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初の戦闘 教会へ行く


 三体のゴブリンから首を奪った僕はみんなの元へ戻りながら周囲を警戒する。

セリカさんを始め騎士団の人達は勿論、レイネさんやセイラさんも警戒してくれている。

僕はさっき矢を受けた渡辺の所へ向かう。


 「大丈夫か?」

「え、えぇ、あんまり深く刺さってないから抜いたら大丈夫だと思う」

力のない声で渡辺が答える。


 「確かに、見た感じでは大丈夫そうだな、消毒液とかあるから治療するよ。

誰か、回復魔法を使える人はいませんか?」

騎士団の人は誰一人手を上げない。

「すまない、今回は教会のプリーストが呼べなかったので回復魔法を使える人材はいない」

セイラさんが申し訳なさそうな顔をして近づいてきた。

「仕方ない、ガーゼと包帯はあるから最低限の応急処置は出来るから帰ったら見てもらおう」

「そうね」

渡辺の声がかすれており、聞き取りにくいが了承してくれたようだ。


 僕は鞄から消毒液と包帯、ガーゼと清潔な布を取り出す。

「ごめん、誰か水魔法使えないかな?」

「わ、私が使えます」

来たのはさっき色々と話をしていた騎士団の人だ。


 「ありがとうございます。ではこの布を濡らしてください」

「わ、わかりました」

騎士団の女性は右手を出すと水を球体上に変化させる。

その水の球の中に布を入れて濡らす。


 「よし、ありがとうございます。あの、名前を教えてもらっても良いですか?」

「はい、私は王国騎士団の副団長ミレーナ・ダストと言います」

「ありがとうございます。ミレーナさん、渡辺傷口拭くからって、女子がしたほうがいいな誰か?」

「わ、私が手伝うよ」


 三奈羽がやってきてそう言ってくれた。

「ありがとう、じゃあこれで傷口を拭いて」

「分かった。こらぁ、男子は向こう向いてないさい」


 三奈羽に指摘さえれた男子は全員渡辺とは逆方向を見る。

少しするともういいよと三奈羽の声がした。

「次は消毒液で傷口を消毒してガーゼでキレイにして違うガーゼを傷口に沿わせて包帯で巻いて」

「分かった。それじゃ少ししみるけど我慢してね」

「・・・っつ」


 更に七分ほどすると完全に終わったらしく三奈羽の声が聞こえた。

「・・・おい、なんだこれ」

意識せずとも俺口調の方になった。

何故かって、三奈羽の包帯の巻き方がひどすぎたのだ、それはもうビックリするくらい。

どうやったらこんな風に負けるんだよって言いたくなるくらいにはひどかった。


 「え、えへへ、なんかいつの間にかこうなってた」

「はぁ、渡辺僕が巻きなおすけどいい?」

「え、えぇ、あんただったらいいわよ」

「ありがと、出来るだけ見ないようにはするから」

「もう、口に出されると恥ずかしくなるから止めて」


 そこからは一言も話さずただ無言に包帯を巻く。

これでも僕は病院で働いている人より包帯を巻くのが上手いと思う。

毎日、毎日、毎日喧嘩しては怪我するアホの世話をしたこともあるからだが・・・


 「もういいよ」

「ありがとう。それにしても手馴れてるわね」

「まぁ、たくさん包帯を巻く機会があったから」

「そうなの」


 渡辺の表情はあれ、これ聞いちゃダメな事だったかのような表情をしている。

「あぁ、別に気にしなくていいから、只毎日喧嘩してくるアホが居たからその治療とかしてたんだ」

「ときどき思うけどあんたってほんとは女ってオチじゃないでしょうね?家の事情で男装してる女の子にしか見えないのだけど」

「うぅーん、グサッと刺さる言葉ありがとー、でも残念男でした」

「だったらホm「ちゃんと女の子の方が好きだから」そう」


 渡辺は不思議そうな顔をして肩の様子を見る。

「助かったわ、まだ痛むけど感染症とかにならずに済んだわ」

「いえいえ、その分の貸しは僕がゴブリンにやられそうになった時に助けてね」

「えぇ、分かった」


 渡辺は微笑みながら僕にそう言った。



 

 「ゴブリンが現れました」

突然騎士団の人の声が響いた。

「本格的に出てきました。それでは皆さん昨日の訓練で習ったことを思い出しながら一体のゴブリンを四人

一組のパーティで倒してください」

セリカさんの指示が聞こえてきた。


 「私も行かなきゃ、っつ」

「渡辺はまだ治療できてないんだから気を付けないと」

「でも、私だけ」

「あぁぁぁぁぁ、もうじっとしてろ、俺はここで監視するから動くなよ」

「いきなり口調が変わるとギャップがすごいわね」

「そんなこと言っても僕の気は逸らせませんよ」

「チッ」

「舌打ちしない」


 僕は渡辺が動かないように監視をする。

あれから十分ほど経つとゴブリン達は討伐された。

けが人もいない、初の戦闘 誰も死なずにすんだ。






 王都に無事についた僕達はすぐに王城に戻った。

僕は渡辺とセリカさんと一緒に教会に行った。

「別についてこなくてもいいのに」

「僕は今、渡辺が怪我が開くようなことをしないように監視しています」

「あっそ」

「二人は仲が良いのですね」


 僕と渡辺が話していると暖かい笑みを向けながらセリカさんが聞いてきた。

「渡辺とは僕達の世界でクラス委員長って簡単に言うと集団のリーダー的な仕事を一緒にしてましたから」

「そうね、朝は私が昼はあんたがやって放課後とかは交代でしたり時々一緒に仕事したりしたわね」

「そうなんですね、同じ人の上に立つものとして何か通じるものがあるかもしれませんね」

「あはは、でも僕達なんか只学校行事の運営を主にしたりしただけだからセリカさんみたいにすごくないです」


 セリカさんは僕と渡辺を見るとへぇという表情をした。

「着きました。ここが教会です」

セリカさんが立ち止まり目の前にある僕達の世界とあまり変わらない教会の姿があった。

「ほら、行くぞ渡辺」

「分かったわ」

僕は渡辺と一緒に教会の中に入った。





 中には美しい女性の姿をした像があった。

周りは像を囲むように木でできた長椅子がいくつも並べており、家の近所にあった教会を思い出させるようだった。

「司祭様はおられますか」

セリカさんが扉の前でそう言った。


 「これは、騎士団の団長様が来たということはだれか怪我でもしましたかな」

すると奥の方にあった扉から一人の女性が現れた。

「騎士団のメンバーではなくこちらの異世界からの召喚者の方なのですが矢を受けてしまい、回復魔法を

お願いしたいのですが」

女性はしわがあることから四十台ぐらいの年齢だと思われる。

「あなたが異世界から来た召喚者様ですか?早くこちらへ」


 渡辺は司祭様のもとまで行くとうつ伏せになった。

「それでは直接怪我に触れますので・・・」

「あっ、ハイ向こうを見てます」


 僕は少し困ったような表情をする司祭様の言いかけたことを悟りすぐに顔をそらす。

「では、癒しをここに 回復ヒール

司祭様が呪文を唱える。僕は違う方向を見ているためどのようにして魔法が発動されているか分からない。


 「これで怪我は治りましたよ、普通なら銅貨三枚貰うところですが今回は初回ということもあり、ただに

しておきますね」

「ありがとうございます。ミカさんもう治りましたよ」

「ほんとですか」


 セリカさんと司祭様の会話を聞くと終わったようだ。

僕は振り向く。

「渡辺大丈夫?」

「すごいわね、さっきまでの痛みが一瞬で無くなったわ」

「良かった。司祭様、ありがとうございます」

僕は渡辺の言葉を聞いて司祭様にお礼を言う。


 「いえ、お気になさらずに。気を付けてください。次からはお金も貰いますから」

「はい、本当にありがとうございます」

司祭様はニッコリと笑ってくれた。


 「それでは城に戻りましょう」

僕と渡辺、セリカさんは城に戻った。




 城に戻り部屋に戻った僕は反省会?を開いて黄泉と一緒に今日の戦闘を思い出していた。

「まぁ、初の戦闘にしては良い感じだったと思う」

『うーん、あの程度の魔獣に後れを取ってたらこの先もっと大変だろうしね』

「なかなか厳しい評価だね、確かにそれもそうかあの程度の魔獣にやられてたらこの先もっと強い魔獣と戦っても勝てないと思うし」

『もっと強い魔獣と戦うまでに私のサポートなしでも勝てるように頑張ってね』

「あはは、頑張ります」

『私の技は百八式あるのだ』

「僕はどこの王子様になるんだよ」


 すると部屋のドアが開いた。

「だったら私の国で私と一緒に国を治めようよ」

蒼い髪を揺らし獣耳を生やした美少女、レイネさんが入ってきた、

「そ、それは、遠慮しておきます」

「えぇ、絶対私と一緒に国を治めるようになったらきっといい国を作れると思うのにぃ」

耳を垂れながら落ち込むように見せるレイネさん


 「ごめんね、私達がついてたのにあの娘に怪我をさせてしまって」

「それは僕じゃなくて渡辺に言ってやってください」

「それもそうだね」

「でも、助ける気って正直なかったでしょ」

「・・・どうしてそう思うの?」

「だって、あの程度の魔獣にやられてたら話にならないですもんね、あの程度の魔獣だったら騎士団の方だったら怪我なんてせずに終われるでしょうし」


 目が鋭くなったレイネさんを見ると図星だったようだ。

「いや、確かにそうだけど流石に死ぬってなった時には助けるよ」

「正直予想外でした、魔獣たちが囮を使ってくるなんて思ってませんでしたから」

「たまにあるんだよね、あんな感じの個体がさ、昔はそんなこと知らなかった人ばっかりだったからさ

たくさんの男性がゴブリンにやられたらしいし、他の魔獣だってたくさんいるし」


 レイネさんはどこか遠い所を見るように話している。

「他の魔獣ってどんなのがいるんですか?」

「たくさんいるよ、今日戦ったゴブリンみたいな人型に近い魔獣もいるし、体を持たない魔獣だっている

この城より大きい魔獣だっているし、それこそ一体でこの国を滅ぼしてしまうくらい強い魔獣もいる」

「うげぇ、それを全部倒さないといけないんですよね」

「うーん、そうでもないかな、今日戦ったゴブリンみたいなものは私達だけでも倒せるから、実夏たちに倒してほしい個体は只一匹だけなんだよね」


 レイネさんがいきなり僕の腕に抱き着いてきた。

「うわっ、な、なななナニシテルンデスカ」

「何ってミカの腕に抱き着いてるんだけど」

「ははは、離れてください」

「私に抱き着かれるのって、嫌だった?」


 先ほどまでの小悪魔のような笑みがなくなり一瞬で捨てられた子犬のような表情になる。

「嫌じゃないですけど」

「じゃあいいじゃん」

更に強く抱き着いてくる。

「それより、さっき誰と話してたの?」

「えっ、聞こえてましたか?」

「少しだけね」

「黄泉と話してたんですよ」

「黄泉って確か、実夏のあのデッカイ大鎌だよね?」


 レイネさんはきょとんとした表情になる。

多分心の中では何言ってんの?こいつとか思ってるんだろう。

「そうですよ」

「へぇ、もしかして適合者だったのかな?」

「そうですけど、適合者って何なんですか?」

「適合者って言うのは神器に完全に適合した人物でその神器と会話することが出来る人の事だよ」

「そうなんですかぁ、僕って全然この世界のこと知りませんね、明日図書館にでも行ってみるかな」

「そう言った相手の情報を得ることも大切だよ」

「じゃあ、そうしてみますね」

「頑張ってね、じゃあ私はもう行くから」


 そう言って僕から離れると部屋から出て行った。

「はぁ、少し疲れたな、寝るか」

僕は座っていたベッドに横になり目を閉じた。






 目が覚める。

まだ慣れない天井が僕の目の前に広がっている。

まだ眠気が残るため顔を洗いに行こうかと思いベッドから出ようとするが動けない。

「あれ、なんで」

僕は自分の周りを見る。

毛布の下に何やら動く物体が二つあった。

『なんだこれ、古いホラーゲームかなんか?』


 僕は毛布を勢いよく目繰り上げる。

そこには気持ちよさそうに僕の両腕を抱き枕にしながら眠る三奈羽と香代がいた。

「はぁ、全くこんな気持ちよさそうにしてたら起こせないじゃんか」

僕は二人を起こさないように二人の拘束から抜け出す。


 何とか脱出に成功した僕は顔を洗って中庭に向かう。

外は既に暗くなっており、幾星霜の星々が輝き、電気もないこの世界の夜という闇を美しく輝かせる。

城の中と言う事もあり、松明などもあり、少しオレンジの光と星の白い輝きが混じり美しい光景が広がる。


 そんな中で一人剣を振っている影を発見した。

その影に近づくと姿がはっきりと見えた。

セリカさんだった。


 彼女の眼には僕の姿など映ってないだろう。

一心不乱に剣を振るう彼女の姿の背後に星たちの光が集まる。

その姿はまるで戦乙女のようだ。


 そのときだった。

僕の足元に落ちていた枝が折れた。

『なんで、こんな所に枝が落ちてるの』

「誰だ」

セリカさんがこちらに気付いたようだ。


 「す、すみません」

僕はすぐに出て行きセリカさんの前まで行った。

「ミカさんですか、どうかしましたか?」

「いや、疲れも取れたので少し散歩しようかなって思って星を見ながら歩いてたらセリカさんの素振りをするところを見つけたんで、邪魔にならないように去ろうと思ったら枝か何かを踏んでしまい、今に至ります」


 僕は必死になって言い訳をしている浮気が見つかった男の様になっている・・・なんで?

「そんなに焦らなくても言いたい事は分かりましたから」

苦笑し、セリカさんは剣を鞘に納めた。


 するとセリカさんは近くに座り込んだ。

「ミカさんの世界で星はどんな感じなんですか?」

「この世界とほとんど変わらないですよ、この世界には星座とかってありますか?」

セリカさんは何のことか分からずに頭の上に?マークが漂っていた。


 「星座とは何ですか?」

「星が決まった位置にあることによって見える形のことかな簡単に言ったら」

「星が決まった位置にあるのですか?」


 セリカさんは僕に飛びついて来て目を輝かせる。

「そうですよ、僕達の世界では星は決まった位置にあって季節が変わるごとに見える星も変わるんです」

「では、私達の世界も星は決まった位置にあるんでしょうか?」

「それは分からないですよ、それに星座って88個もあるんです」

「そ、そんなに!?」

セリカさんは自分が思ったよりも多かったらしく信じられないと呟いている。


 「まぁ、たくさんの種類があるんですけど、その星座が出来た逸話とかもあって面白いですよ」

「そうなんですか?例えばどんなのがあるんですか?」

「そうですね、僕達の世界のおとぎ話というか神話の英雄の中にヘラクレスと呼ばれる英雄がいまして

そのヘラクレスはとある事情によってケンタウロス族の酒を飲んでしまい争いが起きてしまい

ヘラクレスは謝って自分の師であるケンタウロスのケイローンに毒矢を放ってしまい、ケイローンは不死

だったんですけど、退くの苦しみに耐えれずにヘラクレスに受け入れてもらうためにとある火山に

縛り付けられていたプロメテウスを解放したんですけど、その後にケイローンの死を惜しんだ

ゼウス、天空の神で全知全能の神とも呼ばれていて女癖の悪い神様なんですけど、そのゼウスがケイローンをいて座にしたって言う逸話があるんです」


 興味津々に聞いてくれる彼女を見ていると是非とも自分たちの世界を見て欲しいくなる。

「星にも面白い話があるんですね」

「こんなのは只の雑学にしかならないですけどね」

「私も見てみたいですね」

「僕達の世界では自分の誕生日によって星座とか決まって占いとかあるんですよ」

「そうなんですか、月って言うのはこちらの世界ではわかりませんがどう言うことなんですか?」

「難しい表現ですね、生まれた日の大まかな感じですね」

「なるほど、そういうことですか」


 納得したのセリカさんは興味深そうな表情をしている。

「ちなみにどのような星座があるのですか?」

「えぇと、牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座、天秤座、蠍座、射手座、山羊座、水瓶座、魚座ですね」

「ミカさんはどれなんですか?」

「僕は乙女座です」

「ミカさんにぴったりですね」


 悪気は全くないですよとわかる爽やかな表情で僕のトラウマ都まではいかないが昔から言われていたことを的確にえぐってきた。


 回想


 その日は文化祭であった。

僕たちのクラスは占いの館と言う店を出していた。

その占いの館では様々な占いをしていた。


 例えば、手相占い、恋占い、タロット占い、星座占いなど・・・

僕はそんな占いができるような人間ではないので占いをする人のサポート的なことをしていた。

それが終わって、僕たちは打ち上げをしていたが、占いをしていた生徒が僕の星座を聞いてきた。

「ミカっちって何座?」

「俺は乙女座だ」

「ミカっちにはぴったりだね、一途で女子力高くて、まさに乙女だね」

「・・・あはは」

「最近よく思うけど、ミカっちって男子って思えないんだよね。

頑張って男らしく見せるために俺とか言ってるけど、私から見たらめっちゃ一途なそれこそ少女漫画の主人公位の

乙女でも良いと思ってるよ」

「・・・そう、でも俺、野球してるし、それもキャッチャーだし」

「知ってる、ミカのことが乗ってる雑誌あるけど、ミカが何てかかれてるか」

「やめろ」


 その女子生徒は鞄から雑誌を取り出した。

その雑誌は結構最近のものでつい最近あった大会で活躍した選手が載っている雑誌だった。

「ほら、ここだよ。中学生野球大会に舞い降りた天使、早乙女実夏、キャッチャーをしており女子力が高い今注目の選手」

ペラペラと捲っていく。


 相方は豪速球ピッチャー有坂尚、こちらも超注目されている選手だ。

早乙女君のことはどう思っていますか?

・最高の相棒だと思っています。

どの辺りがですか?

・俺がミスっても必ずカバーしてくれますし、チームのメンバー全員から信頼されています。

すごいですね?

・他にも怪我をしたメンバーがいればすぐに救急セットを取り出して応急処置をしてくれる優しいやつです。

そうなんですか。


 クラスメートたちからは

男子生徒A 俺の天使


女子生徒A 尚×実夏は鉄板です。


男子生徒B 男子の敵でありながら男子の嫁


女子生徒B そ、その、女子よりも女子力が高い娘




 このような感じでは僕は告げられたことが今でも鮮明に覚えている。

しかもその後に三奈羽が怪我をしてしまい、まさに僕にとっては辛い。

『そういえばあいつも香代のクラスにいたな』


 僕の肩がトントンと叩かれる。

「はっ、どうしました。セリカさん?」

「いえ、いきなり目が死んでいたのでどうかしたのかなと思いまして」

「そうですか、気にしないでください」


 セリカさんは僕のなんともないと言うとそうですかと言ってまた空を見上げる。

「セリカさん、もしかして渡辺のこと気にしてますか?」

「いきなり、何を?」

「いえ、だって、セリカさんのことだし、私のせいで怪我をさせてしまったとか思ってそうですから」


 セリカさんは図星だったらしく表情が固まった。





 



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