアに変わるのだけど………。
「おぉ、お前は付き添いなんだな、九条。」
その男は輝いている銀髪に、獣のように鋭い目だった。
「が、ががが、冴狼!?い、いいい、いきなりでてこないでください!!」
この男が現れると、途端に九条さんの顔が赤くなる……が。
「お、いたんか~、こてっちゃん。」
茶髪の軽そうな男が現れた途端、その顔の赤みが、急になくなった。
「…………あんたもいたのか、ロイ。」
「あだな呼びはよしてぇな~。こてっちゃん。にしても、こてっちゃんホイホイのガロは便利やわぁ~。こうしてこてっちゃんと話せるんやからなぁ。」
「だ・ま・れ、茶チャラ男。」
………………完全に空気になっていたのでさっさと楽屋に入った。
すぐにメイクが終わり、フェアの状態になって楽屋から出ると、まだやっていたのかと思うように続いていた。
「後の三人は来てないんですね。」
「まぁな。俺以外は全員オフなんだがこいつだけなぜか着いてきた。」
「まぁ、ガロがいれば美人さんに多く会えるっしょっ。」
「いや、そこまででは無いが………まぁ、九条と会えたのは嬉しいが。」
さらっと言った言葉でも、九条さんは顔を赤くしていた。
「ガロ~。お前は鈍感だからなぁ~。」
ロイと呼ばれた男は軽~くその男の肩をたたいた。
「?つーかお前は弟に詰め寄られてただろ?」
「や、やめてぇな~。祖父母に預かられてて諸事情で結局その弟が五歳になるまで会ってなかったら、その弟のことを一緒に風呂入るまで妹と思ってしまってきた俺に言うなや~。」
「ロイの弟はクーデレな女の子っぽい子ですよね?確か、いつも白いゴスロリを身に纏った子だったような………。」
「まぁ、今のアイドル活動は弟の治療費やな。昔っから病弱やし………。」
その情報kwsk!!良い保養のネタになるので!!
とりあえずこの三人と俺の腐のテンションが落ち着いたので自己紹介ということに。
「芸能会社ジュピター所属、フェンリル副リーダーのガロこと銀城 冴狼だ。今日はよろしくたのむ。」
「は、はい。アイドル事務所シュクレガトー所属、フェアです。本名はオープンしてません………。」
「まぁ、俺も芸名だしな………。銀城の名字は本物じゃないし。」
「じゃ、次は俺やな~。フェンリルのロイこと、廬川 伊助や。ちなみに、これ本名や~。」
「こいつはフェンリルの中で唯一本名を公開しているんだよ。」
「だってアイドルってキャーキャー言われるやろ?隠すだけ損や損。変装してキモーイなんて言われるよりよっぽどましやで~。まぁ、芸能関係の高校やからあんまモテへんのやけど。」
「あぁ、知ってるかも知れないが、俺達フェンリルは今年高二になる。」
「リーダーはもう大学生やけどなぁ~。」
フェンリルは、ジュピター所属のアイドルグループで、メンバーは五人。リーダーのフェン、副リーダーのガロ、そしてロイ、リル、カズという面立ちで三年前にデビュー。最初のアルバムから四番目のアルバムまでミリオンを達成、シングルも、それなりに売り上げられている。
公式ファンクラブは有料の事もあり、10万とCDの売り上げよりは少ないが、かなり上のグループなのだ。
一番人気は確か目の前にいるガロさんだったかな………。
後、フェンリルには、昨年デビューした弟分のケルベロスというグループもある。
「そしたら、このイベントは一応DVDになるから悔いの残らないように頑張ろうぜ。」
「俺らもこれで搾られたなぁ~。まさかガロがこの立場になるとは思ってもみなかったわ~。」
「それだけ成長できたわけだろ?」
「まぁ、イベント側もファン側も失敗してしまっても仕方ないと思える状況やからなぁ。まぁ、歌詞覚えて歌っときゃあ大丈夫やろ?」
…………あ………。
そうだよ、昨日いきなりこの事言われて。
昨日の夜は母さんに頼みごとをした後にそのまま寝てしまってて………。
歌詞が全く分かりません………。
バッと時計を見ると、イベントが始まるのは後30分後だ。
他の三人はちょうどいなくなっていたので楽屋に入り、急いで曲を探す………。
しかし、動画サイトが込み合っているのか遅くなったり、なかなか曲を見つけられなかったりした結果、一回しか聞けなかった。このイベント前に聞いておこうという流れになったから。
「もうこうなったらやけだぁーーーー!!」
本番開始の時間が来たのだった。




