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『転生獣医の異世界もふもふ開拓記』〜なぜか精霊たちと最高峰の牧場を作ることになりました〜  作者: eccen.


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第6章「守るべきもの、繋がる絆」 第1話「襲撃と、闇の足音」

夜明け前の静けさが、牧場を包んでいた。


ハルトはいつもより早く目を覚ました。胸の奥に、何かが引っかかるような不安があった。


「……シエル、起きてる?」


「うん。なんか、風がざわざわしてる」


シエルは窓辺に立ち、夜空を見上げていた。小さな妖精の姿から、うさぎのような小動物に変わっていた。


「嫌な感じがする。……何かが来る」


その言葉と同時に、牛舎の方から爆音が響いた。


「っ!」


ハルトは飛び起きて外へ駆け出す。そこには、黒い煙と共に崩れた柵、そして逃げ惑う動物たちの姿があった。


「《陽光鶏》たちが……! 誰か、侵入してきた……!」


防御魔法陣が一部破られていた。


「……狙って来たな」


そう呟いたのは、すでに戦闘態勢に入ったキールだった。彼の杖の先には、禍々しい影が浮かび上がっていた。


「“影の猟犬”……! 闇魔術で生み出された、感情のない獣兵器だ」


黒い毛並みに無数の目を持つ異形の獣が、口を開いて吠える。周囲の空気が冷たく震えるような気配に、ハルトの背筋が凍った。


「家畜を狙って……!」


「違う、これは“見せしめ”だ。牧場を壊すのが目的じゃない。君に“選ばせる”ために来てる」


キールの言葉に、ハルトは奥歯を噛みしめた。


「選ぶもんかよ……! 守るって決めたんだ、この牧場も、みんなも!」


シエルが宙に飛び、魔力の風を巻き起こす。


「《風精霊の結界・展開!》」


彼女の魔力が光となって広がり、動物たちを包み守る。


「やるじゃん、シエル!」


「当然でしょ!」


キールは炎の魔法を発動した。


「《火線乱舞》!」


無数の火の矢が、獣を襲う。獣の体が焼け崩れるも、再び影から再構成される。


「再生型か……!」


「じゃあ、核を破壊する!」


ハルトは鍬を握りしめ、全力で走った。いつも土を耕していた手が、今は仲間を守るために動いている。


獣の影が襲いかかる瞬間、ハルトは跳躍し、背中に見えた小さな魔石を叩き割った。


「っっ!!!」


獣が断末魔をあげ、黒い煙となって消えていく。


一瞬の静寂。


それから、朝日が牧場を照らし始めた。


「……守れた、のか」


ハルトはへたりこみ、肩で息をしていた。動物たちは無事だった。


シエルが彼の肩に乗って、静かに言った。


「これが、“あっち側”の本気かもしれない。でも、私たちは、ここを守れた」


キールも肩を落としながら頷いた。


「次はもっと来るかも。それでも、戦えるかい?」


ハルトは笑って言った。


「もちろん。牧場主だからな。誰が来ても、ここは渡さない」


その頃、街では、ハルトの卵とミルクを使った料理が話題になり始めていた。


“奇跡の卵”“癒しのミルク”


それが人々の口に上り、牧場の名は静かに広がり始めていた——。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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