フェアに対しての世間の反応
私は、シュクレガトーの社長をしている牧村比叡だ。
高校生時代から自分のことは私と言っている。オカマでなくてもこういう一人称は使うし、これでも社長なのだから、ということで、今は納得した。
今日お披露目会をするアイドルの初仕事の相談のために、今は『桜は僕らを見ていた』の監督をしている波皿さんの所に向かっていた。監督からもこのことについて相談は受けていたので、その事についての打ち合わせだ。
ちなみに、お披露目会は、ネットで生放送される。生で見れる者もいるだろうが、そうでない人のためとジュピターと意見を合わせ、こうしてやることにした。まぁ、別にやらなくてもデビューはやらせることができるのだが、これをやっておくことで、いい評判を得ることもできる。だから、定期的にやることもあるのだが………。
「そろそろ始まる時間か………。」
とりあえず、パソコンを開き、生放送を見るためのサイトに繋げた。このサイトは、生放送を快適な環境でやりたいと思っているらしいため、大量の人がサイトに来ても普通の時と画質が変わらない。
ただ、それでも、今移っているのは私がデビューさせる子とは顔どころか性別すら違う子だった。まぁ、顔は良い。
しかしなぜ……………と思っていると、電話だ。
『叔父さん、花音がチンピラに絡まれたときに足をくじいて立てなくなっちゃって………大事にいたってはないけど、今日は出られないからってことで、他の子も間に合わないからチンピラから花音を助けた子に変わってもらったんだけど…………。ごめんなさい。』
「いや、仕方ないことならしょうがない。それに、なかなか良い子じゃないか。」
『とりあえず、二曲歌ってもらって終わりにしているけど…………。』
姪の影美の電話を聞きながら、私は生放送のコメントを見る。
・すっごくかっこいい!!
・これならシュクレガトーでも女性じゃなくても出すよね……………。
・え?あれほぼノーメイクって情報入ったんだけど!
・黒髪萌え…………。
・え?女じゃないの?でもいっか。かっこいいし。
・なんで今までお披露目しなかったのか?
・一瞬ジュピターのかと思った~。
・この人を見てシュクレガトーのサイトに張り付こうと心に決めた。コンサートとか絶対行く。全部行く。
・引き籠もり卒業するわ。バイトしてこいつのグッズ買いあさるわ。
・否定する気満々だったけど失せた。侮辱の言葉が思いつかない。
とりあえず賞賛の声は多いな………。
否定があまりないのも珍しい………。
そんな時だ。
彼の目の色が変わった。
どうやらカラーコンタクトでオッドアイだったのを隠していたらしい。鮮やかな翠色だ。
・え?かっこよさ倍増?
・カラコン二重できないから本物だろ。
・マジか!!なんで隠す?勿体ない。
・綺麗な翠だな~。
・あれカラコンじゃねぇの?やばくね?
・翠オッドアイ萌え………。
・ハーフか?でも黒髪だしな………目だけなのかな?
・こーゆーのって本人は隠したがるよね……勿体ない。
まさか、天然のオッドアイを見ることになるとはな……。
しばらくすると、歌が始まる。
一曲目は『2月8日』
・この人上手いな………。
・これ男性バージョンあったんだ………。
・男性バージョンなんて元々ねーはずなのに自然に感じるぜ……。
・元歌い手か?でもこんなの聞いたことねぇ!!
このコメント欄を見ていると、急にパソコンにメールが来る。生放送をそのまま見るためにダウンロードしておいたメールソフトの機能を使う。動画を止めず、半透明のメール画面を呼び出した。
『fromツインズ マネージャー 秋田
ツインズの二人がぜひ他の曲の男性バージョンのカバーをという意味合いのことを言っておりますが……どうしましょうか?後、ここまでの逸材を発掘することは凄いと思われます。私たちも光る子は見つけられますが、ここまでは………。後一緒に仕事したいとも言ってます。その時はまた連絡させていただきます………。』
………まさか、な。
私も一応見る目はあるつもりだ。実際に今シュクレガトーの看板になっている子も、一世代前にトップアイドルになった子も私が芸能界に引き連れた子だ。
しかし、今日お披露目されている逸材は、実はただ偶然、今日来るはずだった子の代理だ。気分としてはアイドルになろうとしている子の付き添いがアイドルになったという感じだ。
まぁ、この子を代理で使おうと思った影美も見る目があるということだろう。
次の曲は、『紅ポーカー』だ。
難しさと世代の違いが大きい。私は最近の曲も昔の曲もよく知っている方だ。しかし、この曲は当時新人だった橋茄 桃李という男が勢いのみで作詞し、もはや内容はしっかりしているが、歌としては難解な物になっていて没になりかけた物だ。それを大文字炎真が歌ったことにより、大ヒットした曲だ。しかし、あまりの難しさに、カラオケなどで歌われることは少なかった。
・え、この曲歌える人いたの?
・これスローにしなくても歌える人初めて見た。
・ホント、なんで早くデビューさせなかったのか。
・加工されてないのがおかしい……。なんで歌えるの?
・あれあんな歌い方だったのか………。
これは、すごいな………。
そう思っていると、待ち合わせの場所についた。
「あぁ、すまないね………。」
「いえ、飛ばせないのは仕方ないです。ここは高速だし。山道ならいくらでも飛ばせるんですが………。」
私がいつも運転してもらっている伊藤 巧君が頭をかきながら言った。
「じゃあ、ガソリンスタンドまで行ってきます。」
「あぁ、そういえば、休暇はいらないのかい?」
「いえ、たまに飛ばすことのできる職なんですよ!!その機会を休みで潰されるわけにはいかないですから!!まぁ、一応休みの日は鈍らないように色々と走ってますけど。」
そして、波皿さんの所に到着した。
「この子を私達が最初にドラマに出せるなら、きっと歴史に残らせてもらえるねぇ。いいよ。今回はこういう役だが、出してやろう。」
「申し訳ないのですが、もう一人も……。」
「今日出るはず立った子もかい?この役ならデュエットにすれば問題ないな。じゃあ、そういうことで。」
「ありがとうございます!!」
私はすぐに影美にこのことを連絡した。




