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ふたりで紡ぐ物語  作者: にしのかなで
第一章
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金と銀の双璧〜神の領域〜

「ふふ、どうこの子可愛らしいでしょう?やっと出来たの私の赤ちゃん。私の魔法を認めればあなた方もこんな愛らしい赤ちゃんを抱けるのよ。魔法省にとっても朗報だと思うわ。」


「人体錬成、金の生産、死者の蘇り。犯してはならないこの3つの基礎を忘れた様だね、君は。」


ルディがそう言うと同時にアニエスがエリカから赤ん坊を取り上げた。そして顔をしかめる・・・。


「これが成功だと?」


腕に移動させた赤ん坊の髪は金麦色で瞳は片方は青く片方は黒い、そしてその病的に白い肌には所々斑点が出ておりアニエスには何かをつぎはぎした生き物にしか見えなかった。

ルリが側に行き赤ん坊を受け取り他の様子を見る。


「・・・・・脈がないわ・・・・・。」


会場は一気に緊迫した。ルリは魔法省職員にソレを預ける。


「私の赤ちゃんをどうするつもりっっ‼︎」


職員の衣服に火が付くのをルディがすぐに消し去る。弾みで職員の手から赤ん坊が床に落ちる。皆が息を飲んだがすぐにおくるみの中から這い出てきて立ち上がった。


「生まれたばかりの様だったのに・・・!」


驚異の成長に壇上のエリカはため息をつくと杖を赤ん坊に向けるとソレは一瞬で塵の様に離散した。


「おいおい、黙ってみてりゃおっかねぇ姉ちゃんだな。」


カリンの隣で少尉が呟く。カリンはエリカに向けナイフを投げつけたが、わずかにそれてエリカの腕を掠めるにとどまった。他の魔法師らもそれぞれ魔法で攻撃を試みるがことごとく撥ね付けられる、代わりにエリカから発動された魔法で大半の魔法師が吹き飛ばされる。


「カリンよぉ、剣使うか?」


「いえ、あの相手に剣は無駄でしょう。何かあれば短刀ですが預かっています、多分ハーヴェイ様からのものと思いますが神の領域に踏み込んだ愚かな人間にはこの長さで上等なのでしょう。それよりお怪我はないですか?」


「ああ、今日もあの石が護ってくれてるらしい。しかし、会場が散々だな・・・。」


ルディがカリンに問いかける。


「カリン、当たり前だけどブランディーヌより手強いよどうでる?」


「やはりあの時と同じく封じるのが一番かと。」


「できるかい?」


「援護と術の発動をお願いします。」


「わかった。少尉、カリンの援護を頼めますか?」


「出来ることはやるさ、あんたはどうするんだい?」


「踏み込みますっ」


そういうてルディはエリカの元へ走り、カリンは砕けたり無事なテーブルの上を飛び跳ねながら苦無を打ち込んで行く。少尉はカリンめがけて飛んでくる鳥の羽をカリン並みに仕込んである小刀で打ち落とす。アニエスとオブリーは前線でカリンへの攻撃の邪魔をしながらエリカを壇上から降ろして行く。そこへルディが到達し二人は互いに杖を片手に対峙した。


「なぜあの生き物を簡単に殺した!」


「失敗作だったもの、当たり前じゃない。もともと実験道具よ?次は失敗しないわ、オーランド殿下の子どもを完璧に作り出す。これまではそれこそ余興よ、次は私の体内から産まれるの。あなたも無駄に魔力が大きいだけで何の成果も出せてないじゃない?少しは私を見習ったら良かったのにね。」


「生命を弄ぶことは見習う気にはならないし、僕の魔力はこの国のために尽くすと魔法魔術技師学校で誓っているっ‼︎君だってそうだろう⁉︎」


「私は強欲なの、全てが欲しいの。」


「それで何体の生命を奪ったのですか・・・?」


二人の間にカリンが割って入り、床に銀の担当を置いた。


「⁉︎カリン、そこをどくんだっ!」


「どきません。ねえ、答えて何体の生命を奪ったの。」


「さあ、ざっと100は越してるかしら?あなたにも作って差し上げましょうか?子どもに恵まれないのは辛いんでしょう?解放してあげるわよ。」


「私は天命に任せます。あなたは、神の領域に土足で踏み込んだそれだけで万死に値します。我が名、ハプトマンの名においてあなたを罰します。」


ルディが床に手を着き術を発動させる。そう、3人は今カリンが打ち込んだ魔法陣の中にいた。カリンの置いた銀の短刀からピシリッと火花が散りエリカの身体が大きく反り宙を舞う、ドサリと音を立て床に叩きつけられ呻きながら起き上がろうとするとまた火花が散る。


「あああぁぁぁっっ!痛いっ、痛い‼︎何をするのっ⁉︎」


「まだ喋れるんですか、あなたが奪った命はもっと苦しんだはずですよ。あなたも苦しみなさい。」


「ひっ!や、いやあぁぁぁっ‼︎助けて、助け・・・ぐっっああっ」


「ルディ!やり過ぎじゃないか、あとは魔法省に任せるんだ。」


「違っ・・・!術が止まらないんだ、カリン!もういい、力を止めるんだっ!」


「・・・すみません・・・暴発してとまらないんです。」


「ルディ、なんとかならないのか?エリカが死んだら意味がないっ!」


「何とかしたいけど、僕はここで彼女の力の暴発を抑えるので精一杯だ!」


そこへ薄桃色のドレスを翻しルリが駆け寄りカリンを抱き締めた。


「ルリ⁈危ないっ、下がるんだ‼︎」


ルリはカリンを優しく包み込むとカリンの肩に顔をうずめ背中を撫でた。


「いいえ、下がりません。カリンさんは危なくありません、この方はただ哀しいのです哀しくて怒っているのです。カリンさん、さあもう大丈夫よ。ね、私の顔を見て?見える?」


ルリがカリンの顔を掌で包み真っ直ぐに見据えた。


「・・・ル、リ様?」


「そう、私よ。ね?もう十分やったわ、あなたの哀しみは私もわかるだから力を封じて?」


ドサリ・・・何度目のバウンドだろうエリカが床に倒れ、カリンはルリの手から離れ意識を失った。

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