初出勤は準備が色々必要です。
第二章
初ドラマと世界の変化
「ふぁ………あ~、朝か……。」
なぜかベッドが少し狭いと感じたのでその原因を確認すると………。
「すぅ……すぅ………。」
よく知っている顔があった。
「………なんでいるんだ?火恋?」
そう耳元でつぶやいてみると、途端に起きあがった。
「………うわぁ!!な、なんで起きてるんだヘルト!!まだ寝てる時間と踏んでいたのに!!」
「…………それよりもなぁ、いつ、ここに入ってきた?」
「………ヘルトの妹に追いかけられてて、それで窓から逃げ込んだ。」
「………お前とはお隣さんだけどな、一応。こーゆーのはやめてくれないか?後理恵も一応俺の妹と呼ばずに名前で呼んでやれよ………。」
「…………別にいいではないか。長い付き合いなのだから………。」
風邪でもひいてるのか、火恋は顔が少し赤かった。
とりあえず紹介しておく。
幼なじみの因幡 火恋だ。
赤く長い髪をポニーテールにしている。
背が170と高く、女子へのカリスマがあり、我が愚妹の理恵もその一人だ。
胸は本人が恥ずかしげもなくDと告白していた。
中学の頃は合気道部に入っていて、男女から人気があったと思う。
「で、逃げるだけなら問題は無いが、せめてベッドの中に潜り込むのはやめろ。年頃の男女なんだからな………。」
「……………ヘルトのいじわる………。別にいいじゃないかぁ……。」
そう言って俺の部屋から出て行った火恋だった。
「さてと、今は……6時か………。」
あそこに行くまで1時間もかからないため、とりあえず慌てずに着替えることにした。
そして、現在の格好は……黒のTシャツの上に灰色のフード付きパーカー、黒のチノパンだ。
時間は十分にあるので、あそこに寄っていくかと思い、財布を手に取り、メガネとカラコンを付けて、俺は家を飛び出したのだった。
あそこ、というのはケーキ屋………シュクレガトーの隣のではなく、前から行っている方のだ。
「まぁ、あそこは見ただけじゃ分かりにくいからなぁ………。」
と、店に入るための階段を降りてゆく。あの、バーやクラブのあるような感じの階段だ。
「おじさん、いつものを………。後、朝も食べたいので、スフレとフレンチトースト、お願いします。」
「おう………。まぁ、ここに来るのもお前だけだからな………。多少の融通はきくからな。」
「あ、それと、来る頻度が減るかもしれないから。」
「そうか………まぁ、アイドルも大変だろうしな。」
「あ~、まぁ、おじさんにはバレるのは仕方ないことですね………ちょうどいい年の付き合いですから。」
「ははっ。まぁ、バラしゃあしねぇよ。まぁ、あの子には言っておくが。」
「はい、そうしてください。俺も頑張りますよ………。」
「…………やっぱり、なるからにはそれなりに長く続けないとなぁ………。」
そう思いながら、俺はおじさんの作ってくれたスフレとフレンチトーストを平らげた。」
このおじさん………本名、如月 白夜は、この店、ゲハイムトスのパティシェだ。この人の作るケーキはショートケーキなどの普通の物も勿論あるが、男らしいというか、可愛いよりは格好いいというケーキを作ることも多い。それに、腕前も確かだからそれがとても美味しいのだ。
「ほらよ。移動中に食べるクレープ(マロンカスタード)といつも買ってく5×20のモノクロラフランスだ。」
モノクロラフランスは、白のプリンと黒のチョコプリンの間に梨を凍らせた物を挟んだものだ。勿論、丸ごとでなくちゃんと板のように切ってあるやつだけど。断面はクリームで繋げている。一個一個だと小さく、一々やるのがめんどくさいのでと、大きいサイズを切り分けている。
これはかなり安定しているので、ひっくり返さない限りはまず安全だ。それに、ドライアイスという万能アイテムが入っているので事務所まで保つだろうし。
事務所には誰でも自由に使えるという冷蔵庫が二つあったので、練習の終わった後のご褒美的な感覚だ。他の人にもあげると思うけど。
事務所に入ると、まだ誰もいなかった。
とりあえず、冷蔵庫にゲハイムトスのモノクロラフランスを入れる。
そして、来客用のソファーに座って牧村さんと花音を待った。
すると、別の人が入ってきた。
金色のウェーブのかかったショートヘアだ。
「あら?アイドル希望の子かしら?でも、それだとまだ見栄えが………少し髪をいじらせてもらえるかしら?」
その人は返事を待たずにまず、俺の髪から輪ゴムを外し、俺の髪で細い三つ編みを作り、ネコミミを作った。
「ふぅ……クールビューティーな子……のイメージですね……。」
「あ、あの………。」
「声は……ハスキーボイス?ですか?低い声ですが……。」
これでも声変わりしてるんだけどな……。
「もう少ししたら、社長代理の牧村さんが来るでしょう。私も応援しますので……。」
いや、もうなっているんですけどね。




