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ふたりで紡ぐ物語  作者: にしのかなで
第三章
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最終話 これから始まる物語

ガウス家の庭に置かれたブランコは、フェンリルの夫グレイが初めての出産祝いにと贈ってくれたものだ。小さな子どもが二人並んで座れるその一つに揺られながら足をぶらつかせているのは茶褐色の髪をした母親によく似た顔立ちのフェンリルの息子フェルナンだった、今日は父親のグレイの仕事について来ている。


「フェルナン、遊ぼう!」


家の中から駆けて来たのはこの家の長男ラヴィリス・ダニエル・ガウスである。


「ラヴィ!」


二人は仲良く隣り合わせたブランコを揺らす。フェルナンの髪は少し癖があるのだが、ラヴィの髪は色こそ父親に似た漆黒だが癖はなく髪質は母親に似て真っ直ぐで風に揺れるとサラサラとなびいた。少し遅れて灰色の緩やかな巻き毛の小さな少女が絵本を片手に玄関から出て来た、ラヴィリスの二年後に生まれたガウス家の長女エディスである。彼女は玄関先にあるデッキに置いてあるお気に入りの揺り椅子によじ登ると、揺ら揺らと揺らせながら絵本に見入っていた。絵本の表題は「魔法と秘密の鍵」で、仕掛け絵本になっておりエディスのお気に入りである。家の中ではグレイが子ども部屋の椅子を直していた。


「また兄妹喧嘩でかい?」


床の上には綺麗に分解された部品が置かれてある。


「そうなんです、コレはエディがやったの。喧嘩に負けるからいつもあの子がこうなっちゃう。」


それは兄妹喧嘩の末にたまり兼ねたエディスが魔力で壊す・・・と、いうよりも綺麗に解体したと言っていい姿であった。そう、ラヴィリスより二年遅れて誕生し、しかも魔力持ちとして生まれたエディスは魔法師にとって二人目の子として稀少で奇跡だと魔法省あげて祝いが届いた。若い両親は二人がそれぞれ7歳になれば魔法魔術技師学校に入学し手元で育てられなくなる事に寂しさを覚えた、しかしそれ以上にルディが心配したのは自分と同じ位の魔力持ちの二人の力が自身の幼い頃の様に暴走しないかと冷や冷やしていた。幸い、誕生後すぐにルディがこしらえた魔具により魔力は安定している。


「ははっ、エディは綺麗好きだからなぁ。粉々にして部屋が汚れるのが無意識に嫌なんだろうねぇ。組み立てればいいだけだからすぐに直るよ。」


「お願いします。」


外ではフェルナンとラヴィのはしゃぐ声がしていた。カリンはデッキに出て行きエディスに近づく。その時、エディスが弾かれたように顔を上げ母親を見た。その瞳は兄妹揃って母親と同じ翠である。驚いた表情でマジマジと見つめてくる娘を怪訝に思いながら声をかける。


「エディ?どうしたの、お母さんの顔に何かついてる?」


緩やかな巻き毛をブンブンと横に振りもう一度カリンを見上げる。


「あのね!お父さん、帰ってくる。」


「えぇっ?だってまだお昼過ぎよ。なんでそう思うの?」


「それはねっ、んと、まずお母さんに話があるの。あのね、お母さん私をお姉ちゃんにしてくれるの!」


そう言うと揺り椅子から飛び降りて母に抱きつき手を伸ばしお腹を撫でてくる。


「え・・・なにそれ?まさか・・・」


「うん、赤ちゃんがいるよ、ここに。」


「それでなんでお父さんが帰ってくるの?」


「お手て貸して、見ててね。ほら。」


カリンの指に光る銀の指輪に手を触れ少しこする、すると・・・・・。


「それ本当かいっ⁉︎エディ!」


確かに玄関脇にマーキングしてある魔法陣に夫ルディが現れた。


「ほんとだよ、さっき赤ちゃんが話しかけてきたの。」


「すごいな!エディは、まだ4つなのにそんな事にも力が使えるのかってゆーか、僕を呼んだのもエディスだよねぇ?」


娘は満面の笑みで答えた。


「ちょ、ちょっと待ってよ。当人である私が話についていけないわ、それ本当なの?エディ。」


「うん、ゴニョゴニョ言っててなに言ってるかわかんなかったけど赤ちゃんいるよ。」


あっという間にルディが馬車を用意し、カリンを抱き上げ馬車に乗せる。


「ちょっと!まだグレイさんが椅子を直してくれてるところなのよ、それに子どもを置いていけないでしょう?」


成る程と、ルディは家の中に入りグレイに次第を説明し使い魔を飛ばしアナスタシアの元へやる。すぐにアナスタシアから返事が来た。


「カリン、心配も問題もないから。グレイさんが仕事が終わるまでにアナスタシア様の使いが子ども達を迎えに来てくださる。ラヴィ!ちょっとお父さんとお母さんは出かけるけどオブリーさん家で待つように、迎えに来てくれるから。エディ、今日はご褒美に新しい絵本を買って来てあげよう。さ、カリンこれで問題ないだろう?あ、鍵はグレイさんに預けてあるから。」


そう言うと自分も馬車に乗り込み緩やかに走らせ始めた。


「ハワーズ診療所まで。」


これからまた新しい物語が始まる。


長い間、ご愛読ありがとうございました。

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