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8.郵便配達は二度ベルを鳴らす

8.郵便配達は二度ベルを鳴らす


 ピンポンピンポンと二度続けてインターホンが鳴った。それで早苗さんが来たとすぐにわかった。

 最近では、面倒な騒ぎにならないよう来客の際には由希子さんが玄関先で応答し、決して家の中には入れないことにしている。

 早苗さんは僕が応対し、かつ家に上げてもかまわない数少ない相手だ。

 確か早苗さんは市役所の人だったはずだ。

 一週間くらい前、初めてこの家を訪ねてきた。

 どういう用事だったかは忘れたが、そのとき僕はうっかり早苗さんを応接間に通してしまった。折り悪く、そのとき応接間のテーブルの下にはお袋の死体が転がっていた。

 腐った肉の臭いと、血のべたつきと、転がる死体について早苗さんがあまりにも騒ぎ立てるのでやむを得ずトンカチで頭を叩くことになってしまった。

 その後、由希子さんが何時間もかけて頭をさすることで、ようやく早苗さんは意識と落ち着きを取り戻した。

 そういう経緯があるせいか早苗さんは僕をやや嫌っているのだが、命の恩人である由希子さんにはやはり恩義を感じているようで、とてもよく懐いている。

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