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病気の娘を治療する始祖エルフ

クノス:バウムさん、こっちに!

バウム:おお、娘よ! 見ていたか? どうだ、父は強いだろう?

クノス:その話は後で! まさか勝つなんて……とにかく、面倒になる前にここを離れましょう!

バウム:そうだな。何やら面倒そうな野次馬の匂いがする。そうだ、早く俺の娘のところに案内してくれ!

クノス:だから娘じゃない……いえ、こっちです。ついてきてください!

0:戦いを終えたバウムは、話を聞きたがる記者を振り切るようにして、クノスの後を追った。

0:細い路地に逃げ込んで追っ手を振り切り、そこから少し速度を緩めて走った先にある、質素な長屋の手前でクノスは立ち止まった。

クノス:ここが私と、私の母。ケルンの家です。どうぞ、入ってください。

バウム:お邪魔します……というのも変か。娘よ、ただいま父が、帰ったぞ!

クノス:最初ので良かったのに、何で言い直すんですか! 母さん! 起きてますか?

0:クノスが奥の部屋に声をかけると、何やらかすれた声が聞こえてきた。

ケルン:クノス……かい? ずいぶんと、早かったねぇ。

クノス:母さん、ただいま。森に宝はなかったけれど、代わりにこの人を連れてきたよ。

バウム:初めまして、我が娘よ。私はバウム。お前たちの父である!

ケルン:父……? 私の父は、かなり昔に病気で死にましたが……?

クノス:母さん、この人の言うことはあまり聞かなくても良いから! それよりもバウムさん。母の病気は治せそうですか?

バウム:どれ……なんだ、ただ少し、呪いにかかっているだけではないか。これぐらいなら容易いこと!

クノス:呪い……?

バウム:そうだ、自然発生する呪いだな。ちょっと待て、確かこのあたりに薬があったはず……

0:バウムはローブの内側に手を突っ込んで、ガサゴソと探して小さな粒を取り出した。

バウム:さあ、娘よ。苦しかったであろう、この薬を飲み込むのだ。

ケルン:本当にこんなもので……?

クノス:母さん、こう見えてこの人は、すごい人だから。信じても良いと思う。

ケルン:でも、街の医者でも治せない病気が、そんな簡単に……あら不思議。身体が軽いわ!

0:ケルンが薬を口に入れ飲み込んだ瞬間に、ケルンの声色がオクターブ高くなった。

0:痩せこけたような表情も、病にかかる前以上に健康的な肌に生まれ変わっているようだった。

バウム:当たり前だ。何せこの俺が作った薬なのだからな!

ケルン:あなた、すごいのね。さすが娘が褒めるだけのことはあるわ! どうかしら、娘を嫁にもらうつもりは?

バウム:我が娘よ、冗談でもそんなことを言うものではないぞ。

クノス:そうよ、この人はこう見えて、私たちの祖先でもある始祖のエルフなのよ!

バウム:そういうことだ、我が娘。さすがの俺も、自分の娘と結婚するつもりはない。それに、俺にはすでに、今頃どこかでのんびり暮らしているであろう嫁がいるからな!

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