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第二十章・文節は三つまでで、もしくは死

 ロヴも笑って否定し、この話の続きはあきらめた。

 あまり長いこと話し込んでスパイ疑惑をかけられるのは避けたい。

「じゃあさ、技師に関してはできるだけ気を配っておいてもらえる?ここはもう安全じゃない。恐怖の脳筋将軍が三文節以上話す王族を片端から折ってるって聞いたから」

「は?」

「出会ってしまったら、ロキスタって三回唱えたら助かるらしいよ」

 んじゃ…と微妙に都市伝説めいた情報を残してロヴはサリダ翁の部屋をあとにした。

 どこからか、枯れ木が折れるようなかさかさした物音と、木枯らしのようなかそけき悲鳴、ロキスタのため息が聞こえたような気がした。

 ロヴはユーグ翁かトルサグ翁の末路に心の中で手を合わせ、副官たちが打ち合わせに使った部屋に戻った。


 部屋ではすでに聞き取りを済ませたカレドラセルが、ロヴと同様、ロキスタ担当の故人に手を合わせていた。

「ラセルさんお疲れさまっす、ロキスタさんが聞きこみしたのって誰ですか?」

「トルサグ…といったか、多少血の気の多そうな御仁だったな」

 ああー、と納得とともに嘆息するロヴ。

「一応サリダ爺さんには忠告してきたんですけどねー。口伝を知る個体はそんなに数多くないんで、最悪でもフネの現出と稼働率を確認するまでは何人か残しといてほしいかもです」

 カレドラセルは目の前の若者を改めて見つめた。

「なんだ…やはりお前もあちらの種族なのだな、腐っても王族といったところか」

 それでもまあ想定内ではあるが…とつづける。

「サリダなにがしと密談でもしてきたか?」

「いやいや、そんなんじゃないですよう。ちゃんとあなた方にとって有益な情報も聞き取ってきましたから!」

 正確にはロヴの持つ知識に齟齬がないか確認しただけだが、ロヴはそれがあたかも老人から聞き出したという設定で話を進める心づもりだった。

「で、これからは?ロキスタさんが戻ってきてから、三人で情報すり合わせてから上司さんに報告します?それとももうメルさんも落ち着いてるころあいでしょうから、直で情報交換しつつ今後を模索するってのもありだと思うです」

「やはりこれまでは猫を被っておとなしくしていたか。で、その猫がはがれかけているのはなぜだ?」

「聞いたでしょ?生ける重要人物抹殺マシーンの犠牲者の断末魔を」

「ようやく危機感を感じたというわけか」

「はあ、鯖折マシーンも怖いっちゃ怖いんですが、ちょっと気になる書籍を見つけたもので…。あ、ラセルさん…ってちょっと呼びにくいのでラッシーとかでいいですかね」

「却下する」

「えー」

 そこへカンピオ将軍を伴ったロキスタが入室した。

 周囲に桃色の半透明レイヤーとハート形の特殊効果が自動展開されていた。

「ラッシー…上に合流しよ」

 カレドラセルもその提案を無下に却下するのは悪手だと悟った。

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