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第4話「ヨシノの休日!ストレージに眠る叡智」 Aパート②

 レンタルショップの店内にあるカフェで、

アイスカフェラテを飲むヨシノ。

一方の凪はミルクティー。その弟の順は、

別のフロアのカードコーナーで、

同世代の対戦相手を見つけ、手合わせを行っている最中だ。


「何そんな疲れてんの?ヨシノ」


 現在、部活動にも参加していないヨシノが、

グロッキー状態を見せていたことに疑問を覚える凪。

古文書を探すと言うノルマを課せられつつも、

束の間の休息で羽を伸ばすヨシノであったが、

言い訳をする理由がイマイチ思いつかない。


「まあ…色々あるんだよ」

「彼氏とかできた?」


 そんな訳あるかい!と思わず叫びそうになったが、

ここで突っつかれても困ると、ヨシノは何とか収める。

確かに、友人の気配がないまま疲れ切るとなると、

デートスポットを回り続けるような状況を連想することもあるのかもしれない。


「いやー、家の事情って言うかさ」


 結局、いい回答は見つからず。

エクリプスベルトの一件で賢界に語ったように、

「親戚の男の子に付き合わされて大変」で誤魔化すことにした。

幸いにも、今度写真見せてよと要求するくらいで話題は完結したが、

勿論、ゲッシーの写真など見せられない。


「どうしたのヨシノ…ああ昔やってたやつ?」

「なんかすごい懐かしくなってさ」


 一服を終え、場所を移したヨシノが、凪との共通項に手を伸ばす。

およそ10年前の変身ヒロイン番組。そのレンタルDVDである。

性格や嗜好はそれぞれ異なるが、

彼女たち二人は保育園からの付き合い。

その時に一緒に語り、共有の話題となったものの一つ。

それがこのアニメである。


「あの時すごいごっこ遊びしたよねウチら」


 凪の方から話題を発展させる。

ヨシノが明るい主人公の役で、凪がクールな相棒の役。

不思議と、今の彼女らの印象とは異なるものだが、

自分に無いものを追い求めていたのかもしれない。


「借りんの?ヨシノ」

「いや、私の家はプレイヤーないし…配信かな」


 じゃあ、あたしが借りような。

そう思い出したようにカゴに入れる凪。

もっとも、彼女はバスケットボールに勤しむ身。

観る暇あるかな、と早速不安がるが。


「その思い出が原体験…ヨシノの原動力なんだね」

「あまり大きな声出さない」


 タイミングを見計らい、抜け出した先。

外の駐車場のはずれでヨシノはゲッシーと語らう。

堂々と語るような場所ではない、油断しないでと、

ヨシノの思い出に馳せるゲッシーに対し、釘を刺す。


「うわー美味しい」


 コーラに大喜びのゲッシー。

ヨシノと暮らす中、何度か彼女から飲み物を貰っているが、

その中でも炭酸飲料が好みらしい。

ヒマワリの種とは方向性が大違いだが、

こちらに関して言うなら、以前の彼の申告通り、

味覚は地球人のそれ──ホモ・サピエンスに近い。

やはり、地球のハムスターとは体の作りが違うようだ。


「ハムスターなのにシュワシュワした刺激が好きとは…すっごい不思議」

「だからハムスター扱いはやめてって!」


 最初の出会いの時。ゲッシーが、

その時と同じ怒り方をしていることを思い出す。

またもや地雷を踏んでしまったヨシノだが、

ふと、疑問に思う。何がそんなに嫌なんだろう。


「僕がハムスターだからだよ」

「へ?」


 結論から言うと、ゲッシーは宇宙基準でもハムスター。

要するに、「人間」として扱われないのである。

簡単に言えば、言葉を話し、大学を出ていてもペット止まり。

宇宙人と宇宙生物の差。後者にゲッシーがいるという。


「だからもっと人として認められたい!それが僕の目標なんだよ」

「宇宙人の感覚ってよく分からないな…」


 ヨシノがゲッシーをハムスターと呼ぶのも、

あくまで地球の生き物のそれと容姿が一緒だからである。

色々な見た目の宇宙人がいる中で、

それだけ物を話すのならゲッシーも人でいいんじゃないのかな…。

宇宙の社会の難解さ。そしてゲッシーのコンプレックス。

内心でそう思い、遠い目で苦笑いをしつつも、

ヨシノはその奇妙な世界観をなんとか受け止め、呑み込む。


「そういえばさゲッシー。原動力って話、していたよね」


 そしてヨシノは先ほどの、凪との取り留めのない会話を引き合いに出す。

一緒に入部して、今は県外に転校した同級生。卒業した先輩。

囲碁部に入部した初日、部活動の中で共通の話題がなかった中、

最初に盛り上がった話題の一つが「昔見ていたアニメ」だったと言う。


「全員が全員、知ってたわけじゃないんだけどね」


 部員のうち、男子の先輩に関しては視聴歴がなかったために、

少しばかり置いてけぼりになったようだが、

今は誰もいなくなった囲碁部への繋がりを最初に作ったのも、

ヨシノにとってはその変身ヒロインであった。


「そういうのがあって、私、頑張りたいのかも」


 ルミナタキオンとして初めて戦った時に決めた、視聴者の夢になること。

画面越しの体験でも、確かにそこにあった思い出。

思い出が人を繋げたり、人を救う事があるかもしれない。

何故、自分がタキオンを続けたかったのか。

ヨシノを突き動かす理由の一つが、そこにある。

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