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訓練

感想ありがとうございます。


 「あほらしいって、セリカさんは今まで頑張ってきたんですよね、だから騎士団の団長になれたんじゃないですか、それに僕達なんか只の学生ですから実践になったら恐怖で戦えなくなる人だって出てくると思います。そう言うところを考えたらセリカさんはすごい人だと思いますよ。僕だってスキルが無かったら

只男子力が馬鹿みたいに高いだけの何も出来ないガキですから」


 セリカさんは僕の方を見る。

「みなさんは素晴らしい力をお持ちじゃないですか、それにミカさんだって男子力が高い事はすごい事ですから、そんな自分を蔑ろにしないでください」

僕の方へ来てそう言ってくれた。


 「でも、セリカさんが今言った事と同じですよ」

「へっ」

「セリカさんだって、自分の力で騎士団の団長になった。それにセリカさんは綺麗ですし、優しいですから

僕達なんかよりずっと強いですよ」

「私は、ただ」

「気にしないでください、セリカさんだって人間ですし愚痴を漏らしたくなることもあると思います。

でも、流石に王女様の前ではきついと思いますから僕でよかったら愚痴に付き合いますよ」


 セリカさんは口元を手で隠す。

「ありがとう、ございます」

「それじゃ僕は自分の武器を探しますね」


 僕は宝物庫の中に入り自分に合った武器を探す。

中にはたくさんの種類の武器があった。

片手剣、両手剣、短剣、細剣、レイピア、槍、斧、ハンマー、曲刀、刀、杖やグローブなどもあった。


 「武器に選ばれるってどんな感じなんですか?」

「さぁ、私はそんな経験はないので分かりませんが皆さまが仰るには声が聞こえるそうです」

「へぇ、声かよく耳を澄ませばいけるかな」


 僕は目を閉じて声に耳を傾ける。

何も聞こえない、僕には資格がないのか?


 僕はもっと精神を集中させる。

どんな小さな音でも聞き逃すな。


 『--------』

何かが聞こえた。

『---------』

分からない、何を言っているのか分からない。

『こ、こ』

ここってどこ


 『こっち、こっち』

聞こえてきた声を頼りに僕は武器を探す。

『ここだよ』

そしてついに足元で声が聞こえた。


 足元にはたくさんの武器が散乱していた。

「これって秘宝だよね、何でこんなに散乱してるのかな?」

『ここだよ、ここ、埋もれてるの』


 僕は武器をどけていくと一つの武器を見つけた。

それはとてつもなく大きく、禍々しい、一瞬で命を刈り取ってしまいそうな形をしている。

「これって、大鎌?」

『やっと、見つけてくれた。はぁ苦しかった』


 この武器から声が聞こえてくるから間違いないだろう。

それにしても大きすぎるだろ、僕より大きいぞ、ほんとにこんなものが持てるのか?

この武器には色々疑問があるがとりあえず持ってみることにした。


 結果、軽々と持ち上がった。

軽く二百キロはありそうな大鎌だったのだが、鞄より軽いと思えるくらいだった。

『それはね、君が私の適合者だからだよ、適合者には重さがほとんどなくなるようになってるの』

「そうなのかへぇ」

僕が疑問に思っていたことをこの武器が解決してくれた。

「君の名前は?」

『私の名前は一振り斬首ひとふりざんしゅ黄泉送りよみおくりって言うんだよ』

「バリバリ日本っぽい名前だね」

『うん、私の前の所有者の人がそう名付けてくれたんだ。確か異世界から召喚された勇者だったかな』


 可愛い声して怖いな。

「物騒な名前だね」

「そうかな、でもね私にはね特殊な効果があってね、首に攻撃を当てたら即死って言う効果があるんだよ」

「怖いよ、メッチャ怖いよ君」

『えへへ、でもこれで強い敵でもイチコロだよ』

「アハハ、それじゃ黄泉これからよろしくね」

「黄泉?」

「うん、黄泉送りだから黄泉その方が呼びやすいし」

『分かった、よろしくねえぇと、名前は?』

「僕は早乙女実夏」

『それじゃミカよろしく」


 こうして僕の一生の相棒が決まった。

僕は黄泉を担いで宝物庫の外へ出た。

外ではまだ少し考え事をしているのかセリカさんが頭を抱えて立っていた。


 「セリカさん、決まりましたよ」

「・・・はっ、すみません・・・えっ、なんですかそれ?」

「僕の相棒です」


 僕は担いでいた黄泉をくるっと回してセリカさんに見せた。

「どうですか」

「えぇ、でかすぎて・・・重くないんですか?」

「なんでも、適合者の人にはほとんど重みを感じさせないらしいです」

「なるほど、それなら分かります。しかし持ち運びが大変ですね」

「えぇ、少し振り回すと周りが悲惨な事になりますね」


 セリカさんは苦笑した。

「それで、少しはスッキリしましたか?」

僕はさっきまで元気がなかったセリカさんに問いかける。


 「え、えぇそうですね、さっきよりかはだいぶスッキリしました」

「それは良かった。僕も少しスッキリしたいのでどこか大暴れ出来る所とかありませんかね?」

するとセリカさんは考えるそぶりを見せる。

 

 「そうですね、やっぱり皆さんが練習している訓練場に行けば良いと思います」

「そうですか、すみませんがあんないお願いしても良いですか?」

「はい、こちらです」


 僕はセリカさんの後ろをついて行く。

歩くこと五分ほんと王城は広いなと実感する。

「つきましたここが訓練場です」


 訓練場はめちゃくちゃ広く、野球場が3,4個は入りそうな広さだった。

「ここだったら、黄泉を振り回しても問題ないね」

僕は早速、準備運動を始めた。


 何事も準備運動と言う物は大切だ。

怪我によって選手生命を絶たれる選手も多い。

準備運動が終わった後は黄泉を振り回す。


 よくアニメやゲームなどでは敵を斬りつけるけどほとんどボスキャラだったりするんだよな。

とりあえず我流で振り回す。


 振り始めて二十分ほど経ったときにス\やはり我流ではうまく扱えないと感じ始めていた。

どうしようかなと考えていると黄泉の声が聞こえた。

「多少の動きだったら私がサポートすることが出来るよ」

「そうなのか、だったら始めはそのサポートを使って体の動きを覚えるか」


 僕は突然体が勝手に動き始めた。

右足を引いて左足を前に出す。これは構えだろう。


 大鎌を右から左に振るう。

その勢いを使って大鎌を回転させる。

回転した大鎌によって土煙が空を舞う。


 「はっ」

掛け声とともに再び大鎌を振るう。

更に土煙が宙を舞う。

そして僕は大鎌を背中に担ぐ。


 「へぇ、大鎌ってこうやって使うんだ、結構爽快な気分になるね」

「でしょう、それに一気に敵の首が宙を舞うところはもう最高なんだよ」

「怖いこと言うなって、でも魔獣の首だったら試してみたいかな」


 ペットは飼い主に似るって言うけど武器は所有者に似るのかな?

「それじゃもう一度するからよろしくね」

「はぁい、任せて」


 それから僕達はただひたすらに大鎌を振るう。


 「はぁ、はぁ、はぁ」

あれから四十分ほどぶっ通しで大鎌を振るっていた僕は息が切れ汗だくになり、黄泉を杖の様にして

立っている。

周りには、気づかなかったがたくさんの人が立っていた。


 「はぁ、はぁ、はぁ、皆さん、どう、し、たんですか?」

「い、いや、こっちから竜巻が発生していると思ったら君が中心で立っていたから」

「竜巻?」


 竜巻なんてあったか?

僕は周りを見渡すと特に変わったところはなかったが、土煙が舞ったせいで埃っぽい。

そんな中セリカさんがこっちに来た。


 「どうぞ」と言って差し出してきたのは水とタオルだった。

「ありがとうございます」

水を一気に飲み干すとのどの渇きが潤った。

「はぁ、生き返った」

「すごいですね、あの竜巻の中で大鎌を振るう実夏さんの姿は圧巻でしたよ」

「そんな大げさな、それに僕は黄泉がサポートしてくれてるので楽でしたよ。

セリカさんとは違って僕自身の力じゃないですよ」


 僕はきっぱりとそう伝えた。

「いえ、例え体が勝手に動いていたとしても、その神器に選ばれたのはミカさん自身の強さですよ」

「そう言ってもらえるとうれしいですけど、いづれは自分でもこの大鎌を振るえるようになりたいです」

そのときだった。


 僕の意識はぷっつりと糸が切れた人形のようにセリカさんの方へ倒れた。






 「知らない天井だ」

僕は目覚めたが一度は行ってみたいセリフを口にしてみた。

身体を動かそうとするが動かない。

そっと、自分の状態を確認してみた。


 両手両足共に縄で縛られていた。

「なんで、こんな事になってるの?」

「あっ、目が覚めた。良かった」

 

 ドアが開く音と共に聞き覚えのある声が聞こえた。

「真美助けて、なんか知らないけど縛られてるんだけど」

「うん、私が縛ったんだよ」

「はっ、何で?」

「覚えてないの?」


 真美は表情を髪で隠して見せない。

「なにが?」

「ミカが倒れた時にねあの髪の赤い人がね受け止めようとしたんだけどその時にね・・・」

「何があったの?」

「キスしちゃったの」

「えっ、キ、キス?」

「そう、キス、接吻」


 真美はじりじりとこちらに寄ってくる。

「ウソだよね」

「ほんとだよ、私見ちゃったもん」

「そ、それは分かったけど、ねぇどうしてそんなじりじりと寄ってくるの」

「別にいいじゃない、少しね可愛い弟を教育しようと思って」


 どこから出したのか分からない羽根を持って僕の靴下を脱がせた。

「ねぇ、何しようとしてるの?」

「うふふ、私以外の女の子と仲良くする悪い子にお仕置きを」

「おい、さっきと言ってること違うよ」

「それじゃくすぐるね」


 真美は屈みこんで僕の足の裏を羽根で撫でる。

「アハハハハハハハハ、ちょ、っと、やめて」

「ウフフ、い・や・よ」

その瞬間やっと顔を見せた真美に尾表情は頬を朱に染め笑顔でどす黒いオーラを出している我が姉だった。


 




 あれから一時間の間ずっと擽られていた。

「はぁ、はぁ、はぁ」

僕は笑い過ぎて息が出来なくなり、体もビクンと痙攣している。

汗も少し掻いている。


 「も、もう、やめて」

「ウフフ、良いわよ、でも今度は許さないから」

そう言って部屋から出て行った。


 それは良いのだが・・・

「誰か、これほどいてぇ~」






 このあと、夕飯に来なかったのを心配してくれた三奈羽によって救出された。

おかげで夕飯はほとんど残ってなかった。

こういう時にツンツン頭の少年は紅叫ぶだろう、3,2,1


 「不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」





 結局その日はほとんど夕飯を食べることが出来なかったため水でお腹を膨らませてさっさと風呂に入り

眠ることにした。









 次の日の朝、僕は昨日と同じく朝早く目覚めたため早く大鎌を扱えるようになるために訓練場に行った。

今日は庭を通ってこなかったのでレイネさんとは会わなかった。

「なぁ、黄泉」

「どうしたのぉ?」

「この状態で元運びするのって結構面倒なんだけど、他に運ぶ方法とかないの?」

「あるよ、やってみようか」

「お願いします。多分こんな武器持って待ちとか歩いたら確実にヤバい奴だと思われる」


 すると黄泉は光り出した。

光が収まると大鎌はなくなり右腕にガントレットがはまっていた。

「どう、これだったら楽でしょ」

「う、うん、こっちの方が楽だねって、何で最初からこの状態にしなかったの?」

「だってぇ、言われなかったんだもん」


 それからやっと訓練場に着いた。

そこには既に誰かが来ていた。

「あれって・・・セリカさん?昨日のこと謝らなくちゃ」


 僕は急いでセリカさんのいる所に向かった。

「はっ」

掛け声とともにセリカさんは持っている剣を振るう。


 『ここまで真剣に鍛錬してると声を掛けにくいな、そうだ、水とタオルを持って行ってあげよう』

僕はとりあえず昨日してもらった事をして話しかけようと思った。


 そうと決まったら早速厨房に向かい、水を入手する。タオルはメイドさんからもらったから

これで準備はオッケー

そして装備を整えた僕は再びセリカさんの元へ行った。


 「はぁ、はぁ、はぁ、少し休憩にするか」

丁度いいタイミングで休憩を始めたようだ。

「セリカさん、お疲れ様です」


 僕はテレビの㎝でやってるようなことをしてセリカさんにタオルと水を渡した。

「ありがとうございます」

顔を赤くしながらお礼を言ってきた。

「ほんと、昨日はすみませんでした。聞きました僕が倒れてセリカさんが受け止めようとしてくれた結果

その、キキキ、キスしてしまって」

セリカさんは更に顔を赤くした。

「気にしないでください。私の方も。その・・・」


 両手でお祈りをするように手を組んで人差し指同士を合わせたり離したりしている。

「あの、私、初めてだったんです。だから・・・責任取ってください。これでも私十八なんですよ」

「なにを、言ってるのでしょう。って十八!若ッ」


 十八って僕と一つしか変わらないじゃん

「その、すみません。僕、魔獣を倒したら元の世界に戻るんで」

「そうですか、捨てられるのですか」

「いや、違いますからね」

「フフフ、冗談ですよ。気にしないでください」

「そう言ってもらえると気が楽です」

「それで、私のオリジナルスキルは吸収されましたか?」


 セリカさんはさっきとは雰囲気を変えて話しかけてきた。

「すみません。まだ確認してませんでした。今確認しますね」


 僕はポケットに入っているカードを取り出してステータスを見る。


 ミカ・サオトメ


男子力   家事 EX


      裁縫 EX


      料理 EX


     その他 EX


オリジナルスキル 


 吸収 (獣王化 創造)


 「あったあった、セリカさんって創造ってスキルなんですね」

「えぇ、でも、一回発動するのに時間がすごきかかるので、でも強度は自分で作る方が高いので

メリットとデメリットが均等なスキルなんですよ」

「へぇ」


 この創造というスキルは結構使いやすそうだ。

このスキルを使えば時間はかかるがきっちりとした物が出来ると言う事だ。

それの僕は半分の力しか使えないのだが作った物の方が強度は高いということは僕が作ってもそれなりに

丈夫と言う事だ。


 「発動の仕方って教えてもらえますかね」

「そうですね、目の前で見たものを作るのが一番作りやすいですね、他には想像しながら作ることも出来ますが、その分大幅に時間を消費してしまうので目の前にある物を実際に見て作った方が良いと思いますよ」

「そうなんですか、だったらまた後で試してみようかな。それでは僕は大鎌の練習をするので」


 僕は少し離れた所まで移動した。

「黄泉、どうやって大鎌に戻すの?」

「呪文を唱えれば元に戻るよ」

「どんなの?」

「顕現するは我に仇名す者の血を吸いし大鎌 其の名は 黄泉送りだよ」

「うわっ、イタイ」

「痛くないもん、だったら呪文を考えた神様に文句言ってよね」

「はいはい、顕現するは我に仇名す者の血を吸いし大鎌 其の名は 黄泉送り」


 順序んを唱え終わるとガントレットは光だし、光が収まると目の前に大鎌が宙に浮いてた。

僕は大鎌を掴んで軽く振り回す。

ブォンと風を切る音が耳に入る。

「うーん、やっぱりサポートなしだったらまだキツイかな」

「じゃあ、今日もサポートするね」


 昨日と同様に体が勝手に動く。

しかし、体力は自分自身の物なので当然疲れる。

黄泉はそんな事気にせずに振り回す。正直キツイ。


 「はぁ、はぁ、はぁ、ちょっと、休ませて」

一時間弱体が勝手に動かされ大鎌を振りまわした僕は息が切れその場に倒れてしまった。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、体力には自信あったんだけどな」

空を見上げると綺麗な大空が見えていた。

「セカイは違えても見える星空はみな同じってか、魔獣を刈るまで帰れないんだよな」


 やはりまだこの世界に来た実感がないのか魔獣を刈らないと元の世界に帰れないことを信じられなかった。

「お疲れ様です。水を持ってきたので飲んでください」

セリカさんが近づいて来ると、僕の顔をみて微笑みながら水を渡してくれた。

「ありがとうございます」


 貰った水を少しずつ飲んで火照った体を冷やす。

「セリカさんはなんで騎士になろうと思ったんですか?」

「そうですね、理由は特にないですが家が騎士の家系だったので・・・男子力が高い人とも出会えるって

言ってましたから」

「そ、そうですか、アハハ、それでどうでした」

「正直、異世界の方は男子力は女性の方の方が高かったのでびっくりしました」

「そうですね、僕達もびっくりしましたよ。僕達の世界では女性の方が積極的に料理とかしてくれたので」

「でも、なぜミカさんはあんなに高かったのですか?」

「昔から家事とかしてたんですよ」


 僕は昔のことを振り返りながら話をする。

「うちって、両親がよく仕事で海外とか行ってたんで家では姉と妹の三人で過ごしてたんですけど

二人共今ほど火事が得意ってわけではなかったんで、僕が代わりに料理とか家事とかしてたんですよ。

そこから徐々に裁縫をしたりしてクリスマスに毛糸で編んだマフラーとかプレゼントするようになったんですよ。だからですかね男子力が高いのは」


 僕が話しているとセリカさんは真剣に聞いてくれるようで僕の目を見てくる。

瞳には僕の少し頬を朱に染めた姿が映っている。

「もしよかったらですけど、今度セリカさんに何かお菓子を作りましょうか?」

「良いんですかっ」


 セリカさんはいきなり飛び上がり僕の両肩を掴む。

「良いですよ、これから迷惑をかけると思うので先払いと言う事で」

「そうですか、では是非お願いします」

「リクエストとかありますか?」

「お任せします。出来れば異世界のお菓子が良いのですが」

「分かりました。とびっきり美味しいお菓子を作りますね」

「楽しみにしています。あぁ、でも昨日のキスの件はまた別なので」

『ちっ、誤魔化せなかった』

「や、やですね、そんな事当たり前じゃないですか」

「ウフフ」


 誰もが見惚れるような笑みを浮かべてセリカさんはどこかに行った。





 


 


 

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