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後日談2 ひとつだけのリクエスト


 抱きしめても良いかと問うた晴夏に、湊は呆れたように微かに笑った。


「……そんなこと、いちいち聞くな」


 短く言って、視線を逸らさない。


 恐る恐る腕を回す。触れた瞬間、全身がかっと熱くなった。


(……近い)


 鼓動が早くなり、思わず目を閉じる。


(緊張するのに。怖く、ない……)


 むしろ、離れたくないとさえ思ってしまう。


 ぎこちなく抱きしめていると、ふいに頭を掴まれる。


「……ったく」


 そのまま、ぐり、と少し乱暴に撫でられた。


「……っ」


 一瞬びくりと肩が跳ねる。


 けれど、


(……あったかい)


 指先は思ったよりも優しくて。


「……あの」


 離れたくないと思いながら胸元に顔を埋めたまま、小さく呟く。


「お誕生日の、プレゼント……何が良いですか」


 一拍おいて、


「私に出来ることなら……なんでも、します」


 言ってから、はっと息を呑む。


「……毎年、いらないって言ってただろう」


 湊は眉を寄せて困ったような表情をしていた。

すっと腕を解かれ、軽く押されるようにしてベッドに座らされる。


(目を、合わせられない……)


 俯いたまま、言葉を探す。


「……私に出来ることがあるなら、なんでもしたいんです」


 ぎゅっと指先に力がこもる。


「壊したくないから」

「何が言いたいんだ?結論から言え」


 晴夏は一瞬迷ってから、口を開いた。


「……子供達みたいに。

大事な人は、お祝いしたいんです」


(散々好き勝手にしてきた相手に、なんでそんな事が言える?)

(意味が分からない。だが…)


「そうか。…なら、その日も名前で呼べ。旦那様は止めろ」

「……っ、が、頑張ります」


 顔を真っ赤にしたまま、小さく頷いた。





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