決着に向けて
十月八日。
「よお。竜也どうした?」
「うるさい。黙れ。あいつは何処にいるんだ? お前なら『全部知ってる』だろ?」
僕は、偽姉の久子とかいう奴に言った。
「……ありがとよ。またあえて抵抗しなかったけど。あいつの干渉やべーな。普通にお前を弟だと思ってたわ。何処にいるかって? お前が決着をつけんの?」
「当たり前だ。あいつは僕が殺す。誰にも邪魔をさせない」
「そうかい。それもそうだ。それがあいつの狙いだしな。まったく面倒な話に巻き込まれたわけだ俺は……」
ぶつぶつと呟く偽姉。一度殺してやろうか。
「いいぜ! お前が決着をつけな! 俺も他に用があるしな。責任を持って決着をつけてこい!」
「さっさと案内しろ」
「ああ! じゃあな! どいつもこいつもムカつくぜ! 俺を利用しやがって! 行ってこいよ!」
偽姉が叫んでるのと同時に僕は光に包まれた。
「たく。似た者同士だなあいつら。やっぱり似るもんだな……おい。出てこいよ!」
そいつの存在に気づき、苛立ちを抑えずに即座に叫ぶ。
「おう。よく気付いたな。ご褒美に一つだけ注文をうけたまわるぞ?」
そいつは姿を現した。ワンピースを着た女。
「そうだな。いつもの口調に戻れよ」
注文を言う。
「了解しましたあ! しかしあれだね! ヒサコも安定の巻き込まれ体質だね! でもあの子の知り合いだとは思わなかったよ!」
注文を間違えた気がする。今の精神状態だとかなりウゼエ。
「何してんだよ。お前。ここで殺されても文句はないよな?」
殺意を込めて言う。
「ヒサコじゃ無理。あたしは殺せないよ? しかもあたしの娘と約束したんじゃないの? あたしに手をださないってさ。何してるのっていうのは手伝いだよ? 本心も言葉も嘘をついてるあの子がちょっと面白くてね! でも途中で飽きちゃって背中を押しただけ。ヒサコも巻き込まれてるって分かっちゃったしね! トラブルメーカーなヒサコが一つの世界にとどまってるのはつまらないじゃん? だからさっさと回りくどいことしてないで終わらせようかと思ってさ!」
「そうかよ。確かにお前の娘と殺さないって約束したけどな……友達だから許してくれるだろ? 俺は友達を煽って馬鹿な事をさせたお前を許せねえんだわ。本気を出して存在ごと殺してやるからさ。大人しく俺に殺されろや!」
両手に顕現させた刀を持ち、正眼に構える。
「別の神の管理する世界なのに武器を無から創造するなんてすごいね! でも私も楽しいことをもっとしたいからさ。ここで殺されるわけにはいかないんだよ? だから私も、ほんの少しだけ遊んであげる。簡単に死なないでね!」
はっ何言ってやがる。
「俺が死ぬわけないだろーが! いつものように笑ってる悪党をぶち殺して酒飲んで遊んで寝てやるぜ!」
「悪党とかやめてよー。あたしはあたしらしく生きてるだけだからさ。自分の好きなことしてるだけ。だからあたしにとって友達思いで優しい正義感なヒサコがあたしにとっては悪党なの。じゃあお互いにヒーローごっこと行きましょうか!」
「ウゼエ! さっさと死ねえ!」
さあて、口では叫びつつも冷静に考えると勝率は三割。野球はそれほど詳しくないが、野球だったらこの確率はなかなかだろ?
無条件で主人公の可能性や力を持つ人間を呼び寄せる力をあいつに貸したのは十中八九こいつだ。
だから、こいつはマジでくそつええ。
それでも勝つのは俺だけどな!
……嘘つきな友達に関わり過ぎたせいか少し嘘つきになっちまったな。
考え直す。勝てるといいな!




