第3話 午前講義② 新人探索者研修
第3話 午前講義② 新人探索者研修
鬼塚が次の項目を書こうとしたその時、
前列の男子が勢いよく手を挙げた。
「質問だな。いい傾向だ。聞こう」
鬼塚が、最初の質問者である新人を指名した。
「はい、どうして地上でステータスを開いたら、更新確定できないんですか?」
講義室が一瞬ざわつく。
「まじの初心者いたな。ぬくぬく育ったおぼっちゃんか」
「予習もせずにこの場にいるのか、馬鹿じゃね」
「自分が自殺志願者だと、いつ気が付くことやら」
新人たちから呟きの陰口が講義室に広がる。
鬼塚は鼻で笑った。
「最初に質問をしたお前は偉いぞ。それにいい質問だ。今答えるが、少し待ってくれ」
鬼塚が電子チョークで黒板に質問内容を書き込むと、
AI黒板が淡く光り、勝手に解答を展開し始めた。
新人たちがまたざわつく。
「年齢引き下げして中学三年から研修受けれるようになった弊害だな」
「ほんとだな。そんな、わかりきったこと、質問すんなよ」
「いや、俺、知らねえし」
僕の左側に座る武田の呟きが耳に届いた。
僕も思わず前のめりになる。
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■.地上でステータスを開いたら正式確定できない理由
・地上は魔素濃度が低く、ステータス更新に必要な「魔素」が不足するため、地上での更新は不安定で最悪は昏睡や死亡につながる。
・魔素濃度:地上=低 / ダンジョン=高。
・必要性:ステータス更新(経験値確定)には大量の魔素が必要。
・不足時の危険:足りない分を自分の魔力で補おうとして魔力枯渇→昏睡・最悪死亡。
・回復時間:地上での魔力回復は非情に遅い。
F級迷宮を主戦場にするF級探索者の場合:地上ではF級迷宮の約十倍の回復時間を要する。
・結論(行動指針):地上での安易なステータス更新は避け、更新は安全なダンジョン内か石碑・ギルド設備で行うこと。
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鬼塚が説明文を指で叩いた。
「地上は魔素濃度が低すぎて、ステータス表示が不安定になる。
更新確定までいかねぇ場合がほとんどだ。例えると、銃を所持してる奴が、自らのこめかみに銃を撃つ、高確率の失神つきロシアンルーレットを頭に思い浮かべてみろ。だから、軽々しくするなよ」
「ひ、ひぇ……探索者になると、地上だと簡単に自殺ができるってことでありんすか……」
上杉と小恋路に挟まれた席に座るマリアは、震えながら扇子を握りしめ、自分が咀嚼して得たものを言葉にして呟いた。
その一方で、質問した若い新人は、真面目に授業を受ける姿勢を、短い言葉で表していた。
「はい、わかりました」
「よし、良い質問だったぞ。他に質問あれば答えるぞ。無ければそのまま講義を続ける」
最初の新人に触発されたようで、またも若い男子新人が手を上げ、鬼塚に質問を投げかけた。
「すみません。質問です。高位の探索者が低階層で狩りをしてもレベルが上がりにくいのは、具体的にどういう仕組みなんですか? “魔素濃度”と経験値確定の関係を、もう少し噛み砕いて教えてください。」
「いい質問だ。端的に言うとこうだ。
ダンジョン内では魔素濃度が高く、経験値やスキルの“確定”に必要な燃料が十分に供給される。低階層は魔素が薄い。高位探索者が低階層で戦っても、得た経験値を“確定”させるための魔素が不足するから、経験値が魂に定着しにくい。
逆に危険な高階層は魔素が濃くなるため、経験値が魂に定着しやすくなるし、更新確定が安定する。だから『自分のレベルに見合った階層で戦え』という教えになる。分かったか?」
「はい、納得できました」
高位探索者が低階層で経験値稼ぎしてもレベルが上がらないのを論理的に教えられ、ようやく理解が追い付いた。
要するに――安全な低階層にいればいるほど、レベルもスキルも“育ちにくい”ってこと。逆にとらえると、格上のダンジョンだと、レベルが上がり易いということか。
僕の頭の中で、点と点がつながった瞬間だった。
また、別の新人が手を挙げた。
「仮確定って……そのまま帰ったらどうなるんですか?」
鬼塚は頷いた。
「極めて重要な質問だ」
黒板に質問内容を書き、
その横に大きくバツ印を描く。
AI黒板が即座に解答を表示する。
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■仮確定のまま帰還したら? ―――×
地上に出ると、
蓄えた レベル経験値構成要素・スキル構成要素・魔法構成要素 が
徐々に放出・拡散されていく。
例えるなら――
パンパンに膨らんだ風船が、少しずつしぼんでいくように。
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鬼塚が言う。
「結論からいうと、時間経過で消えてしまう。
数時間〜数日で霧のように消滅するな」
(……消える……?せっかく生えたジョブが……?)
鬼塚は締めくくる。
「ダンジョン内でステータスウインドウを使って非公開更新で確定するか、
石碑に触って全公開更新で確定するか、一度持ち帰って“なかったこと”にするか――
それはお前ら自身の判断になる」
ざわめきの中、誰かが囁いた。
「そういえば、よく聞くよな。実際に毎年、新人研修を受け直す奴」
釣られて、僕の周りに座る新人たちの呟きが漏れ出る。
「ああいうのって、毎年いるみたいよ。会社員とか、ゲーム感覚で一発逆転狙う人」
「うちの街にもいたわ。田島っていう四十手前のサラリーマン。毎年一回だけ休みを取って、新人研修に混じってたんだって。最初は笑い話だったけど、三年目に珍しいスキルが出て、地元じゃちょっとした伝説になってるらしい」
(へえ、そんな裏話もあるんだ)
毎年、正月元日にダンジョン詣でする新人がいるかもと思うと、ちょっとだけ、この新人研修にも親しみを感じるような気がする。
そんな想像に浸っていると、いつのまにか講義室から雑音が大きくなっていた。
瞬間、鬼塚の怒号が飛ぶ。
「うるさいぞ。静まれ。講義の邪魔をするなら叩き出すといったのを、もう忘れたか」
鬼塚の一喝で講義室が静まり返る。
「お前ら、講義に集中しろ。次に騒いだ奴、講義室から退出を命じるからな。
……では、次は状態異常について話をする」
鬼塚は黒板に次の見出しを書く。
AI黒板が即座に検索し、説明文を展開する。
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■状態異常 × ステータス更新
《状態異常 × ステータス更新》→×
治療手段を持っていない状態で
『毒』・『呪い』・『石化』・『麻痺』・『混乱』・『衰弱』
などの状態異常を受けている場合――
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鬼塚は黒板に大きくバツ印を描いた。
「まず状態異常を受けた場合、その時、何も考えずにステータス更新をすると――」
鬼塚は新人たちを睨みつける。
「悪化するぞ。更に言うと、状態異常時間も大幅に伸びる」
講義室がざわつく。
「ステータス更新は“今の状態”を魔力情報として固定する行為だ。
呪いや衰弱を受けたまま更新すれば、その状態が“より強化される”ことすらある」
僕の真横に座る武田の顔が青ざめる。
「強化って……やべぇじゃん……」
(いやいや、新之助さん、やべぇどころじゃないよ……マジ死ぬよ……
ていうか毒がレベルアップって何……?
“猛毒(進化)”とか出てきたら僕もう無理なんだけど……)
鬼塚は続ける。
「治療手段がないなら、ステータス更新より先に地上帰還を優先しろよ」
(……はい、もう絶対に毒とか呪いとか食らいたくないです……)
小恋路がそっと僕の袖をつまむ。
「翔太……怖かったら、手、握ってあげよっか?」
「おねがいします」
(あったかい……いやもう、小恋路の存在が一番の回復薬なんだけど……)
ただの小恋路の付き添いデート感覚だったのに、どうやら偉いところに来たものだ。午後からの実習では、講習で叩きこまれた恐怖以上のことが起こらないことを祈るばかりである。
鬼塚は電子チョークを握り直し、AI黒板に次の項目を書き込んだ。
黒板が淡く光り、文字が自動で展開される。
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■遭難中にまずすること
・まず食料と水の確保が最優先
・その上で何を置いても石碑を目指すこと
・石碑の側には必ず地面に魔法陣が彫られた場所がある
・石碑登録をすると、迷宮転移陣――迷宮ポーターが利用可能になる
・AIドローンを所持していれば、救命信号を発動する
・その場で待機、または安全な場所を確保
■AIドローンについて
・遭難時の位置情報と状態を自動送信する救命魔道具
・遭難者の上空で光を焚きながら、石碑までのルートを送り続ける
・新人たちからは「ダンジョンの守護天使」と呼ばれている
・石碑売買マーケットでの通常販売価格:一台 百万DP
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鬼塚は腕を組み、講義室を見渡した。
「AI黒板にも書いてあるが――
中堅になったら AIドローンは絶対必須 だぞ」
新人たちがざわつく。
「遭難時のために開発されたと言っても過言じゃねぇ魔道具だ。
ちーっとばかし割高だが、絶対に買っとけよ。
命の値段に比べりゃ安いもんだからな」
(……AIドローン……そんなに重要なんだ……)
鬼塚は腕時計に目を落とす。
僕もつられて壁際の電子時計を見る。
―――『11:30』
(あと三十分で講義終了か……)
鬼塚は深く息を吐いた。
「そろそろ時間が差し迫ってきたな。
他にも言いたいことは山ほどあるが、
今日の数時間の講義だけじゃ全然足りねぇ」
講義室が静まり返る。
「死にたくねぇ奴は、無料で配った資料をよく読んでおくように。
俺がこの場で教えてることよりも細かい注意事項が書かれてる」
(……はい、資料、ちゃんと読みますね……)
鬼塚は再びAI黒板に向き直り、
次の項目を書き込む。
「次は、希少ジョブ、希少スキルの扱いについてだ」
黒板が光り、情報が展開される。
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■希少ジョブ・希少スキル
・《希少ジョブ》→エクストラ・ユニーク
・《希少スキル》→エクストラ・ユニーク
十万人に一人の確率で保持されるジョブ・スキル。
圧倒的な高威力を誇るが、
保持者のほとんどが国家・探索者ギルド・大手クランに属し、
保護対象となっている。
テロ組織・犯罪組織に属した保持者は、
懸賞金が掛けられた賞金首となる。
■スキル・ジョブのエラー表示
○○○Lv.error
ステータスウインドウに上記のように表示される。
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ギッ……ギッ……
電子チョークが黒板を走るたび、
講義室の空気がさらに張り詰めていく。
鬼塚は腕を組み、説明を続けた。
「希少ジョブ、希少スキル――
これは“選ばれた一握りの人間”にしか生えねぇ。
大手クランが血眼になって探す逸材だ。
もしかしたらこの新人の中にも、もしくは
ギルド指導員の中にも大手クランからの回し者がいるかもな」
新人たちが息を呑む。
「で、エラー表示だが……
これはダンジョンの想定レベルを大幅に上回る
エキストラジョブ・エキストラスキルが生えた時に起こる」
鬼塚は黒板を指で叩く。
「例えるなら――
Sランク探索者がFランクダンジョンに入った場合だ」
(……そんなこと、あるの……?)
胸の奥がざわつく。
「探索者個人スキルの魔素維持コストが強すぎて、
ダンジョンの魔素出力濃度が追いつかねぇ。
その結果、ステータスがエラーを吐く」
「ただし、スキルが完全に阻害されるわけじゃねぇ。
ダンジョンの魔素濃度に応じた威力になるだけだ」
鬼塚は肩をすくめる。
「まあ、これは一部のエリート向けの話だ。
ほとんどの新人には関係ねぇ。
面白半分の知識として覚えとけ」
(……新人でも……?
そんな人、本当にいるのかな……)
胸の奥がざわつく。
鬼塚は次の項目を書き込む。
「次は、大手クランについて軽く触れておく」
AI黒板が即座に解答を展開する。
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■大手クランが求めるもの
迷宮探索の最前線で活躍できる人材
迷宮探索の後方支援で活躍できる人材
《希少ジョブ》→エクストラ・ユニーク
《希少スキル》→エクストラ・ユニーク
探索ギルド主催・大手クラン合同合宿参加権
毎月開催(1日〜7日)
・交通費
・宿泊費
・初期装備
・食費
・講師代
・参加費
・全部無料
新人探索者講習での参加者の絞り込みは、
現場の判断に委ねられる。
※補足
新人実習修了後、
《希少ジョブ》《希少スキル》持ちの新人は受付にて個別対応します。
初回魔導具使用料は無料です。
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鬼塚は腕を組み、はっきりと言った。
「一流大学生の新人社員が大手企業に就職できて大喜びするのと同じ感覚で、
我々、探索者が大手クランに所属できればだが――
一生、食いっぱぐれることがなくなるな。しかも、金払いが並みじゃない」
武田「夢あるな……!」
上杉「合理的だな」
マリア「楽しそうでありんす……」
小恋路だけは下を向き、静かにメモを取っている。
鬼塚は続ける。
「ただし、大手クランは隠し事を許さないからな。
ステータス完全公表は必須だし、
身辺調査も徹底している」
「クランの極秘情報を共有できる人格者であること。
それが最低条件だ」
(……そりゃそうだよな……
国家レベルの戦力になるんだし……)
鬼塚は講義室を見渡し、
最後の言葉を投げかけた。
「どうせ探索者になるなら、高い目標を持て。
俺は、この講習から大手クランに入れる逸材が出ることを、本気で願ってる。
今日一日を、“ただの講義”で終わらせるな。ここから先の、自分の夢を叶える一日にしろ。時間だ。これで午前中の講義を終了する」
鬼塚は腕を組んだまま、僕を鋭く見つめた。
「では――三列目の前から五番目の男子。終了の号令を頼む」
(……僕だよね……完全に覚えられてる……)
「――はい!」
僕は立ち上がり、声を張る。
「起立!」
「礼!」
「着席!」
これをもって新人研修の午前の部、新人講習が終わった。
講義室が一気にざわつき始めた。
武田が頭をかきながら、大きく伸びをする。
「うおーっ、頭パンパンだわ……午後から実習ってマジかよ……一回、睡眠時間とって、頭をスッカラカンにしたい気分だぜ」
その隣で、上杉はむしろ感心したように肩をすくめた。
「むしろ午前でこれだけ情報を詰め込んだのは良心的だと思うが。これでもまだ足りないくらいだ」
「あたしは緊張でお腹痛くなってきたでありんす……」
マリアは自分のお腹をそっと押さえながら、情けなさそうに顔をしかめる。
小恋路が僕の袖をつまむ。
「翔太……お昼、一緒に食べよ? 午後のこと考えると、ちょっと怖いし……隣にいてくれたら嬉しいかな」
「……うん、もちろん。なんなら、母さんが作ってくれた弁当、分けてあげてもいいけど」
小恋路は、ほっとしたように微笑んだ。
「卵愛に満ちた翔太の卵弁当か。じゃあ、卵焼き一個だけもらおっかな。わたしの作ったお弁当のタコさんウインナーと交換ね」
「よし、交渉成立だね」
そこへ、武田がニヤニヤしながら近づいてくる。
「おいおい、またイチャついてんのかよ……羨ましいぜ……!」
「武田、お前は黙ったほうがいいんじゃないか。嫉妬が漏れているぞ。ついでに未練も漏れてるな」
上杉が即座に切り捨てる。
僕らが付き合う以前に、武田が小恋路に告白して玉砕した件。それをこの状況で持ち出して刺すとは、さすが上杉。言葉の居合斬りの名人だな。
物の見事にバッサリと心に傷を負った武田は、狼狽えながらいち早く反論の言葉を叫ぶ。
「漏れてねぇし!!」
そんなやり取りをしながら、僕たちは講義室を後にした。
(……午後はいよいよ、ダンジョン入場実習か……怖いけど……でも、なんか、楽しみだな……)
胸の奥が、じんわり熱くなった。
◆◇◆◇◆◇
※佐々木 勝正視点
講義室から逃げるように出てきたあとも、頬の熱はなかなか引かなかった。
――朝倉 翔太。
名前を心の中で噛みしめるたびに、胸の奥でじりじりとした怒りが燃え上がる。
しかし、抑えろ。自分の心を抑えてこそ、支配する人間の側に立てる。
そう硬く自分を戒めた。
特別優先研修生は午前の座学が免除されている。
我々、上に立つ人間は、幼い頃から努力をして当たり前、結果が出て当然の世界に生きている。だから、当然、ここに来る前にしっかり予習は済ませてきた。
初めてのダンジョン入場で、眠っていた才能や欲望が魔素に汚染され、スキルとして魂に刻まれる――そう聞いている。
(俺は自分を信じる。俺は支配者側の人間だ)
初ダンジョン入場を果たすと、頭の中にアナウンスが届く。
『初回ダンジョン入場特典として、以下のジョブ・スキル・魔法が発現しました』
『ジョブ:《支配騎士》が発現しました』
『スキル:《支配剣術》が発現しました』
『スキル:《支配の魔眼》が発現しました』
やはり、俺は選ばれた側、支配する側の人間だとスキルが証明してくれた。これでお爺様にも顔が立つ。
五分様子を見て何もなければ、ステータスウインドウを開いてもよいといわれていたが、俺は選ばれた人間。もちろん、魔素アレルギーなど起こるはずもない。
支配の魔眼。
試しに取り巻きの女――氷川 麗香に魔眼を向ければ、あっさりと膝を折り、「佐々木様の魔力に包まれて、あなた無しでは生きていけませんわ」などと恍惚とした顔で囁く。
支配する快感が、血の中をゆっくりと満たしていく。
笑いがこみ上げた。
――これだ。
この力があれば、八神 小恋路も、八神家も、俺の手の中に収まる。
八神家本家は、探索者ギルドと何かと対立軸を持ち出される組織、狩猟者ギルドの創始者の家系。
探索者ギルドがダンジョンの中を担当するなら、狩猟者ギルドは、ダンジョン出現から五十年の間に、地上に魔物があふれた地域での駆除を一手に担ってきた。そんな住み分けができていた。
八神 小恋路は、八神家の親戚筋の子。
うちのお爺様――佐々木製薬の会長は、ことあるごとに言っていた。
「八神家と繋がりを持て。勝正、それが出来て初めてお前は、儂の目にとまる存在になる。精進せよ」と。
三男として大した期待もされずに育ってきた俺にとって、それは初めて与えられた“家の役目”だった。
なのに――。
庶民のガキ一人が、俺の前にしゃしゃり出てきて。
八神 小恋路を連れて歩き、あまつさえ俺を笑い者にした。
(この借りは高くつくぞ!)
午前中の時間を使って、俺は上位新人研修――いわば「選ばれた側」だけが受けられるパワーレベリングコースで、支配騎士のレベルを一気に上げた。
午前中、実習後、ダンジョンを出る時にステータス確認したのがこれだ。
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■ステータス
名前:佐々木勝正
種族:人間 年齢:15歳
属性:【闇】
ジョブ①:支配騎士 Lv.1 ⇒ 5
生命力:140 ⇒ 210
魔力総量:150 ⇒ 230
基礎体力:55 ⇒ 72
基礎魔力:30 ⇒ 60
筋力:55 ⇒ 94
器用:40 ⇒ 76
敏捷:62 ⇒ 93
運:30 ⇒ 32
SP:(parameter):0 ⇒ 25 ⇒ 0/SP:(job):0 ⇒ 5/SP:(skill):0 ⇒ 5 ⇒ 0
スキル:支配剣術 Lv.1/支配の魔眼 Lv.1 ⇒ 2 /
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支配剣術
対象の動きを鈍らせる“蓄積型デバフ付き剣術”。
攻撃が当たれば当たるほど、対戦相手の動きを鈍らせる。一定数相手を傷付けると、相手を一定期間、意のままに操れる。強い精神耐性があると効果が失敗。
支配の魔眼
視線で相手の精神をねじ伏せる支配系魔眼。
強制的に相手を屈服させる魔眼。レベルに応じて支配下できる人数が増加、スキル効力も高まる。精神耐性が強ければ効かない。
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「……今が、勝負どきだ」
昼休みの昼食前、特別研修棟の裏手に停めてある黒塗りの車に近づきながら、俺は奥歯を噛みしめた。
運転席から降りてきた運転手兼護衛が、恭しく頭を下げた。
「お呼びでしょうか、勝正様」
「『紅蓮の炎』を呼べ」
俺は低く告げた。
紅蓮の炎――A級探索者パーティ。
名目上はギルドのお抱えだが、裏では佐々木家専属の“汚れ仕事”も請け負う連中だと聞いていた。
「本日中に、ですか?」
「ああ。今すぐだ」
俺は車体に手を置き、ゆっくりと言葉を選んだ。
「新人実習に紛れて、“少しばかり教育”をしてもらう」
庶民のガキどもが、上位国民を笑った――その代償を払わせる。
そして同時に、一族内での俺の“価値”を上げる踏み台にする。
「標的は、俺と同じ中学の連中だ。名前と顔は、データを送る」
運転手の目が、わずかに細められる。
「……畏まりました。『紅蓮の炎』に、勝正様のご要望の件とだけ伝えておきます」
胸の内側で、得体の知れない高揚が膨らんでいく。
ここは新人が集う場所、初心者ダンジョン。
午後になれば、あいつらも初めてダンジョンに入る。
レベルが低いうちに、心も身体も、きっちり“伸びないように”折っておく。
(お爺様。俺はやれますよ。八神家とのパイプは、俺が必ず――)
あの朝倉とかいう庶民の顔が、ふと頭をよぎった。
『……なんで一般講義室から出てきたの……?』
あの、素で疑問をぶつけてくる声音。
悪意が薄い分だけ、余計に腹が立つ。
口の中で小さく転がしたその名前を、俺は頭の奥に刻みつけた。
(朝倉 翔太――まずはあいつを排除することから始めるとしよう)
支配の魔眼が、ぞくりと疼いた気がした。
応援よろしくお願いします!
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「この後一体どうなるのっ……!?」
と思ったら
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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
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