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ふたりで紡ぐ物語  作者: にしのかなで
第一章
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金と銀の双璧2〜白い鴉〜

会場を抜け出したカリンは王太子を探し廊下に出るとウィレムに出くわした。


「カリン?どうかしたのか。」


「ウィレム様、あの王太子様をご存知ないですか?」


「ああ、でも今取り込み中みたいなんだ。暫く面会できないぞ。」


「妃殿下は?」


「そちらもさっき控え室に下がられたばかりだ。そうだな、妃殿下なら相手がお前だし会ってくれるかもしれんな。付いといで。」


「ありがとうございます。」


ウィレムはカリンの様子から何か急用だと悟ったのだろう早足で案内してくれた。扉の前の衛兵に言伝すると、中にいる侍女に取次ぎ入って良いと許可が出た。ウィレムに礼を言い別れると中に入る。


「来るだろうと思っていたわ、術が出たそうね。今魔法省と殿下方が調べているわ。お手柄ねカリン、さてとあなたの用件は・・・ん〜これなんかどうかしら?」


さすが王太子の有能な元秘書、既にカリンの願いを悟っていた。目の前に出されたのは長袖のシャツにベスト、膝下丈のズボンに踵の低い靴だ。


「これ・・・ご用意して来てくださったのですか⁉︎」


「もちろんよ。話しの概要しか知らされてなかったけれど貴女には多分動きやすい服装が必要だろうと思って。ふふふ、驚いた?ベストはもちろん隠し武器を仕込めるようできていて、武器自体はどれがいいかわからないからエンケル将軍に頼んで選んでもらったのよ。」


「驚きますよ〜、私どなたかのお仕着せをお借りするつもりだったんです。うわ、装備完璧ですねさすが将軍。あの、時間がないので着替えに何処かお借りできますか?」


「ああ、待ってね。ルイーズ、あなた案内してあげて。」


カリンはルイーズに着いて移動する、そのカリンの背にファンテーヌの声がかかる。


「将軍、装具を選ぶのが楽しそうだったわ。でも、心配もしてた・・・衣装部屋からはこちらに戻らずそのまま出ていけるわ。ここからは淑女ぶらずに自由にやってちょうだい、大体の内容を聞いて私も頭に来ているわ。オーランド殿下のことは勿論だけれど、あなた達まで酷い目に合わされかけていることによ。でも、無茶し過ぎないで元気に帰って来てね。」


カリンは振り返り深々と頭を下げた。


「必ず元気な姿で妃殿下に報告に参ります。これほどの準備、ありがとうございました。」


涙が零れ落ちそうだった。こんなにも自分を理解し信頼し助けてくれる人達がいる。負けられない、泣いていられない。ぐっと堪え顔を上げると「妃殿下方はどうかご避難をなさっていて下さいませ。では、行ってまいります。」と、最高の笑顔で告げ着替えに急いだ。


仕掛けはどうかわからないけれど、多分策が上手く行ったとまだ勘違いしているだろう。急いで会場に戻り、ああその前に一般人の女性陣を会場からなんとか避難させないと・・・。


「カリン‼︎」


着替えをすませ廊下を急いでいると後ろから声をかけて来たのはヴィグリー少尉だった。


「少尉⁉︎なんでここに!」


「エンケル将軍から連絡が来た、オブリー伯も来てる。俺はお前の援護係だってさ、たく現場離れてもこき使われる。ま、今回はカリン絡みだしウルリヒでのチームがいた方がいいと思ったみたいだけどな。お、大丈夫か?顔青いぞ。」


「だ、だって少尉になんかあったらイェンナ様が・・・あ!そうだ、魔力持ちでない女性陣を避難させないと・・・。」


「おぅ、それならなさっき王太子殿下が上手く会場から連れ出したよ。中には魔法師と近衛、それに「鴉」しか残ってねー。」


「鴉の存在をご存知なんですか?」


少尉は自分の胸元を親指で指しニヤリと笑った。


「あんな、内緒だぞ?俺も一応そのメンバーの一人。」


カリンは歩みを止め少尉の顔を見上げポカンとした表情になりそれから言葉も出ないが口だけはパクパクと動かしていた。その様がなんとも言えず少尉は思わず吹き出す。それにムッときたのかやっと言葉が出てきた。


「わ、笑い事じゃありませんよっっ‼︎何ですか、いきなりそんなカミングアウトッ!あの部隊は極秘中の極秘でしょう⁉︎」


「だから、内緒な。」


少尉は口に人差し指を当て笑いを堪えながら言った。


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